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【インタビュー】ラスベガス観光局 副局長 マイケル・ゴールドスミス氏にラスベガスの魅力について聞く

ラスベガス観光局 副局長 マイケル・ゴールドスミス氏。ラスベガスの現状と魅力についてうかがった

 アメリカ ネバダ州のラスベガスといえば、世界有数のリゾート都市であり一般的には光り輝くネオンと豪華なカジノを備えたホテルというイメージが強い場所でもあるだろう。

 そのラスベガスが先鞭をつけたのが、IR(統合型リゾート)という考え方。巨大ホテルはコンベションセンターや会議室、ショーなどを行なえるステージを備え、ホテルというより小さな街の様相を示している。ラスベガスにはそのようなホテルが立ち並び、さらにLas Vegas Convention Center(ラスベガス コンベション センター、以下LVCC)があることで世界的なイベントを開催できる体制が整っている。僚誌「PC Watch」や「Car Watch」で毎年1月にお届けしている世界最大のテクノロジー製品展示会「CES」も、ラスベガスでなければあれほどの巨大展示会は開催できないだろう。

 ラスベガス観光局 副局長 マイケル・ゴールドスミス氏に、観光地としてのラスベガスについてうかがったので、ここにお届けする。

アメリカ ネバダ州にあるラスベガス。グランドキャニオン国立公園にも近く、カジノ、コンベションセンター、ショッピングセンターなどさまざまな大規模施設を備える

──ラスベガスというと、日本ではカジノの街であるとか、ネオンが輝く豪華な街であるとか、IRの先進的な街であるというイメージがあります。ラスベガス観光局としてはラスベガスをどのような街だと考えていますか?

マイケル・ゴールドスミス氏:私たちはラスベガスをダイバーシティ、バラエティの街であると捉えています。ラスベガスにはカジノ、ゴージャスなホテル、ショッピングモール、レストランなどすべてがあります。そして、ラスベガスは世界で最もエキサイティングな都市です。

──もう1つラスベガスで特徴的なことは、本当に夜まで世界中から訪れた大勢の観光客が楽しんでいるように、全米の中では安全な街であると感じます。この安全というのは、とくに工夫しているところはあるのですか?

ゴールドスミス氏:ラスベガスとしても人々の安全を保つことはとても大切だと思っています。ラスベガスはホスピタリティをもって人々を迎えるために作られた街です。そのため、安全性を保つということは一番大事なことだと思っています。海外からの渡航者だろうが、米国内からの旅行者だろうが、彼らのために安全性を保つことは大切だと思っています。

──ラスベガスでは世界最大のコンシューマテクノロジー製品の展示会「CES」が毎年1月に開催されています。毎年CESに取材で訪れていると、ラスベガスがとくに先進的な交通システムに力を入れているように感じます。2017年のCES取材では、UberやLyftなどのシェアライドシステムが街中で普及しており、非常に便利に使うことができました。これは特別な取り組みをしているのですか?

ゴールドスミス氏:ラスベガスにはUberやLyftなどの先進的な移動手段もありますが、タクシー、モノレールもあるほか、安全な街なので歩くこともできます。交通の手段はたくさんあります。

数多くの世界的なトレードショーなどが開催されるLVCC。ラスベガスの立地条件やホテルなどのキャパシティ、街中の安全性などが高く評価されている

──近年のラスベガスのトピックはどんなものになりますか? 例えば新しいホテルのオープンであるとか。

ゴールドスミス氏:新しいホテルでいえば、「ラッキー ドラゴン ラスベガス」が2016年の12月にオープンしました。そのほか、「リゾートワールド・ラスベガス」というホテルが2019年オープン予定となっています。

 ラスベガスではショーも魅力的です。バックストリート・ボーイズのショーが3月より開始されます。ショーでは、シルク・ドゥ・ソレイユ、セリーヌ・ディオンなども人気があります。また、2016年4月にオープンした「T-モバイル・アリーナ」ではバスケットボールやホッケー、ライブコンサートなどさまざまなものが予定されています。

 ラスベガスではレストランも人気です。世界的に有名なシェフがラスベガスで店舗を開設したいと思い、ラスベガスのレストランではいつもイノベーションが起きています。

 新しい施設としては「スピードベガス」という施設ができ、フェラーリ、ランボルギーニ、ポルシェといったスポーツカーをサーキットコースで楽しめます。また、「ハイローラー」というアメリカ最大の巨大観覧車も人気です。1周約30分のハイローラーから見るラスベガスの景色には素晴らしいものがあります。

──ラスベガスに向かうには、どのような航空便がお勧めですか?

ゴールドスミス氏:ラスベガスへの直行便はCESの時期はデルタ航空が臨時便を運航しています。それ以外の時期は、カナダのバンクーバー経由や米国のシアトル、ロサンゼルス経由など便利なワンストップの便が豊富にあります。アジアからの渡航者数で言えば、日本がNo.1です。

──日本から観光地としてのラスベガスに行くには、直行便がCESの時期にしかないこともあってどこかの地域とラスベガスを楽しむのが一般的かと思います。どこの地域と組み合わせてラスベガスを楽しんでほしいですか?

ゴールドスミス氏:Only LasVegas(笑)。ラスベガスは西海岸の中心となっています。ラスベガスを通じて、デスバレーやグランドキャニオンにも行きやすくなっています。カリフォルニア、ロサンゼルス、サンディエゴからはクルマでの移動も可能で、ロサンゼルスから来られる方は1/3がクルマでいらっしゃいます。300マイル(約480km)で、5時間ちょっとかかります。

──ラスベガスは早くからインターネット回線が整備された関係もあって、数年前は非常にインターネット回線が遅くなっていました。ところがここ数年急速に接続速度が改善されているように感じます。これは何か整備を進めているのでしょうか?

ゴールドスミス氏:旅行者の方、ビジネスマンの方はより便利なインターネット環境を求めていますので、コンベンションセンター内やホテル内のホットスポット(無料のWi-Fiアクセスポイント)の増設を進めています。

 また、改善という意味ではモノレールの延伸計画もあります。例えば、今後(マッカラン)空港まで延ばしたり、コンベンションセンターのあるマンダレイベイホテルに接続する計画もあります。ただ、現在は計画だけで、具体的な時期は明確になっていません。

──ラスベガスには多くの観光資源があります。とくに日本人に見てほしいものとかはありますか?

ゴールドスミス氏:例えばグランドキャニオン国立公園などの自然、ベラージオの噴水ショーやミラージュの火山のショーなどホテルのイベントがお勧めです。また。ベネチアン ラスベガスのグランドキャナルショップ、シーザース・パレスのフォーラム・ショップス、ダウンタウンのノースプレミアムアウトレットなど、屋内外のショッピングモールがあり、それぞれ違いがあり楽しめます。

──今後のラスベガスの方向性などはありますか?

ゴールドスミス氏:私たちはラスベガスは世界で最もエキサイティングな都市であると考えています。そして、このポジションを維持し続けることがとても重要です。より多くの方にまたラスベガスに来ていただきたいと考えています。

──最後に、ラスベガスを訪れる日本の人にメッセージをいただけますか?

ゴールドスミス氏:私たちにとって日本からラスベガスを訪れてくれる方は非常に重要だと思っています。ラスベガスに来られた日本人の方は、レストランでの食事を楽しんだり、ショッピングやエンターテイメントを楽しんだり、スパ、グランドキャニオンなどに行かれているようです。私たちは日本人観光客を大切におもてなししたいと思っていますし、今年も来年もより多くの方に来ていただきたいと思っています。

ラスベガス ストリップに立ち並ぶ巨大ホテル。宿泊価格は大規模展示会開催時以外は意外と安価。アメリカ観光の際にラスベガスを組み込むのはありだろう