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ピーチ、夏の機内食に「近大発うなぎ味のナマズごはん」
6月1日スタートの夏メニューに
(2016/5/18 17:12)
- 2016年6月1日 提供開始
ピーチ(Peach Aviation)は5月18日、機内食「PEACH DELI」で6月1日から提供する夏メニューを発表した。「おもろい・美味しい」がコンセプトのPEACH DELIに新食材として近畿大学が開発したうなぎ味のナマズを採用した「近大発うなぎ味のナマズごはん」(1350円)の提供が特徴。
「近大発うなぎ味のナマズごはん」は夏メニューシーズンを通して合計700食を用意、1便あたり10~30食程度の提供となる。提供路線は飛行時間が90分以上のすべての国内線と、一部を除く国際線。提供開始を前にピーチ本社で報道向けに試食会が行なわれた。
“にゅる”っとしてるんで近い味になるんちゃうか?
試食会には「近大発うなぎ味のナマズ」の開発を行なった近畿大学世界経済研究所教授の有路昌彦氏が、2000年に15~16万トンあったウナギ類の供給量が2014年には4万トンまで激減しているという例を挙げ、ウナギの値段の高騰などにより「脂の乗った、美味しいお魚を濃いタレと一緒にごはんをかきこみたい」という需要を満たしてないと、うなぎを取り巻く状況を説明した。
ウナギの完全養殖が可能になるまではまだ時間がかかり、それまでは「蒲焼き屋さんも、うなぎの養殖をされている方も待っていられない」とし、すぐに使えるあらゆる淡水魚を蒲焼きにして試食、その結果「同じにゅるっとしてるんで、近い味になるんちゃうか?」としてナマズの採用に挑戦したという。
うなぎ味のナマズを開発するきっかけは養鰻業者からの相談だったので、その業者が持つ養殖用の設備を活用するため温水性の耐水魚ということも条件とし、既存設備に対するソリューションという面からも検討した。ナマズのなかでも今回採用のマナマズは種苗の確保も容易で、資源問題となりにくいことも選ばれた理由。
ナマズの味は個体差が激しく、脂の乗った個体もあるが、そうでなく泥臭い個体もある。この点は水とエサで解決できるとして、地下水を使用する養鰻施設を使い、エサは既存の複数の配合飼料をブレンドすることで脂質や肉質、匂い成分が似るようにした。
また、今回の機内食用には、活魚用としてではなく調製品として別の養殖過程を経たものを用意した。昨年7月に東京と大阪にある養殖魚料理店の「近畿大学水産研究所」において限定ランチメニューとして提供したナマズと比べエサの脂質が15%くらいから23%へ増加させた進化があるという。エサの脂質を多くしすぎるとナマズが脂肪肝となって死んでしまうが、研究が進み脂質をぎりぎりまで調整することが可能になったという。
有路氏は試験提供販売のアンケート結果を紹介し「85%が美味しいということは非常に満足いだたいた」と分析し、自身の“野望”でもあるウナギと似ているかにという質問には「似ている気がする」まで含めると8割が似ているという回答を得た。有路氏はその点についても「パチもんの所以があるが、なかなかいい感じ」「してやったりという気がする」と自信を見せた。
なお、今回の提供が700食限定という理由については、サイズや脂質などが適したナマズの確保が350匹だったため。1匹あたり2食分をまかなえるため、合計で700食の限定となったという経緯が明らかにされた。
機内食は「おもろい・美味しい・イノベーティブ」
ピーチからはコーポレートコミュニケーション部マーケット&ブランドコミュニケーショングループ シニアスペシャリストの中田理世氏がうなぎ味のナマズをはじめとする機内食「PEACH DELI」の夏メニューについて説明した。
「PEACH DELI」のコンセプトはおもろい・美味しい・イノベーティブとし、近大発うなぎ味のナマズの存在を知ると、コンセプトに合致する食材を見つけたと思い、近畿大学に働きかけをはじめたという。
中田氏は「他の航空会社がやっていない。お客さまにおもしろいと思っていただけることが、機内食のコンセプトと合っている」「うなぎは高価なものだが、ナマズを使うことでリーズナブルに仕上げ、ピーチの気軽な運賃とも親和性がある」と説明した。
価格についても、うなぎ味のナマズが機内で提供されるまでには、2度の加工工程を経るなど手間がかかっていることや、現在はうなぎよりは安価ではあるものの、安い食材とまではいかないことから、1食1350円という価格も妥当なものと説明した。近畿大学の有路氏によれば同等のものを本物のうなぎを使って提供した場合は2000円を超えるという。
また、ピーチではほかの航空会社が提供していないメニューとして、たこ焼きなど、においが強い食べ物も積極的に取り入れていく方針。中田氏は「機内によい香りが充満すると、次々に注文していただけるので……」という有料提供ならではの理由を挙げ、「近大発うなぎ味のナマズごはん」についても「機内でよい香りが充満して、注文が殺到するんじゃないかなと思っている」と希望を述べた。
なお、夏メニューでは、このほかに「和風ピクニック弁当」(900円)や“匂いモノ”となる「『たこ昌』のたこ焼き」(750円)や「老舗『千房』の豚玉」(800円)も販売、たこ焼きと併せて飲むことを想定したスパークリングワインの「たこシャンピーチロゼ」(1000円)も用意する。
近大発うなぎ味のナマズごはんを試食
今回集まった報道陣には、「近大発うなぎ味のナマズごはん」がふるまわれた。ご飯の上に卵とグリーンピースが敷かれ、その上に蒲焼きが3切れが載せられた状態で提供される。
見た目の第一印象はうなぎの蒲焼きと違いはない。ただし、食べ始めると違う点が目についてくる。まず、肉の部分の厚みが蒲焼きよりも厚いことと、厚い部分の脂身は少なめでほぐすと身が焼いたマグロのようなものとなっている。
それでも、口に入れると印象が変わってくる。場所によってわずかに臭みを感じる部分もあるが、タレの影響もあって「うなぎ」と言われれば若干首をかしげながらも納得してしまうレベル。重視したという皮と身の間の脂の部分の味がうなぎの味になっているほか、尾に近い部分で肉が薄いところや皮が若干焦げている部分はうなぎの味に仕上がっている。