荒木麻美のパリ生活

パリ郊外へ行こう! ~シュヴルーズ~

電車で1時間でも旅行気分を満喫

パリ郊外のシュヴルーズにあるマドレーヌ城

 過ぎてしまえばあっという間、4年間の学生生活が終わりました。卒業試験が11月と12月の2回に分けてあったのですが、復習をすればするほど「あぁ、あれも知らない! これも忘れた!」という焦り、緊張、不安でストレスもMAXに。そんな私を心配して、いつもやさしいクラスメイトのサンドリンが「うちに遊びにおいで!」と誘ってくれたので、思い切って出かけてきました。

 サンドリンが家族と住んでいるのはシュヴルーズというところ。パリの南西にあり、うちからサンドリンの家の最寄り駅であるサン=レミ=レ=シュヴルーズ駅までは、パリ高速鉄道のRERを使って1時間くらいでした。シュヴルーズはオート・ヴァレ・ド・シュヴルーズ地域圏自然公園の中心にあり、パリからわずか1時間とは思えないほど緑の多い地域です。パリ市内とは比べ物にならない空気のおいしさ!

 当日はサンドリンが駅まで車で迎えに来てくれ、彼女の家で軽いランチをご馳走なってから、周辺のお勧めスポットを案内してもらいました。

 まず行ったのはマドレーヌ城。11世紀から14世紀にかけて建設されたというお城は現在、その一部が復元されており、無料で見学することができます。敷地の中には自然との共生などについて解説する施設もあり、子供向けなのですが、大人の私にも勉強になりました。

 そうそう、それと、受付にブティックが併設されているのですが、ジャムや石鹸、ジュースなど、ほとんどが地元で作られた商品でBIO商品も多数。エコロジーに関する書籍や雑誌なども多数あり、このブティックは小さいながらも私には楽しくて、お城の敷地内に入る前に結構な時間を過ごしてしまいました。

お城の中はこのように一部が復元されています
受付横のブティック。観光パンフレットなども豊富にあるので、まずはここに寄って観光情報を収集するのもいいと思います
城下の景色の美しいこと!
城内にある建物の中には「エコロジーな庭を作るには」といった内容のパネルやビデオ、ちょっとしたゲームなどが並んでいました。定期的に子供向けのアトリエも開かれており、例えば「中世の人たちが食べていたものは?」といったことを学ぶようです

 お城の見学を終えて丘を降りると、シュヴルーズの町中に出ます。

町の中心にあるサン・マルタン教会。教会の横には観光案内図が

 ここでサンドリンが推薦するお店を2軒訪ねました。1件目はお茶屋さん「Quinthesens」です。お茶の葉だけでなく、コーヒー豆やチョコレートなども売っていました。私はできるだけカフェインの少ない飲み物を飲むようにしているので、マテ茶とルイボスティーのフレーバーティーを購入。

 もちろん普通の紅茶や緑茶もありますし、種類がたくさんあるので悩みましたが、とても感じのよいマダムが、頼めば好みの味を聞いて根気よく一緒に選んでくれるので助かりました。私が行った日はあいにく店内が工事中だったのですが、普段は店内でお茶を飲むこともできるので、散歩に疲れたらここでお茶を飲むのもよさそうです。

 その後は自家製シロップ専門店「L'Alchimiste Artisan Siropier」へ。ミント風味のイチゴ、ハイビスカス、サフラン、タイム、タヒチ産バニラなど、ちょっと変わった味のシロップが多かったです。これらはすべて、お店の奥にある工房でオーナーが1人で作っているそうです。着色料、保存料、香料などが一切入っておらず、価格は一瓶250mlが8ユーロ前後とお手頃。シロップはそのまま飲み物に入れたりして食べるのはもちろん、お菓子や料理の風味として使うのもお勧めだそうです。

「うーん、これも気になるなー」と言うと、オーナーが嫌な顔1つせず、好きなだけ味見をさせてくれるので、気に入った味がきっと見つかると思います。さんざん迷った挙句、今回は無難なバジルのシロップを買ったのですが、甘過ぎず、バジルの風味を存分に味わえるので気に入っています。

 サンドリン曰く、シュヴルーズにはヴェルサイユ観光をした人が帰りに立ち寄ることが多いそう。今回、私は車で移動していたのであまり歩きませんでしたが、駅から町中まで歩いても3kmくらいらしく、途中に見学可能な農場などもあるらしいので、散歩をしながらのんびり見てまわるのもよさそうですね。

 さて、これで年内の私の記事は最後となります。パリは1月と11月にテロが、その後はCOP21(第21回気候変動枠組条約締約国会議)もあり、厳戒態勢は今も続いています。私は11月にテロの標的となったエリアの近くに住んでいるのですが、アパートの周囲では警察だけでなく、大きな銃を持った兵士たちもよく見かけ、そのたびになんとも言えない気持ちになります。人が集まるところでの荷物や身体検査もより厳しくなっていますし、メトロに乗ることや、人の多いところに行くのが怖いという人も少なくありません。一方でテロには屈しないと、「Tous au bistrot(みんな、ビストロへ)」「Je suis en terrasse(私はテラスに)」というスローガンのもと、これまでどおり出かけようと呼びかける動きもあります。

 このような状況のなか、私にできることなどないに等しいですが、それでも来年はパリだけでなく、世界の平和を祈らずにはいられません。皆さまもどうぞ素敵な年末年始をお迎えください。

パリのオペラ地区にある老舗有名デパートの「ギャラリー・ラファイエット」内に今年も飾られた巨大クリスマスツリー
ギャラリー・ラファイエットと、お隣のこれまたデパート「プランタン」のショーウインドーには、クリスマスシーズン限定の電気仕掛けのマリオネットが飾られています。このクリスマスのショーウインドーには約150年の歴史があるそうで、毎年テーマが変わります。ガラスに顔を近づけて見る、子供たちの無邪気でうれしそうな顔を見ると、平和のありがたさを感じずにはいられません
プランタンの屋上から見るパリの夕暮れ
シュヴルーヌの最寄り駅

サン=レミ=レ=シュヴルーズ(Saint-Remy-les-Chevreuse)駅
(パリからRER B線でSaint-Remy-les-Chevreuse行き終点)

●マドレーヌ城(Chateau de La Madeleine)
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所在地:
Chemin Jean Racine, 78460 Chevreuse
電話:
+33 (0)1 30 52 09 09
公開時間:
11月1日~2月28日:14時~17時半(火曜日~日曜日と祭日)
3月1日~10月31日:14時~17時半(火曜日~土曜日、水曜日のみ10時~12時も公開)、10時~18時(日曜日と祭日)
URL:
http://www.parc-naturel-chevreuse.fr/destination-parc/chateau-de-la-madeleine-maison-du-parc
●Quinthesens
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所在地:
16 Place des Halles, 78460 Chevreuse
電話:
+33 (0)1 30 47 38 06
営業時間:
10時~13時、15時~19時(火曜日~土曜日)
●L'Alchimiste Artisan Siropier
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所在地:
9 rue Lalande, 78460 Chevreuse
電話:
+33 (0)1 30 45 18 87
営業時間:
10時~19時(水曜日~日曜日)

荒木麻美

東京での出版社勤務などを経て、2003年よりパリ在住。フランス人の夫と黒猫と暮らしています。2011年にNaturopathie(自然療法)の専門学校に入学、2015年に卒業。パリでNaturopathe(自然療法士)として働いています。