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JR東日本、福島県いわき市で栽培した「JRとまと」を首都圏へ本格出荷、トマト狩りなどの体験会も検討

ベッカーズ30周年記念の熟成アンガスビーフを使ったハンバーガーも登場

2016年9月21日 発表

JRとまとランドいわきファームで採れた「JRとまと」を活用したメニューは多岐に渡る

 JR東日本(東日本旅客鉄道)は9月21日、JR東日本グループが取り組む、6次産業化に向けたものづくりプロジェクト「のもの1-2-3 プロジェクト」の一環として、「JRとまとランドいわきファーム」で採れたトマト「JRとまと」を首都圏で本格的に展開すると発表した。エキナカで店舗展開するベッカーズの30周年記念期間限定ハンバーガーをはじめ、JR東日本グループ各社がJRとまとを活用したさまざまな新メニューを展開する。

 記者説明会では、JR東日本 事業創造本部 地域活性化部門 アグリビジネスグループ 課長 笹川俊成氏が登壇し、「JR東日本グループの経営構想Vの中で“地域に生きる”を一つのコンセプトとし、地産品の販路拡大や6次産業化に向けた活動に取り組んでいる」と挨拶した。

東日本旅客鉄道株式会社 事業創造本部 地域活性化部門 アグリビジネスグループの笹川俊成氏は「首都圏と地域との間で、人とモノが循環していくような活動を目指す」と挨拶

 取り組みを進めていくなかで、農産物の作り手が減少しているという地域の現状に触れ、JR東日本グループが持っているネットワークや、鉄道事業で培った地域との関係などを農業と結びつければ、新しい価値を生み出せるのではないかと農業に参入することになったという。

 農業参入の第1号案件が、「JRとまとランドいわきファーム」となる。福島県いわき市は日照時間が長く、日照時間が必要なトマトの生産が盛んな地域。新しい技術を取り入れながらトマト生産に取り組み、福島の農業を復興しようと活躍している農業者と手を組み、法人を設立した。

 JRとまとランドいわきファームで生産したトマトは、収穫量が安定するまではJR東日本グループ、隣接する直売所・レストラン・加工工場を持つ6次産業化施設「ワンダーファーム」、JAいわきの市場に出荷していた。9月を過ぎて収穫量が安定してきたため、首都圏に向けて本格的に出荷する。これに合わせ、JR東日本グループのJRとまと活用が本格化する。

 笹川氏は、「さまざまな業態のさまざまなメニューで、このJRとまとを活用することで、多くの方々に、JRとまとに接していただく。これを機に、いわき産トマトの素晴らしい品質を感じてもらい、需要を大きくしていきたい。また、美味しいトマトを生み出すいわきの活動を発信していきたい」と語った。

「JRとまとランドいわきファームはモノを作るだけでなく、観光流動を起こすきっかけにしたい」と語る、株式会社JRとまとランドいわきファーム 代表取締役社長の本木寛氏

 続いて、JRとまとランドいわきファーム 代表取締役社長 本木寛氏が登壇し、「この取り組みは、東日本大震災の被災地でもある福島県の農業の振興と復興に、大変意義深いものだと思っている。震災以前から農業の衰退は、全国的な課題。JR東日本と農業者が共同で行なう取り組みは、新たな地域活性化のモデル事例になる」と挨拶した。

 JRとまとランドいわきファームでは、新しい太陽光利用型植物工場としてトマトを生産。6月下旬から出荷をスタートし、これまで約160トンのトマトを生産した。環境制御された温室のなかで、ほぼ終年栽培が可能。大玉トマト、中玉トマト、ミニトマトなど11種類のトマトを生産し、自前の選果施設で幅広いニーズに応えられ、さまざまな業態の店に供給できる。また、隣接するワンダーファームと連携して事業を進めており、JRとまとランドいわきファームで採れたトマトをすぐに、ワンダーファームの加工施設でトマトジュースやケチャップなどの加工商品に加工しているという。

 本木氏は、「モノを作るだけでなくコトも作っていく。JRとまとランドいわきファームのハウスで、トマト狩りや、採れたてトマトをすぐにトマトジュースにする体験など、コト作りにも力を入れて、首都圏の方々にたくさん来ていただき観光流動を起こしたい」と語った。

JRとまとランドいわきファームは太陽光利用型植物工場で11種類のトマトを栽培
ジェイアール東日本フードビジネス株式会社 常務取締役営業本部長 清水泰治氏は「ザ★プレミアムバーガーは自信を持ってお勧めできる商品」と意気込みを見せる

 JR東日本フードビジネス常務取締役営業本部長 清水泰治氏は、JRとまとを使用した商品展開について説明。9月から、ベックスコーヒーショップの「クラブハウスサンド」「BLTサンド」「バジルチキンサンド」で使うトマトをJRとまとに変更。また、ベッカーズでも、プレミアムバーガーのほか、「別格」シリーズの「ザ★ハンバーガー」、クロワッサンの「バジルチキン&トマト」のほか、「ミニトマト」が同様に9月からJRとまとに変更済みという。

 また、主力業態であるベッカーズは1986年10月8日に1号店がオープンし、今年で30周年。それを記念して、JRとまとと、JRとまとランドいわきファームのオリジナルトマトケチャップを使った「熟成アンガスビーフ『別格』ザ★プレミアムバーガー」を、10月1日から1カ月間、全店4000食で限定販売する。価格は1280円。

 熟成アンガスビーフ「別格」ザ★プレミアムバーガーは、1つで1000kカロリー。重量は350gと、かなりのボリュームとなる。ミートパティで熟成アンガスビーフを使うのはベッカーズでは初。120gの重量があるオリジナルミートパティを注文後焼き上げ、レッドチェダーチーズ、JRとまとランドいわきファーム産トマト(品種りんか409)、グリルした国産オニオン、無農薬フリルレタスなどの具と一緒に自家焼成の酒種バンズで挟み、提供までに約8分~10分が必要だという。トマトケチャップは、JRとまとランドいわきファームオリジナルトマトケチャップ。

 清水氏は、「アンガスビーフの仕入れ価格が高く、原価率が50%以上となる。1000円を超える商品は初めてとなるが、これはチャレンジ価格。サービス商品として、自信を持ってお勧めできる」とアピールした。

JRとまとランドいわきファームのトマトとトマトケチャップを使ったベッカーズ30周年記念期間限定商品「熟成アンガスビーフ『別格』ザ★プレミアムバーガー」(1280円)
ベックスコーヒーショップのクラブハウスサンド「B.L.T.サンド」(420円)の具材もJRトマトに変更される
試食で提供された「別格」ザ★プレミアムバーガー。ハーフサイズだったが、うま味が詰まっていて十分なボリューム。この価格でも納得できるだろう

 このほかにも説明会では、JR東日本リテールネット 商品部の蕗澤拓氏が駅中コンビニのNewDaysで販売するJRとまとランドいわきファームの「カンパリトマト」を使ったサラダ2品を、JR東日本ウォータービジネスの石川元彦氏が「青森りんご とまとブレンド」を紹介。「青森りんご とまとブレンド」は、JRとまとランドいわきファームで採れた生果用のトマトを使用。通常は加工用を使うが、今回はぜいたくに生果用を使っているとアピール。温冷共用で提供し、温度帯によって違った味が楽しめるという。

NewDaysで販売する「カンパリトマト」を使ったサラダを説明する株式会社JR東日本リテールネット 商品部の蕗澤拓氏
「カンパリトマトのイタリアンパスタサラダ」(398円、左)、「カンパリトマトと豆腐のじゃこサラダ」(348円、右)
株式会社JR東日本ウォータービジネスの石川元彦氏は「ホットでもコールドでも、温度帯によって違った味が楽しめる」と説明
人気の「青森りんご」シリーズにJRとまとランドいわきファームの生果用トマトをブレンドした温冷共用「青森りんご とまとブレンド」(160円)