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WILLER、都心と成田空港を結ぶ低価格高速バス路線「成田シャトル」運行開始

大崎駅西口バスターミナル~成田国際空港~芝山町間を“WEB割”で片道1000円から

2016年10月31日 運行開始

成田シャトル WILLER EXPRESSのピンクが特徴の車両デザイン。成田空港・芝山町、大崎駅を結ぶ

 WILLER ALLIANCE、京成バス、千葉交通、品川区、芝山町(千葉県)、成田国際空港(NAA)は、10月31日から都心の大崎駅西口バスターミナルと成田空港、芝山町を結ぶ低価格高速バス路線「成田シャトル」の運行を開始。これ合わせて同日、芝山町役場から出発するバスの前で開業式と見送りが行なわれた。運行会社は、WILLER EXPRESS北信越のほか、京成グループの京成バスと千葉交通も共同運行。まずは1日43便が運行され、順次増便も予定されている。

 成田シャトルの運行ルートは、大崎駅西口バスターミナル~成田国際空港~芝山中学校入口~芝山町役場。大崎と成田空港間だけでなく、空港近辺居住者の利便性を考え芝山町まで伸ばしている。成田空港~芝山町間のみの利用はできない。

 成田空港のターミナル巡回ルートは、大崎駅発が第2→第1→第3、芝山町発が第3→第2→第1の順。早朝や深夜には一部のターミナルに停車しない便もあるので注意が必要だ。

 ピーク時間帯では最短30分間隔で運行され、大崎駅発の成田空港・芝山行きは始発が5時15分発、最終が翌日1時発、芝山町役場発の大崎駅行き始発は5時15分発、最終は22時15分発。所要時間は約1時間半。

 価格は片道1200円(子供600円、障がい者600円、子供障がい者300円)で、Webから予約、決済をすると「WEB割」で1000円になる。また数量限定だが、6カ月有効で4枚綴り2000円(片道500円)の「WEB回数券」も販売されている。座席指定はなく全席自由席。混雑状況により補助席も使われる。

 WILLER EXPRESSでは、成田シャトルに新シートの車両6台を導入。その1台が公開された。

WILLER EXPRESS 成田シャトルの新車両
WILLER EXPRESS 成田シャトル、正面から
WILLER EXPRESS 成田シャトル、真横から
WILLER EXPRESS 成田シャトル、斜め後ろ
WILLER EXPRESS 成田シャトル、後面から
WILLER EXPRESS 成田シャトル、横面デザイン。空港シャトルであることがすぐ分かるデザイン
トランクスペースは3つに分かれている
空港向け便ではターミナル別に行き先ごとにトランクスペースが分けられる
乗降口周辺
乗降口ドアに付く行先方向幕
フロント行先方向幕。成田空港・芝山町行。下部にAMB(衝突被害軽減ブレーキ)用のセンサー
フロント行先方向幕。大崎駅西口バスターミナル行き
フロントガラス側にMDAS-III(運転注意力モニター)用白線認識カメラとデジタコ・ドライブレコーダーが並ぶ
共同運行する千葉交通の車両
共同運行する千葉交通の車両

 車内は、補助席8席を含め49座席(予約48席)の革張りシート。見学した車両は白の革張りシートに木目調の床で、とても明るい印象の室内デザインとなっている。各シートに専用の充電用USBポートが備えられて、無料のWi-Fiも利用できる。トイレルームは装備されていない。なお今回、共同運行する京成バスと千葉交通の車内装備は、これとは異なる。

WILLER EXPRESS 成田シャトルの室内。4列シート
シートは白い革張り。シート幅は最大で44cm
最後部の座席。トイレルームは装備されていない
リクライニングを立てた状態
リクライニングを寝かせた状態。最大斜度は130度
シート座面と足下。シート間隔は79.5cm
シートのヘッドレスト
シート背裏には、網ポケットなど
ドリンクホルダーと荷掛フック
窓側座席用のUSB充電ポート
容量は2A。フタをスライドさせて使用する
通路側はアームレスト付近にUSB充電ポートがある
アームレストは可動
ヘッドレスト横の持ち手
前方座席には補助席も用意される
補助席を出したところ
オーバーヘッドコンパートメント
窓は引き違い窓で開けることができる。WILLER EXPRESSの車両では初採用とのこと
床面はウッド調のクッションフロア
通路を照らす足元灯
乗降ステップ
運転席周辺
運賃箱が装備されている。ネット支払いをしていない場合には、これで運賃を支払う。交通系ICカードは使用不可
行き先案内板は多言語表示
バスが発着する芝山町役場

 芝山町役場から8時25分発のバスに合わせて、開業式も行なわれた。

 主催者代表として挨拶に立ったWILLER EXPRESS JAPAN 代表取締役 平山幸司氏は「たくさんの方々のご支援をいただき、ようやく成田シャトルが開業できました。今回はこちらに営業所も建設いたしました。地域の方々、そして旅行者に愛される路線として育てていきたいと考えています」と挨拶。

 続けて、同じ主催者として千葉交通 取締役社長 飯島俊一氏が「ご尽力いただいた方々に御礼申し上げます。千葉交通は地元の方々にご利用いただいていますが、成田シャトルは地元の方はもとより、成田空港ご利用の皆さまにとっても都心直結の新路線ですので、成田空港とその地域の発展に貢献できると自負しています。成田シャトルが皆さまに愛され、地域の交通ネットワークの核となるよう、安心、安全、快適なサービス提供に努めていきます」と挨拶した。

WILLER EXPRESS JAPAN 株式会社 代表取締役 平山幸司氏
千葉交通株式会社 取締役社長 飯島俊一氏

 さらに来賓として3名が挨拶した。芝山町 町長 相川勝重氏から、「私ども地元の予想をはるかに超える、充実した成田シャトルの開設に感謝いたします。都市と農村間の地域の架け橋になってくれるものと信じています。芝山町からは都市の豊かさを求め、都会からは農村地域の豊かさを実感してもらえる路線になってくれるものと思っています。さらに、成田空港に関しては、“南北格差”という課題があります。これの解消にもつながってきます。首都圏機能として成田空港の機能強化と、地域と空港との共生でも大きな意味を持っていると認識しています。夢と期待を乗せて成田シャトルの運行が開始されました。精一杯応援していきたいと思います」と挨拶があった。

 続けて、芝山町 町議会議長 戸井沢夫氏は、「未来に向けてすばらしい朝日が昇りました。東京都心へのアクセス環境の整備は、全芝山町民の悲願です。芝山町役場から成田空港を経由して都心への直接路線が開設されたことは、芝山町民念願の前進の一歩です。芝山鉄道の延伸を待ち望んでいるところではありますが、まずはこの高速バス路線の開通がもたらす成田空港周辺地域の格差是正を含めた、アクセス環境の改善による経済的効果に期待しています」と挨拶した。

 最後に、成田国際空港 代表取締役副社長 斉田正己氏が、「成田シャトルは、WILLER EXPRESS北信越に京成バスと千葉交通を加え、1日43便もの充実したサービスを提供いただきました。芝山町の中心部と都心とをダイレクトに結ぶことになります。芝山町の皆さまの通勤、通学の足として利用いただけることに加え、新たな人の流れが創出されることによって、芝山町~品川区両地域の一層の繁栄に期待します。成田空港から見ると、本路線は山手線西側の大崎駅への低廉な運賃によるダイレクトアクセスを可能にします。空港アクセスの選択肢を増やすことで、成田空港がより身近で選ばれる空港になると期待しています。今後もアジアの成長を背景とした訪日外国人旅客のさらなる増大、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催などにより、空港をとりまく環境が大きく変化してきます。真に選ばれる空港になるよう、アクセス面での利便性向上にも引き続き取り組み、世界最高水準の空港を目指していきます」と挨拶した。

 その後、テープカットと乗務員への花束贈呈があり、8時25分発の便が関係者に見送られながら、定刻に大崎駅に向けて発車した。

芝山町 町長 相川勝重氏
芝山町 町議会議長 戸井沢夫氏
成田国際空港株式会社 代表取締役副社長 斉田正己氏
成田空港マスコットキャラクター「クウタン」(左)と芝山町キャラクター「しばっこくん」(右)も駆けつけた
バスの前で、関係者一同のテープカット
しばっこくんがこれから発車するバスの乗務員 本田一修さんに花束を贈呈
バス停留所の標識柱。ピンク色で分かりやすい
停留所の標識柱には運行開始の貼り紙
標識柱の時刻表。「CK」は千葉交通、「KS」は京成バス。無印はWILLER EXPRESS
さっそく乗客が乗り込む
関係者が見送るなか、成田空港、大崎駅へ向けて出発

 これまでも、都心と成田空港を結ぶ低価格なバス路線として、京成バスの「東京シャトル」や、ビィー・トランセグループとジェイアールバス関東の「THEアクセス成田」があった。これらは主にお台場、銀座、東京駅など都心東側とを結んでいる。これに今回運行を開始した成田シャトルが加わり、西側方面からの利便性が高まる。

 また成田空港で止まらず、芝山町まで伸ばしている点も新しい取り組みだ。地元の人の都心へのアクセスを考えてとのことだが、もちろん都心側からも芝山町~成田空港周辺を楽しむ目的にも使える。成田シャトルでは芝山町~成田空港間のみは利用はできないが、この区間は空港第2旅客ターミナルと横芝屋形海岸間で「空港シャトルバス」が1日12往復しており、「芝山文化センター前」停留所が町役場に近い。途中には「航空博物館」の停留所もある。

 芝山町は、野菜や米など農作物の産地として名高く、芝山町役場近くの道の駅「風和里しばやま」には、多数の野菜など食料品が手頃な価格で直売され、観光バスなども停車し活況を呈していた。空港利用の復路で時間があれば、ちょっと足を伸ばしてのどかな風景を楽しみつつ、新鮮野菜など名産品ショッピングもお得に楽しんでみてはいかがだろう。成田空港周辺の魅力の一つを楽しんで見てほしい。

芝山町は成田空港のすぐ近く。上空を飛行機が間近に飛ぶ
付近は古墳が多く、あちこちにはにわのモニュメントがある。芝山古墳やはにわ博物館もあり、毎年11月の第2日曜日には「芝山はにわ祭」も開催される
芝山町の案内図。空港とは「空港シャトルバス」が1日12往復
芝山町役場から徒歩圏内に道の駅「風和里しばやま」がある。生鮮食料品やお土産などが豊富
道の駅「風和里しばやま」では、芝山町キャラクター「しばっこくん」がお出迎え
風和里しばやまで芝山産の新米とリーフレタス、プチトマトを購入。直売のため新鮮で安価。現在葉物野菜は高騰しているのでとてもお得
成田シャトル横でWILLER EXPRESS JAPAN 平山代表取締役と乗務員