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タイ・エアアジアX CEO ナダ・ブラナシリ氏に聞く。「バンコク線は、運賃に応じたバリューを提供し、顧客に選択肢を提供するテーラーメイドサービス」
2018年8月17日 00:00
- 2018年7月18日 実施
LCC(格安航空会社)のエアアジアが、SKYTRAXの「ベスト・ローコスト・エアライン」を10年連続受賞したことは先日お伝えしたが(関連記事「エアアジア、SKYTRAXの『ベスト・ローコスト・エアライン』10年連続受賞を記念してマレーシアで記者会見開催」)、その際、エアアジアの子会社でタイの長距離国際線を運航するタイ・エアアジアXのCEOにインタビューを行なった。
タイ・エアアジアX(IATA2レターコード:XJ)はエアアジアグループの1社で、タイのバンコク・ドンムアン空港をベースに長距離路線の運航を行なっている。これまでに成田~バンコク、関空~バンコク、新千歳~バンコクの3路線を開設しているが、10月30日からセントレア(中部)~バンコク路線を開設することをすでに発表している。そんなタイ・エアアジアXのCEOであるナダ・ブラナシリ氏にお話を伺った。
――日本路線の状況を教えてほしい。
ブラナシリ氏:大きかったのは、日本政府が政策を変更してタイ人向けのビザ免除プログラムを開始(筆者注:2013年7月1日から)したことだ。それにより、タイ人が日本に行くことにより興味を持つようになった。タイ人は日本の文化やおもてなしなどが大好きで、今やタイにとって日本は2番目に旅行者が多い旅行先になっている。
そうしたこともあり、我々が日本への就航を開始した当時は、タイからのアウトバウンド(タイから日本への旅客=つまりタイ人の乗客)が90%、日本からのインバウンド(日本からタイへの旅客=日本人の乗客)が10%という比率だった。しかし、現在はそれが徐々に変わってきており、タイからのアウトバウンドが70%、日本からのインバウンドが30%となっている。
――そうした割合が変わってきたのはなぜか?
ブラナシリ氏:我々が日本で積極的に行なっているプロモーションが功を奏してきているのだと考えている。そうしたプロモーションを通じて我々がただ安いだけでなく、バリューがある航空会社だということが徐々に理解されていると考えている。現在の我々のタイ~日本路線はとてもヘルシーで、最終的にはアウトバウンドとインバウンドを50:50にしていきたい。そのためには、我々のサービスもさらに磨きをかけていく必要があるし、時間が必要だ。ただ、現在日本路線では約45%のお客さまがリピーターになっていただいているというデータもあり、サービスは評価されているのではないかと考えている。
――タイ人が日本に興味を持つ理由は?
ブラナシリ氏:もちろん日本は自然があって、そして特有の文化がある。そして、すでに東京や大阪といった大都市は一度は行ったという人が増えており、それ以外の観光地への興味が高まっている。例えば日光、例えば北海道でも札幌だけでなく富良野や小樽といった具合に、若い世代にはさまざまな日本を発見したいというニーズが高まっている。また、食事で言えばさまざまなラーメンを試してみたり……そういった従来のツアーの枠には収まらないテーラーメイドの観光が増えてきているので、我々のようなLCCには大きなチャンスがあると考えている。
我々がバンコク~札幌線を開設したのは、タイの旅行客が北海道への興味を高めていたからだ。それまでバンコク~札幌線はレガシーキャリアが1便飛ばしているだけでなので、スキーやスノーツアーなどを考慮に入れれば十分可能性があると考えて投資を決めた。
――最後に日本の旅行客にメッセージを。
ブラナシリ氏:ぜひ我々が日本各地からバンコクへ開設している路線を利用してほしい。日本のお客さまにとって重要なのは、リーズナブルな運賃と同時に素晴らしいサービスだと認識している。従来のレガシーキャリアとは違う旅行を我々は提供できると考えている。
LCCといえば、なんとなく安かろうわるかろうというイメージを持たれてしまうことも少なくないのだが、我々はただやみくもに安くしようとしているのではなく、いただいた運賃のなかでより高い価値があるサービスを提供しようと考えている。
重要なことは、お客さまに選択肢を提供することで、預け入れ手荷物がなければ安くなったり、深夜便で寝ているなら食事を買わなくてよかったり、そういうテーラーメードのサービスを我々は提供しており、それが強みだと考えている。