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KLMオランダ航空、好きなときに頼める機内食「Anytime For You」などビジネスクラスサービスを紹介
7月から関空路線でも新サービス開始。2018年からボーイング 777型機の一部でWi-Fi提供
2018年4月19日 21:03
- 2018年4月19日 実施
KLMオランダ航空は4月19日、日本路線で3月26日から提供を開始した「Anytime For You」など、ビジネスクラスの最新サービスなどを紹介する説明会を実施した。
KLMオランダ航空は現在、成田~アムステルダム線、関空(関西国際空港)~アムステルダム線で各1便をデイリー運航している。3月26日の夏スケジュール開始に合わせて、成田路線で新たなビジネスクラス機内食サービス「Anytime For You」を導入した。
KLMオランダ航空の日本路線(2018年3月26日~10月28日)
KL862便:成田(10時30分)発~アムステルダム(15時10分)着、毎日運航
KL861便:アムステルダム(14時40分)発~成田(翌08時40分)着、毎日運航
※成田~アムステルダム線はボーイング 777-200ER型機または777-300ER型機で運航
KL868便:関空(10時25分)発~アムステルダム(15時10分) 着、月・木・土曜運航
KL868便:関空(10時25分)発~アムステルダム(15時00分) 着、火・水・金・日曜運航
KL867便:アムステルダム(14時40分)発~関空(翌08時45分)着、水・金・日曜運航
KL867便:アムステルダム(14時40分)発~関空(翌08時35分)着、月・火・木・土曜運航
※関空~アムステルダム線はボーイング 777-200ERまたは787-9型機で運航
冒頭であいさつしたKLMオランダ航空 日本・韓国・ニューカレドニア コマーシャルディレクターのタイス・コメン氏は、「我々のビジネスクラスは『ワールドビジネスクラス』と呼んでいるが、世界中のお客さまが乗り、いろいろな要望に見合うサービスを提供することを表わすもの」と紹介。
同社のビジネスクラスについて、「日本の言葉、文化を理解するCA(客室乗務員)が必ず乗務する。アムステルダムのスキポール空港では日本語を話す職員が常駐し、乗り継ぎなどをサポートする」と日本人向けのサービスが充実していることを1点目の特徴として挙げた。
続いて、2点目の特徴として長いフライトでも快適なシート、そして3点目に「Anytime For You」を紹介。3月26日から成田発便でサービスを導入しているが、さらに7月2日からは関空路線でも提供を開始することを明らかにした。
このAnytime For Youは、通常の食事とは別に、好きなときに、好きなものを、好きなだけ頼めるサービス。現在、成田、バンコク、ヨハネスブルグ(南アフリカ)とアムステルダムを結ぶ3路線のみでサービスを行なっている。
5種類のメニューが用意されるのは、日中のフライトとなる成田発便のみで、こちらは通常の機内食にプラスしてAnytime For Youで機内食を選択することになる。アムステルダム発便は夜間フライトとなるので通常の食事と到着前に朝食が出る。
メニューは夏、冬で変更になる。現在提供されているのは、和食のとんかつと幕の内弁当、洋食のチーズバーガーとパルマ産生ハム入りのイタリアンサラダ、スイーツのチョコレートムースとなっている。いずれもプレートに乗せられ、ボリューム感のある機内食だ。
Anytime For Youは、これらのメニューをフライト中いつでも注文でき、注文を受けてから盛り付けて提供する。このサービスを行なうフライトのCAは、志願したやる気のある人を選抜し、専用のトレーニングを受ける。その継続のために、7~8週間以内に必ずサービス提供路線に乗務することが定められているという。
また、いつ注文を受けて盛り付けを行なう必要が生じるか分からないため、通常のフライトよりも1名増員。成田~アムステルダム線のビジネスクラス担当CAは、従来は2名だったが、Anytime For Youのサービスを導入したことで、3名に増員した。
KLMオランダ航空 機内プロダクト&サービスエンジニアリング プロダクトマネジャーのマドレーヌ・ブラウン氏は、「ビジネスクラスに乗る人は、時間の使い方、過ごし方などのニーズが千差万別。特に大切なのが食事。食事をどう食べるかによって、フライト中のリズムが作られる。好きなときに、好きなものを、好きなだけ食べられるのが一番よい」とサービス導入の目的を説明。
さらに、このAnytime For You導入便でのビジネスクラスサービスは、そのほかの部分でも利用者に合わせたものとなる。
まず、搭乗後のウェルカムドリンクは、通常は2~3種類から選んでいたが、Anytime For You導入便では、メニューにあるすべてのドリンクから選択できる。そして、離陸前に提供するアミューズも冷たいもの、温かいものを用意して好みで選べる。
離陸後は、すぐに仕事や就寝したい人のために「クイックミール」を用意。前菜やサラダ、スープなどを提供できるようにしている。その後、メインとなる通常の機内食を提供。機内食のデザートは、冷たいものだけでなく、フォンダンショコラのような温かいデザートも用意している。さらに、「サプライズのような形」(ブラウン氏)で、オランダ名物のキャラメルワッフル(ストループワッフル)も提供している。
その後は、フライト中、いつでも好きなときに頼める先述のAnytime For Youのメニュー。朝食も甘いものとコンチネンタルブレックファストを選択可能と、好みに応じて対応。
そして、最後に「グッドバイ・ドリンク(Goodbye Drink)」として、野菜やフルーツで作られた“元気の出る飲み物”を提供。増員した1名の存在により、着陸準備が行なわれている最後の最後まで、CAは乗客のケアができる体制を整えている。
ブラウン氏は、「お客さまに対するケアはよくなっている。要望についてはかなり応えられている。他社と比べてもKLMに乗ってみたいと思っていただけるサービスだと思う」とし、フィードバックもこれまでのところ好意的な声が多いという。
ビジネスクラス機内のさまざまなこだわり
このほか、KLMオランダ航空のビジネスクラスのこだわりの部分についても説明があった。KLMオランダ航空 機内プロダクト&サービスエンジニアリング ディレクターのマルチーヌ・ファン・ストルン氏は、2017年からいろいろな国のさまざまなタイプの顧客にリサーチしてサービスを生み出すプロジェクトに関わった人物で、それが実を結びつつあると説明。
一方で、「オランダの文化遺産を非常に大事に思っている。KLMはオランダの航空会社なので、オランダ的なものを感じていただきたい」と、機内ではオランダの企業とコラボレーションしたものが多数使われている。
例えば、テーブルウェアはすべてオランダのマルセル・ワンダースがデザイン。食器はもちろん、箸入れに至るまで同ブランドによるデザインとなっている。
また、アメニティはファッションデザイナーのヤン・タミニュのデザイン。シーズンごとに新しいデザインを採用しているので、コレクターズアイテムとしても好評だという。会場には10月に発表される最新のものも用意された。
料理は、洋食についてはオランダのミシュラン三つ星シェフ、ジョニー・ボア氏が監修している。
和食は、ホテル オークラ アムステルダムの和食部門総料理長である富川正則シェフが2008年から携わっている。ホテルの懐石料理店「山里」は、オランダの日本料理店で唯一ミシュランの星を獲得しているという。富川シェフは「最初はご飯がパサつくなどのコメントが多かったので、炊き込みご飯で具を乗せるなどの工夫をしてきた」と、その進化を紹介。山里でも外国人、日本人で味を変えることはせず、日本の味に近いものを出すようこだわっているという。
このほか、新たなコラボレーションとして、オランダのコスメブランドであるリチュアルス(RITUALS)、オランダではライクス・ミュージアム(Rijksmuseum)と呼ばれるアムステルダム国立美術館との3社で、新しいウォッシュルーム用プロダクトを制作。ライクス・ミュージアムのコレクションにある、オランダの東インド会社が製造していたという壺のデザインを採用したもので、アメニティキットのなかにも、このデザインのものが採用される。
機内の設備については、シートはヘラ・ヨンゲリウスがデザインしたもので、機内エンタテイメント用のシートモニターは17インチ。180度リクライニングでフルフラットになり、その長さは205cmのスペースがある。また、既報のとおり、ボーイング 787-10型機のビジネスクラスシートには、日本のジャムコが製造した「Venture」が採用される。VentureにとってはKLMオランダ航空が初めてのカスタマーとなる。
機内Wi-Fiについては、ボーイング 787型機では全機が対応。成田路線にも使用されているボーイング 777型機については、2018年に一部機材で導入を始めるという。
冒頭で紹介したタイス・コメン氏は、「日本に住んで3年ほどになるが、日本の皆さまのサービスのレベルの高さとホスピタリティにはいつも感心する。Anytime For Youのような、日本の皆さまにもっと喜んでいただけるサービスを提供できるのはうれしいこと。我々はオランダ人だが、日本の皆さまに喜んでいただける日本風の“味付け”を大事にしていきたい」と話し、今後も日本人に合わせたサービス向上に取り組む姿勢を示した。