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ANAの新機材「エアバス A320neo」シート体験や機内食試食など国際線サービス無料体験会「#知らなかったANA」開催中

ファーストクラスシートなど無料体験。六本木の東京ミッドタウンで11月13日まで

2016年11月10日~13日 開催

ファーストクラスとビジネスクラスではCAがサポートし、シート機能を解説してくれる

 ANA(全日本空輸)は、東京ミッドタウン(東京都港区赤坂)ガレリア地下1階 アトリウムにおいて、国際線の各種クラスのシート体験や国際線機内食の試食などができるイベント「#知らなかったANA ~サービス体験会~」を、11月10日~13日の4日間にわたって開催している。開催時間は11時~19時。

 イベントではCA(客室乗務員)がファーストクラス、ビジネスクラスシートの説明をしてくれるほか、実際に座ってみることもできる。また、2016年度末までに導入が予定されているANAの国際線新機材「エアバス A320neo」型機のビジネスクラスシートとエコノミークラスシートを体験できるコーナーも用意されており、就航前の機体のシートを体験できるのも大きな注目ポイントとなっている。

東京ミッドタウン ガレリア地下1階 アトリウムで開催中のANA国際線サービス無料体験会「#知らなかったANA」

クイズとアンケートに答えると機内食の試食ができる「#知らなかったANA ~サービス体験会~」

 今回ANAが開催しているイベントは、同社広報によればこれまで一般向けには開催した記憶がないというオープンスペースでのシート体験会で、通常は旅行業界向けのイベントなどで行なわれている内容の一般顧客向けバージョンとなるもの。開催されている場所は東京ミッドタウン内にあるショッピングモールのオープンスペース。

 会場奥のスペースで旅行業界向けのセミナーが行なわれており、そこだけは関係者のみとなっているが、ファーストクラス、ビジネスクラス、プレミアムエコノミー、エコノミークラスなどのシートが置かれているエリアはオープンスペースなので誰でも入場可能だ。

 機内食の試食サービスも行なわれるが、それを楽しめるのはクイズラリーとアンケートに答える必要がある。機内食を試食してみたい来場者は、会場スタッフが配布しているクイズラリー用紙を受け取って、各シートの側面に設置されている解説パネルを読みながらクイズに答え、アンケートを記入しよう。

クイズラリーとオリジナルタグの案内

 試食できる機内食は3種類で、深夜便の国際線ビジネスクラスで提供するアミューズ「スモークサーモントラウトと胡瓜のロール」、長距離の国際線ビジネスクラスで提供するデザート「ミルクチョコレートとマンダリンオレンジのムース」、そして全クラスで提供する「茅乃舎の野菜だしスープ」になる。アミューズとデザートはもちろん見た目どおりに美味しいのだが、とても印象的な味なのは茅乃舎の野菜だしスープ。ベジタリアンの人でも食べられるように野菜から出汁をとったスープとのことだが、かなりコクがあって美味しくいただけた。

配膳されていく機内食の試食
手前左からアミューズ、手前右がデザート、奥が茅乃舎の野菜だしスープ

 なお、今回のイベントを体験をSNS(Facebook、Twitter、Instagram)にハッシュタグ「#知らなかったANA」とANAのアカウント名(Facebook:@ana.japan、Twitter:@ANA_travel_info、Instagram:@ana.japan)を付けて投稿し、インフォメーションでそれを見せると、ANAオリジナルタグがもらえるキャンペーンをやっている。なお、機内食の試食、オリジナルタグはなくなり次第終了となるので、ほしい人はいち早く会場へ向かおう。

 このほか、会場のインフォメーションの裏には、スターウォーズ特別塗装の「R2-D2 ANA JET」(ボーイング 787-9型機)のモデルプレーンが展示されている。このスターウォーズの最新作「スター・ウォーズ/フォース の覚醒」に出演した俳優、女優、監督などの直筆サインが入った特別なものだ。レイ役のデイジー・リドリーさん、ポー役のオスカー・アイザックさん、ハン・ソロ役のハリソン・フォードさんら名だたるハリウッド俳優・女優のサインが入っている。

R2-D2 ANA JET(ボーイング 787-9型機)のモデルプレーン
スターウォーズジェットの機材についての解説
スターウォーズジェットのモデルに書かれたサインの解説
Sの上あたりがレイ役のデイジー・リドリーさん、ARの上あたりがポー役のオスカー・アイザックさんのサイン
ハン・ソロ役のハリソン・フォードさんのサイン

 プレミアムエコノミークラス、エコノミークラスシートでは、ビジネスクラスのバーチャルフライトを楽しめる、VR体験も行なわれている。タカラトミーが販売する予定の「JOYVR」というVR HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を利用しており、シートだけでなく空港での体験なども含めて体験できる。

VR体験の案内
タカラトミーのVR HMDとなるJOYVRを利用
VR HMDを着けているところ、同時にエコノミークラスまたはプレミアムエコノミークラスのシートを体験できる

一番人気は憧れのファーストクラスシート、東京西川の寝具も導入されている

 今回の体験会で最も人気を博していたのは、やはりファーストクラスシートだ。今回展示されているのは、ボーイング 777-300ER型機のファーストクラスシートで、誰にとっても憧れのファーストクラスシートに座れる、さらに1席のみしかないという事情も影響してか、多くの来場者が列を作っていた。

ファーストクラスシートの解説

 今回展示されていたボーイング 777-300ER型機のファーストクラスのシートは「ANA FIRST SQUARE」という名前が付けられており、首まですっぽり入るのではないかと思えるぐらい高い壁で仕切られている構造になっている。この壁も工夫されており、内部は暖色の木目、外部は白の木目となっており、室内と室外という雰囲気を醸し出す工夫がされている。実際に中に入ってみると分かるが、かなりプライベート感がある作りになっている。

とてもプライベート感があるファーストクラスシート
オットマン
オットマンの下にはスペースがあり、ちょっとしたスーツケースぐらいなら余裕で収納できる。今回はここに東京西川の「AiR」ブランドのコンディショニングマットレスが収納されていた

 シートはもちろんフルフラットになる構造になっているが、単にベッドになるだけではない。寝具メーカーの東京西川とコラボレーションしており、同社の「AiR」ブランドのコンディショニングマットレス、次世代型軽量コンフォーター(掛け布団)、エンジェルフロート(枕)が寝具として用意される。実際に敷いてもらったが快適に眠ることができそうだった。

フルフラットにしていくところ
東京西川の寝具を含めて引いてもらったところ、ほとんど普通のベッドだ
机を出したところ、13.3型のノートPCを置いてもスペースがあまりまくっている
小物入れなど
アメニティキットやスリッパの収納場所
ヘッドフォン収納場所
ユニバーサルAC電源
USB電源とスイッチ

 そのシートを動かすリモコンも、ビジネスクラスの固定ボタンとは異なり、スマートフォンのような液晶がついたスイッチになっている。かつこのリモコンも取り外して近くに持ってきて操作することが可能だ(ただし有線)。ファーストクラスの場合はシートがかなり大きいので、壁にスイッチが付いていると席を起こすためにまず人が起きないといけなくなってしまうので、こうした仕様になっているということだった。

椅子を調整するリモコン、写真のように取り外して操作できる

 このほか、13.3型のノートPCを置いても、スペースがあり余るワーキングデスク、23型というデスクトップPC並の大型液晶を採用したエンタテイメントシステムなど、その仕様は“ゴージャス”としか表現のしようがなかった。

 すでに述べたとおり、ファーストクラスのシートは1席分しかないので、列は長くなりがちだが、“いつかはファーストクラス”を地上だけど体験してみたいという人はぜひ行ってみるといいだろう。

ビジネスクラスとプレミアムエコノミークラスのシートも展示

 ビジネスクラスのシートはボーイング 777-300ER型機、ボーイング 787-8型機の一部、ボーイング 787-9型機に採用されている「ANA BUSINESS STAGGERED」、通称“スタッガードシート”。従来のANAビジネスシートに比べて居住スペースを150%広げた余裕ある作りが特徴。また、全席通路からアクセスできるように配慮されているなど、最新のビジネスクラスのトレンドを取り入れたシートになっている。

スタガードシートの全景
スタッガードシートの説明
アメニティキットとスリッパ、ヘッドフォン
ノーマル状態
シートの操作パネル
フルフラットシートになる

 シートはもちろん完全フルフラットになる作りで、こちらにも東京西川の寝具が用意されている。テーブルも13.3型のノートPCを出してもまだ余裕がある作りで、AC電源とUSB電源、さらにはDC電源の3系統が用意されている。なお、エンタテイメントシステムは17型タッチパネルになっており、シートの上にあるDND(Do Not Disturb)のランプを点けておくと、機内食のサービス時などにも起こされることがないようなどに配慮されている。

 会場ではこのスタッガードシートが6席用意されており、こちらはあまり並ばずに体験できていた。なお、ビジネスクラスとファーストクラスのシートにはCAが常駐しており、シートのよさなどを説明してくれるので、ゆっくり話を聞きながらシートを体験してみたいというならビジネスクラスが狙い目かもしれない。

机を出したところ
13.3型のノートPCを置いてもまだ余裕がある
電源類
コートを掛けるフック

 プレミアムエコノミーはエコノミークラスに比べて広いピッチ、大型のヘッドレスト、フットレストなどを備えている。もちろんビジネスクラスほどは広くないし、フルフラットシートにはならないが、それでもゆったりしている感じなどを体感することができるだろう。

プレミアムエコノミーシートの解説
プレミアムエコノミーシート

2016年度末までに導入予定のエアバス A320neo型機のシートをいち早く体験

 今回のイベントの目玉となるのが、ANAが2016年度末までに導入を計画している、新機材「エアバス A320neo」型機(以下A320neo)のシートが体験できるコーナーだ。

エアバス A320neo型機の解説パネル

 A320neoの“neo”は“New Engine Option”の略で、より大きなウィングレット、大型エンジンなどの新装備を搭載したA320型機のこと。燃費が約15%改善することが特徴になる。ANAによれば、現在ボーイング 737型機を飛ばしている関西国際空港や中部国際空港から中国への路線などに配備される予定だという。

 ANAが注文しているA320neoは、始めから国際線仕様として、シートなどは国際線に合わせた仕様になっており、A320型機やボーイング 737クラスの機材では珍しく、ビジネスクラスが電動シートになっていることが特徴だという。しかも、従来のボーイング 737のシート幅50cm、リクライニング角度120度という仕様からアップグレードされており、シート幅は52cm、リクライニング角度130度とより余裕がある設計になっている。

A320neoのビジネスクラスシート
A320neoのビジネスクラスシートの解説
A320neoのビジネスクラスシートが備えるユニバーサルAC電源とUSB電源
電動のシートリクライニング操作スイッチなど
フットレストとレッグレスト

 A320neoではエコノミークラスのシートも工夫されている。ANAの担当者によれば、前後ピッチ(シートの後部からシートの後部までの幅)は従来と変わっていないそうだが、背もたれがより薄くなっており、乗客が使える実際のピッチ(シートの後部からシートの背もたれまでのスペース)は広くなっているという。これが実現できたのは、A320neoのシートでは背もたれの素材を軽くて薄くすることができるカーボンに変更したため。また、地味な変更だが、肘掛けの幅も従来のシートに比べて広くなっているということで、隣の人との肘掛け争奪戦も減りそうだ。

A320neoのエコノミークラスシートの解説
A320neoのエコノミークラスシート
ユニバーサルAC電源
シートモニター
背もたれと肘掛け

 ANAの担当者によれば、このシートはANAが自ら開発してシートメーカーに作ってもらったもので、座面の高さなども日本人の体格に合わせて調整してあるとのこと。確かに座ってみると日本人としてはかなり大柄な筆者でも十分にスペースがあることが確認できた。

日本人男性としてはかなり大柄な部類の筆者だが、それでもこれだけのスペースがあった

 また、A320neoでは新しい機内エンタテイメントシステムも導入される。ANAで「スカイマスター4」と呼ばれるその新システムの特徴は、集中的にコンテンツを配信する配信サーバーからの動画データなどをキャッシュするSDカードが、各席の端末に入っていることだという。

A320neoで採用される新しいエンタテイメントシステム
スカイライブTVや電子書籍などの機能が追加されている
電子書籍には日本語だけでなく多言語も用意される
映画などの再生も可能
エコノミークラス用の10型、下の9.7型iPad Proとほぼ同じ画面サイズ

 一般的な機内エンタテイメントシステムは、機内に置いているサーバーと呼ばれる機器にデータが置かれていて、各席の端末からは映画などの再生のリクエストを機内に引かれている有線のネットワークを経由して送り、それに応答したサーバーがデータを断続的に送って再生する形になっている。

 このシステムはどこかの席などで不具合が発生した場合、サーバーそのものをリセットしなければいけない場合がある。この場合、なんらかの問題が一部の席で発生したときに、その問題がある席だけでなく、すべての席の再生状態がリセットされてしまい、全員強制的に映画の最初に戻されてしまう。こうした事態は、これまでのシステムでは時々起こっていた。また、その有線ネットワークで送れるデータ量には制限があるので、映画の画質も抑え気味にしなければならなかった。

 しかし、このスカイマスター4で導入されたシステムでは映画のデータなどは、各席の端末に入っているSDカードにキャッシュという形で保存されるので、リクエストがあったときにはそのキャッシュにあるデータを再生することができる。このため、これまでよりも鮮明な画質で映画を再生できるし、どこかの席で問題があったときにはシートモニターそのもののみを交換すればよく、サーバーを再起動して全体に影響する事態も避けられるのだ。

メンテナンスでは特殊な工具を使ってこのように分離できる
システムの裏面
SDカードを入れてキャッシュとして利用可能

 また、一部の機材ではすでに導入されているスカイライブTV(NHKの衛星放送などをライブ中継する機能)の機能が搭載されているほか、国際線の中小型機では導入例が少ない機内インターネットも最初から導入されており、各席にPCを充電するためのAC電源、スマートフォンを充電するためのUSB端子も標準装備となっている。

 機内インターネットに関してはさすがにイベントでは体験はできないが、エンタテイメントシステムに関しては新しいシステムを体験できる(ただしコンテンツは一部のみ)ので、興味があるユーザーはチェックしてみるといいだろう。

基本操作はタッチパネルで行なうが、このように従来型のコントローラでも操作が可能。黒いのはポインティングデバイスで、指で滑らせながらポインターを操作できる
十字キーなどは主にゲーム用だという