荒木麻美のパリ生活
パリの老舗マクロビオティックレストラン
すぐ隣にはレア商品も扱うブティックを併設
2017年1月21日 00:00
パリのヘルシーレストランといえば知る人も多いのがこの「Grand Appétit」です。Grandが大きな、Appétitが食欲の意なので、「お腹がペコペコ」という意味になるのでしょうか? パリに数軒あるマクロビオティック料理専門のレストランの一つで、創業して約30年だそう。
マクロビオティックをご存知の方も多いと思いますが、ごく簡単にいうと、食材の陰陽のバランスを考えた玄米菜食が基本。さらに、なるべく自分の生活する土地の近くで収穫されたBIOの食材を丸ごと調理に使います。
【2018年3月追記】※経営者の引退により、Grand Appétitは32年間の歴史に幕を閉じ、2017年末に閉店しました。
さて、このGrand Appétitのメニューは私の知る限りいつも大体一緒です。大皿盛り合わせ、小皿盛り合わせ、どんぶり大・小(中身は盛り合わせと同じ感じでさらに小さい)、タルト、ポタージュ、味噌汁、そして私の大好きな巻き寿司が入ります。足りなければサイドメニューとしてサラダの盛り合わせを足すこともできます。
料理には牛乳、卵、肉、魚、パーム油、マーガリン、砂糖(米砂糖以外)を使っていないとのこと。また、調理にはガスの火を使い、電子レンジを使わず、逆浸透膜方式で浄水した水を使っているそうです。
私がGrand Appétitに行くのは最近では年に数回程度ですが、頼むのは毎回同じで巻き寿司とポタージュのセット。お腹に余裕があればデザートも。デザートは日替わりで、どれも甘味がほどほどでとても美味しいです。
店内では日替わりのハーブティーなどのお茶がセルフサービスで飲み放題となっています。お箸、スープ、フォーク、ナイフなどもセルフサービスで好きな物を使います。テーブルの上には必ずごま塩が。全体的に古い食堂という感じです。(トイレも今では珍しい、便座のない、しゃがむタイプです!)。
お皿の一部は紙皿ですし、レストランの雰囲気は最近のおしゃれなヘルシーレストランとは一線を画していますが、私はこの雰囲気がほっと落ち着いて好きです。常連さんらしき人が、1人で黙々と食べている姿も多く見かけます。以前はランチタイムが終わるとティータイム営業だったので、自然療法の学校に行っていたときは、ランチを食べたあとに、ここで学校の先輩にじっくりと勉強を教えてもらうこともたびたびありました。
レストランには大抵は日本人の方が最低1人は働いており、今働いていらっしゃる方は、日本語でのマクロビオティック教室もされているそうです。興味があればレストランで聞いてみてくださいね。
レストランの横にはマクロビオティックの食材や調理器具などを買えるブティックも併設されています。ここにはほかのBIOのお店にはないものがあるのですが、私が特にお勧めしたい商品は2つ。
1つ目は「Solvarome」という、お肌のトラブルには最強ともいえる精油をミックスした商品。クリームなどに混ぜて使う原液タイプと、すでにクリームに混ざっているタイプ、それからシャワージェルも売っています。
この商品、もともとは自然療法の学生時代に先生が教えてくれたのですが、私は吹き出物や口内炎ができたときに、原液をそのままちょんちょんと塗るとあっという間に治った経験があります。
この素晴らしい商品、私はここ以外のお店で買えるところを知りません。インターネットで買うことはできるのですが、フランスの通販事情はわるいので、私はここで買うようにしています。
2つ目は「原種の(交配されていない)」古代(スペルト)小麦粉。古代小麦をフランス語では「Epeautre non hybridé」といいます。ヨーロッパでは有名な聖女なのですが、12世紀のドイツに生きたヒルデガルト・フォン・ビンゲンという人が推奨している食べ物の一つがこの原種の古代小麦なのです。
BIOのお店でも古代小麦粉は売っていますが、「原種の」と明記されたものを扱っているお店はパリでは私の知る限り3軒のみ。私はインターネットでまとめて買っていますが、ここなら少量から買えるので、試してみたい人にはここで買ってみることをお勧めします。
なお、原種の古代小麦100%のパンも売っていますし、レストランで売っているのと同じデザートをブティックでもテイクアウトできるのですが、これもすべてではないのですが、原種の古代小麦粉を使っているそう。
お店の人にどうして原種の古代小麦粉を扱っているのか聞いたところ、「マクロビオティックには直接関係ないけれど、体によいものということでは同じだから」とのことでした。マクロビオティックに限らず、日々いろいろな食事療法について研究しているのでしょうね。
そのほか、Grand Appétitマークの味噌として大豆のお味噌だけではなく、米味噌や麦みそなどもありますし、普通の本屋さんではなかなかお目にかかれない本なども置いてあります。
お店で働く人はマクロビオティック、そして健康に関することについて詳しい人ばかり。「にわか」ではない深い知識に、特にブティックではいつもいろいろなことを教えてもらっています。
毎日マクロビオティック料理だけを食べるというのは私には厳しいですが、自分で作るとなかなか手間のかかる料理法ですし、ときどき食べる分には本当に美味しいので、Grand Appétitにはこれからもマイペースで通うと思います!
Grand Appétit
所在地:9 rue de la cerisaie, 75004 Paris
TEL:+33(0)1 40 27 04 95
営業時間:
レストラン:12時~15時(月曜日~金曜日)
ブティック:9時30分~19時30分(月曜日~木曜日)、9時30分~16時(金曜日)、10時~17時(日曜日)
Webサイト:Grand Appétit