荒木麻美のパリ生活

【メリベル旅行おまけ編】メリベルからタロワールとアヌシーに1泊2日プチトリップ

「フランスのヴェネツィア」でチーズ料理を堪能

 多くのフランス人が口を揃えて「よいところ」というアヌシー。一度は行ってみたいと思っていました。メリベルからアヌシーまではクルマで1時間30分くらいだというので、1泊2日で行ってきました。せっかくの機会、アヌシー湖畔に点在する村のなかでも特に高級リゾート地として知られるタロワールが美しいというので、タロワール経由で行くことにしました。

セザンヌも愛したタロワール

 土曜日の9時頃にメリベルを出発。タロワールに着いたのは10時30分頃でした。メリベル同様、ここにもまた人影がほとんどありません。街中の駐車場を下りて、アヌシー湖畔へ向かうと、どこを見ても絵になります!

 湖畔に並ぶ家はお屋敷という感じの大きな家ばかり。なかでも特に目立つのは「L'Abbaye de Talloires」というホテル。修道院を改装したというこのホテル、画家のポール・セザンヌ、作家のマーク・トウェインといった著名人が滞在し、現在はフランスの俳優、ジャン・レノが経営者の一人として名を連ねているそう。

L'Abbaye de Talloires

所在地:Chemin des Moines, 74290 Talloires-Montmin
TEL:+33(0)4 50 60 77 33
Webサイト:L'Abbaye de Talloires(仏語、英語、独語)

 ホテルの前を過ぎて湖畔をさらに奥に進むと、丘に続く道を発見。もちろん登ってみます。

 思っていたより急な坂が続くのですが、私たちはトレッキングシューズを履いていたので難なくクリア。30分くらい丘を登っていくと、すばらしい景色が待っていました。

 丘を下りるとちょうどランチタイムに。予約をしていたレストランに向かいます。タロワールのレストランも軒並みお休みのなか、ここは奇跡的に開いていました。レストランに着くと、続々と地元の人らしきお客さんが入ってきてほぼ満席に。期待大!

 店内には、これまでお店に来た有名人の名前のプレートがずらっと貼られていました。作家が多いみたいです。

 出てきたお料理はパテにチーズと、どれも胃には重いですが、濃厚な味でなかなか美味。前菜とデザートは夫とシェアして正解でした。

Café de la Place

所在地:7 Place des Vendangeurs, 74290 Talloires-Montmin
TEL:+33(0)4 50 64 40 74
Webサイト:Café de la Place(仏語、英語、西語)

フランスのヴェネツィア、アヌシー

 お腹がいっぱいになったところでアヌシーへ。タロワールからアヌシーまでは、車で20分くらいなのであっという間に到着です。

 アヌシーには旧市街と新市街があるのですが、観光で行くべきは旧市街。街の端から端までは約1kmですから、ぶらぶらとゆっくり歩いても半日あれば十分に楽しめます。

 アヌシーを“フランスのヴェネツィア”と表現する人もいるそうですが、なるほど、街中の至るところをアヌシー湖につながる川が流れているんですね!

 アヌシーで一番有名であろう観光スポット「パレ・ド・リル」は残念ながら改装中のため、中はもちろん、外も幕で覆われておりまったく見られず。でも元は牢獄でもあったそうなので、私は見なくてもよかったかなという感じです。

改装中のパレ・ド・リル

 アヌシー城を下から眺めつつ、アヌシー湖の方に進んでいくと、湖に続く川の奥に「恋人たちの橋」が見えてきます。

アヌシー旧市街を見下ろすように建つアヌシー城
恋人たちの橋ではカップルが写真を撮ろうとしてなかなかの混雑ぶり

 これまでどこに行っても「人がいない……」という日々だったので、週末ということもあり、アヌシーの人の多さが新鮮でした。有名チェーンブティックも多数あり、都会! なのに、すぐそばにアヌシー湖、そしてその後ろにアルプスの山々がそびえ立っている風景が、不思議かつ気持ちのよいところだなと思いました。フランス人にも人気のある都市なのが納得です。

 私が見た限りではアヌシーはどこも清潔そうでしたし、治安もよさそうでした。映画のスタッフにアヌシー出身の人がいたので(前記事参照)話を聞いてみたのですが、やはり住みやすくてよいところだと話していました。唯一の難を言えば、夜に若者の遊ぶところがほとんどないのだそう。「学生時代は友達の家に行って飲むしかなかったなぁ」と話していました(笑)。

 お昼を食べ過ぎたので夕食は抜き。ホテルで一休みをしてから寝る前に夜の旧市街を少し散策しました。昼とはまた違う雰囲気ですね。

Meilleur Ouvrier de France(国家最優秀職人賞)のチーズ屋さんの前を通ると、店内ではお客さんが列をなしていました

 アヌシーで1泊した翌日は旧市街の朝市へ。美味しそうな野菜にサヴォア地方といえば外せないシャルキュトリ(食肉加工品)などが並びます。

 私がマルシェで大量に買ったのはハーブティー。夫はGénépi(ジェネピー)という薬草酒を何本か。アルプス地方の特産品で、アルコール好きの人にあげるそうです。

 朝市を一通り見たところでお昼に。サヴォワ地方といえばチーズ。絶対に1度はチーズフォンデュを食べるべき、といろいろな人に言われていたのですが、メリベルでは食べる機会がありませんでした。そこでアヌシーのチーズフォンデュで有名なレストランの一つに行くことに。このお店、予約をしていない人は断られていたので、特に週末は予約必須のようです。

Le Bastringue

所在地:3 Rue de l'Île, 74000 Annecy
TEL:+33(0)4 50 45 03 83

お昼は「Le Bastringue」で。ジャガイモのグラタンとお目当てのチーズフォンデュ

 恥ずかしながら、私はチーズフォンデュとラクレットを混同していまして、「あれ? お肉は? 野菜は?」などと思ってしまいました。チーズフォンデュってひたすらにパンをチーズに浸して食べるものなんですね!

 正直なところ、途中で少し飽きつつも2人でなんとかすべて完食。しかしとにかく胃に重い! 美味しいですけど、これでもかというくらいのチーズで、一度食べたらもう当分は食べたくないという感じでした。そしてすかさずCharbon Végétal Activé(飲むタイプの活性炭です)を摂取。

 私は基本的には外ではなんでも食べますが、2日続きでチーズ三昧は大変危険。でも飲む活性炭を飲んでいたので、お腹を壊したり、胃もたれなどを起こしたりせずに済みました。これからのクリスマスのご馳走の時期にも、私には飲む活性炭は必須アイテムです。

Charbon Végétal Activé はBIOのお店などで売っています

 すっかり丸くなったお腹を抱え、旧市街を抜けてアヌシー湖畔へ。お天気がよく、湖の透明さがよく分かります。湖の一角では、セーリングを楽しむ人がたくさんいました。

ウェットスーツを着ているとはいえ、一桁の気温のなか、寒くないのでしょうか?

 湖畔の散歩を終えたところで、日が暮れる前に私たちはまたメリベルに戻りました。1泊2日、あっという間でしたがタロワールもアヌシーもそれぞれに美しく、趣のある街並みを満喫できて大満足でした。

 パリのリヨン駅からアヌシー駅までは直通のTGVがあり、3時間30分くらいです。アヌシー旧市街はTGVの到着する駅からすぐなので、思い立ったらパリからのアヌシー旅行、お勧めです!

荒木麻美

東京での出版社勤務などを経て、2003年よりパリ在住。フランス人の夫と黒猫と暮らしています。2011年にNaturopathie(自然療法)の専門学校に入学、2015年に卒業。パリでNaturopathe(自然療法士)として働いています。