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AirbnbがANA、ピーチとそれぞれ提携。「日本の旅を変える」旅行予約サイト開設。3000円分の宿泊クーポン提供も
ピーチはC to Cの「COTABI」を2018年春スタート
2017年11月7日 00:00
- 2017年11月6日 発表
Airbnb Japan、ANA(全日本空輸)、ピーチ(Peach Aviation)は11月6日、東京・六本木ヒルズで共同記者発表会を開き、新しい旅行スタイルの普及と拡大におけるマーケティングについてパートナーシップ契約を締結したと発表した。
同日、AirbnbとANA、Airbnbとピーチによる特設サイトをそれぞれ開設。特設サイトでは、新規予約で使える3000円分のAirbnbクーポンをプレゼントするといったキャンペーンを展開。これらのWebサイトは現状日本人ユーザーのみ、Airbnbで紹介している国内外の宿泊施設が対象となる。
AirbnbとANAによる「ANA|Airbnb暮らすように旅しよう♪キャンペーン」
Webサイト開設日:2017年11月6日
特典:特設サイトでは、新規予約で使える3000円分(1人あたり)のAirbnbクーポンをプレゼント。クーポン有効期限は2018年5月31日。特設サイトを通じて予約・宿泊すると宿泊代金に応じてANAマイレージクラブのマイルが最大200マイル付与される
Webサイト:ANA|Airbnb暮らすように旅しよう♪キャンペーン
Airbnbとピーチによるコラボレーションサイト
Webサイト開設日:2017年11月6日
特典:特設サイトでは、新規予約で使える3000円分(1人あたり)のAirbnbクーポンをプレゼント。クーポン有効期限は2018年5月31日
Webサイト:コラボレーションサイト
「ANA|Airbnb暮らすように旅しよう♪キャンペーン」の特設サイトでは、「京町屋に泊まろう」「国内リゾート生活」「週末別荘生活」「日本を知ろう!」「農業体験」と5つのテーマでAirbnbの宿泊施設を紹介。
Airbnbとピーチによるコラボレーションサイトでは、第1弾企画として2018年春のサービス提供を予定しているC to C型旅行サイト「COTABI」の紹介をしている。COTABIでは、「『人から検索』する新しい旅のスタイル」と題して、ユーザーが体験して共有した移動手段、宿泊、アクティビティなどの旅の内容を追体験(カスタマイズ可能)するパック商品として予約できるという。
発表会ではまずAirbnb Japan 代表取締役の田邉泰之氏が登壇し、Airbnbの概要から説明した。Airbnbは2008年創業、米国カリフォルニア州サンフランシスコに本拠を置き、ホスト(宿泊施設・民宿を貸し出す人)とゲスト(旅行者)を結び付けるプラットフォームをインターネットで世界的に展開。現在191カ国以上、400万物件以上の宿泊施設を掲載し、ユーザーは2億人を突破しているという。日本では都道府県すべてに物件があり、登録部屋数は5万8000以上。
Airbnbは「暮らすように旅をする」をコンセプトにしており、目指すビジョンは「地元の人たちと触れ合ってもらい、地元に暮らすような素晴らしい体験をお手伝いする」こと。「ユーザーの10人中9人は地元の人のように暮らしてみたかったからAirbnbを選んでいる」という。
ホストである地元の人と話し、その土地ならではの体験をすると、自分1人では見つけられなかった発見があり、「日本のように観光資源が豊富でリッチな文化がある国と、Airbnbは相性がよい」と説明。
日本人ゲストに人気のデスティネーションは、インバウンドと同じく東京、大阪、京都のゴールデンルートが中心となっており、Airbnbではより多くの人が新しい旅のスタイルを体験し、いろいろな場所に行き、新しい発見をしてもらえる手助けをしてもらうために今回の企画があり、「日本の文化を発信しているANAさま、航空業界で新しいイノベーションを起こしているピーチさまと協業させていただくことはとても光栄なことで、新しい旅のスタイルを普及させる努力をしてまいりたいと思っています」と話した。
続いてANA 代表取締役 副社長の志岐隆史氏が登壇。ANAは1952年に2機のヘリコプター、1桁の社員数から始まった企業であり、「Airbnbさんとはベンチャー、スタートアップで通じるものがあります」と切り出した。そして ANAが提供するサービスの質を維持するためには、顧客とのコミュニケーションが大切と話し、Airbnbが提供するサービスにはB to Cだけでなく、ホストとゲストのC to Cの関係が成立していることが魅力で、One to Oneマーケティングを標榜するANAとしても、一緒にプロジェクトを進めながら研究して、顧客とANA、顧客同士の関係を築いていければと企画意図を説明した。
2013年9月からスタートした日本各地の地方の魅力を国内外に発信するプロジェクト、「Tastes of JAPAN by ANA」の取り組みが11月末ですべての都道府県を紹介して終了することに触れ、この取り組みのなかで各地域の酒造組合、商工会議所、JA(農業協同組合)とコミュニケーションを積み重ねてきた経験があり、それを本企画にも今後盛り込んでいければと話した。
ピーチ 代表取締役CEOの井上慎一氏はまず、ピーチが創立6年目に入っており、利用客のセグメントは20~30歳代の男女が約56%を占め、ビジネスユースはほとんどなく、団体旅行もなく、ほとんどが個人旅行。約95%がWebサイトからチケットを予約し、その女性比率は約53%であると紹介。
3月から実施した「空飛ぶ電車でPeachする?」では、インスタグラマーに旅をしてもらい、毎日1デスティネーションごとに紹介するキャンペーンを行なったところ、前年同期のキャンペーンと比較して売り上げが約2.4倍という結果になったという。
そこから「この人が好きだから、この人がこんな旅をしているから、私も行ってみよう」という「追体験の旅という市場があることに気が付いた」と語り、従来のB to Cではなく、C to Cのコミュニケーションで新しい旅のスタイルを作っていこうと考えたと、今回の企画化の経緯を説明した。
また、フォルクスワーゲンのピンクのビートルの機内販売、近大マグロで有名な近大のナマズを使った鰻風機内食の提供、2017年度中導入予定のビットコインを用いた決済サービスなどを紹介し、LCCで後発となったピーチはイノベーションにこだわっており、次のイノベーションのターゲットに「旅の予約」を据えたと語った。
2018年春に開始するCOTABIの提供イメージを、タブレット端末で体験できるようになっていた。ユーザーはまず自分が当てはまる女性1名、男性1名、カップル、ファミリーといった旅行者モデルを選択。さらに自分が求める旅プランにマッチする人物像を選択。その人が過去に体験した移動手段、宿泊、アクティビティなどをまとめ、画像付きで可視化した「COTABIアイコン」を選ぶと、旅プランの詳細が表示され、ユーザーはその旅プランを予約することができる。もちろん移動手段や宿泊などを自分好みにカスタマイズすることも可能だ。
Airbnb、ANA、ピーチで新しい旅のスタイルを広め、旅の回数を増やしたい
共同記者発表会の最後にはトークセッションが行なわれた。田邉氏はAirbnbの運営のなかで「地元の方々と触れ合いたいという潜在的なニーズをユーザーが持っていると感じており、2社のお力をお借りして新しい旅のスタイルを広めていけたらと」と話した。
また、ANAは長年B to Cで蓄積してきたものがあり、ピーチにはイノベーションと呼ぶ他社とは違う面白い切り口があり、2社の指導を得つつ、「コト消費」でユーザーの旅の回数を増やしていきたいと語った。
志岐氏は「C to Cは新しく、多様性の源泉があると思う」と話し、利用客の多様化するニーズに今回の取り組みを契機に対応し、ゆくゆくはANAグループが提供する旅行商品にフィードバックしていきたい意向を示した。200マイルの付与については「少ないと感じられるかもしれないが、マイルをコミュニケーションの材料にしてもらえれば」と話した。
井上氏は「日本の国内旅行のポテンシャルは高く、100人いたら100とおりの札幌の楽しみ方、沖縄の楽しみ方があると分かってきました。ANAのセグメント、ピーチのセグメントは違うので、お客さまに対してさまざまな提案をしてくれるAirbnbとともに取り組みたい」とし「旅行のムーブメントが変わるのではと思っている」と語った。
3000円のAirbnbクーポンについては、2018年3月1日に就航する関空~新潟線の片道運賃がシンプルピーチで4190円からであることに触れ、「ピーチは低価格なのでかなりの刺激になるのでは」と期待を示した。