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アマデウス、空港の外でチェックインや手荷物受託を実現するサービスを日本市場に投入。スポーツイベントでの訪日需要に対応

2018年10月25日 発表

アマデウスは空港向けの支援システムを日本市場に投入したことを発表した

 アマデウスは10月25日、空港向けの支援システム「Passenger Processing Suite」を日本に導入することを発表した。

 Passenger Processing Suite(PPS)は、空港の外でのチェックイン業務や手荷物の受託などを実現するサービスで、空港の混在解消に効果があるという。同日、アマデウスは都内で会見を開き、PPSについて説明を行なった。

 アマデウス アジアパシフィック コーポレートマーケティング&コミュニケーション担当 バイスプレジデントのカルン・ブドラジャ氏は、同社の事業を「旅行のエコシステムをつなげるもの」と説明。1998年に日本市場に参入して20年が経過し、身近なところでは航空券の予約システムにアマデウスのソリューションが広く使われており、直近では2017年にJAL(日本航空)がアマデウスの旅客サービスシステム「Altea」を導入したことが記憶に新しい。

 日本はインターネットの世帯普及率が93%(世界平均は53%)、平均速度が78Mbps(世界平均は40Mbps)と高く、またスマートフォンが約6800万台使われており、モバイル予約率は中国に次いで世界第2位。アマデウスはデジタル化が顕著な日本の市場を非常に重視しているという。

アマデウス アジアパシフィック コーポレートマーケティング&コミュニケーション担当 バイスプレジデント カルン・ブドラジャ氏
アマデウスの事業イメージ
アマデウスは設立30年
日本の旅行市場

 アマデウス トラベル・チャネル トラベル・コンテンツ・ソーシング エグゼクティブバイスプレジデントのアンナ・コーフッド氏は、「旅行者が変わってきている。一社だけに忠誠心を持つことがなくなっており、エンドツーエンドでの体験を求めている」と前置きして、航空、鉄道、レンタカー、宿泊、保険、目的地などのコンテンツを集約して、以前はさまざまなところで得ていた情報を、一つのプラットフォームで見つけることができるようにするのがアマデウスの戦略であると説明。

 また、IATA(国際航空運送協会)が推進する新しい航空券の流通規格「NDC(New Distribution Capability)」については同社のロードマップを提示。2018年第4四半期にNDCの基本機能をWebサービスで展開し、2019年末に向けて日本の旅行業者がNDCでアクセスできるようになり、今後6~12か月で参加する航空会社が増えてくるのではないかと述べた。

アマデウス トラベル・チャネル トラベル・コンテンツ・ソーシング エグゼクティブバイスプレジデント アンナ・コーフッド氏
プラットフォーム戦略
アマデウスのNDCロードマップ

 アマデウス アジアパシフィック エアポートIT部門代表のサラ・サミュエル氏は同日発表したPPSについて説明。同社アマデウスのデータによると、2019年のラグビーワールドカップ関連で日本を目的地とした旅行検索が急増しており、特にラグビー人気の高いオーストラリア、イギリスからの検索が増えているという。また、訪日観光客の年間増加率は5.6%に達しており、日本のインバウンドが急成長していることが分かる。

 このように旅行客が急増すると、空港が混雑に対応できなくなるという。空港の建物には物理的な上限があるが、増築しない限りキャパシティは増えないため、混雑によってチェックインカウンターや保安検査、出国検査などに長い行列ができ、その結果、航空会社は便の遅延に直面する。

 一方、スポーツイベントに参加する選手やチームは特殊な荷物や特別に高価な荷物を持っている場合があり、取り扱いに配慮が必要になる。同社の「Passenger Processing Suite(PPS)」は、こうした局面を解決するソリューションだと述べる。

 その特徴は3つ挙げられ、「空港外にポップアップチェックインデスクを設置できる」「空港外で手荷物を安全に取り扱うことができる」「空港外にポータブルチェックインキオスク端末を設置できる」というもの。

 すでに実例があり、オーストラリアの企業OACISは、アマデウスのPPSを利用してヴァージン航空向けに空港外手荷物取り扱いサービスを提供しており、AFL(オーストラリアン・フットボール・リーグ)の2018年シーズンのなかでスポーツ機材と備品を輸送した実績がある。

 サミュエル氏は「空港のキャパシティ不足から起こる問題を解決するもので、航空会社にとっても空港にとっても費用対効果が高い」と説明した。一般の旅行者にとっても、スマートフォンのアプリを通じてサービスにアクセスでき、空港での行列回避、都合のよい場所でのチェックイン、空港外での手荷物預け入れなどの恩恵を受けられる。実際にサービスが本格稼働すれば、「例えば新宿駅や東京ドームといったランドマークにポップアップPPSを設置して、空港の混雑を緩和できる」と展望を述べた。

アマデウス アジアパシフィック エアポートIT部門代表 サラ・サミュエル氏
スポーツイベントを控えて日本への訪日需要が強くなっている
空港のキャパシティ不足の懸念
空港外でチェックインや手荷物の受託などを実現するソリューション
オーストラリアでの実例
一般旅行者も行列回避などの恩恵がある