旅レポ
“一度は行きたい!”エリアを巡る日タイ修好130周年・タイはじめて旅(その2)
水の都・アユタヤのユネスコ世界文化遺産へ
2017年10月4日 06:00
毎年日本からも多くの観光客が訪れ、2016年は140万人以上もの人々が足を運んだタイ。2017年は日タイ修好130年の記念の年だが、バンコクから北へ76kmの場所にあるアユタヤと日本は、それ以前の約600年ほど前から交流と貿易を行なっていた。
今回参加したタイ国政府観光庁とタイ国際航空が共催するツアーでは、栄華を誇ったアユタヤ王朝を今に伝える遺跡群をはじめアユタヤ周辺を訪問。その様子をレポートする。
のどかな風景の中に突如現われる遺跡群。レンガ造りの寺院などで歴史を肌で感じる
バンコクから北へ76km、バスで約1時間30分ほどの場所にあるアユタヤ。ここはチャオプラヤー川をはじめとする3つの川に囲まれた豊かな水の都があった場所だ。1350年にウートン王が都を建て、33人の王が統治、その後ビルマ軍の侵攻により1767年にその歴史に幕を下ろす。中央集権政治を行ない、現在のタイ近代国家の礎を築くなど現代にも影響を与えている。
国際貿易都市として417年間に渡り栄え、東南アジア諸国の華やかな文化の融合地点となっていたこのエリア一帯(総面積約289ヘクタール)は1991年12月にユネスコ世界文化遺産として登録。現在は多くの観光客でにぎわいを見せている。
まず最初に訪れたのは、「ワット・チャイ・ワタナラーム」。アユタヤ市の西部に位置し、川岸に建つプラサート・トーン王が1630年に亡き母親を偲んで建立した寺院だ。カンボジアとの戦いに勝利した記念に建てられたとの説もあり、滅亡まで王室の法事を行なう王室寺院でもあった。タイの伝統様式とともに、カンボジアのクメール様式の影響とが融合した造形美は見事。中央にそびえ立つ主堂と塔堂の美しさに定評がある。川が悠々と流れる景色とともに夕方は特に絶景。
高さ35mの主塔へ近付くとその巨大さに驚くはず。回廊、そして4基の塔堂(プラーン)へ向かうと無惨にも破壊された仏像が幾つも並んでいる。1767年にビルマ軍により焼かれ廃墟になったのだ。人々の心のよりどころに対する侮辱と仏頭に宝が隠されている場合が多かったという理由で、ほぼすべてが破壊しつくされた状態だったという。1987年に修復され、美しい風景とともに人間の業の深さも迫ってくる場所だ。
アユタヤ周辺の建物のは地元産の土を使った焼きレンガ造りが特徴で、「ワット・チャイ・ワタナラーム」の場合は、足下を見ると刻印入りのものが最近、刻印なしのものがもともとのものだとその違いが分かる。
ワット・チャイ・ワタナラーム
所在地:Tambon Baanpom, Amphur Pra Nakorn Sri Ayutthaya, Ayutthaya
拝観料:50バーツ(約185円、1バーツ=約3.7円換算)
拝観時間:8時~18時(ライトアップは19時~21時)
続いては、高さ72mもの仏塔が目を引く「ワット・ヤイ・チャイ・モンコン」へ。アユタヤを建都した初代のウートン王により建てられた寺院で、スリランカに留学中の修行僧の瞑想のために作られた。仏塔は1592年にナレスアン王が象に乗り、ビルマ王子を一騎打ちで破り勝利したことを記念している。
エントランスを抜けると寝釈迦像の姿が。黄色の衣をまとっており、多くの観光客らが写真を撮っていた。続いて本堂へ。周辺にはお供え物を手に入れるショップもあり、蓮の花1本とお線香(セットで20バーツ、約75円)を手にし、皆祈りの場所へと向かっていた。
本堂の裏には、黄色の衣をまとった72mもの仏塔が。また周囲を仏像が取り囲んでいる。かなり急な階段を登ると、お賽銭場所があり参拝者らが願いをかけていた。
なお、かなりの暑さのため周囲にはアイスクリームやドリンクが購入できるショップも。タイパンツや屋台、さらにトゥクトゥクも待機している。
ワット・ヤイ・チャイ・モンコン
所在地:Khlong Suan Phlu Phra Nakhon Si Ayutthaya Amphoe Phra Nakhon Si Ayutthay
拝観料:20バーツ(約75円)
拝観時間:8時~17時
「ワット・マハタート」もアユタヤを訪れたのならば絶対に足を運びたい寺院だ。13世紀に建てられ、以前は寺院の塔の上が黄金に輝いていたと伝えられているが、ビルマ軍に破壊しつくされ、崩れ落ちた礼拝堂や、仏像の台座、そして上半身が壊された仏像が数多く並びその侵略を訪れる者に生々しく伝えている。
なかでも樹木に抱かれた仏頭が有名で、破壊された寺院の中で唯一救いを感じる場所だ。写真を撮る際は仏頭前に用意された敷物に座り、自分の頭の位置に気を配って撮影しよう。
今回は、3寺院のみを訪れたがアユタヤ王朝の繁栄を今にそのままの姿で伝えるバンパイン宮殿や3基の仏塔に王が眠る「ワット・プラ・シーサンペット」をはじめ、歴史を学ぶとともに美しいライトアップが楽しめる遺跡群が集まっている。
トゥクトゥクをはじめサイクリング、リバークルーズなどを利用して訪れてみることをオススメしたい。
ワット・マハタート
所在地:Tha Wasukri Phra Nakhon Si Ayutthaya
拝観料:50バーツ(約185円)
拝観時間:8時~18時(ライトアップ19時~21時)
アユタヤ王朝時代に渡来した日本人の歴史と交流を紐解く「日本人村」を訪問
アユタヤ王朝の繁栄と滅亡の歴史を学んだあとは、商人としてこの地を訪れた日本人の歴史にも注目してみよう。冒頭でも紹介したようにアユタヤ王朝は東南アジア屈指の貿易都市として栄えた都だ。17世紀初頭にはポルトガルにイギリスなどの西洋諸国、そして日本をはじめ中国やベトナムなどのアジア周辺とも取引を行なっていた。
多民族国家で、大臣にペルシャ人を登用するなど柔軟な考えを持っており、各国の商人たちは居留地を与えられ村を形成。御朱印船貿易でアユタヤを訪れた日本人たちも日本人村で生活をしていた。
18世紀に日本の鎖国により村は消滅。訪れた「日本人村」は、チャオプラヤー川沿いの旧日本人村(約1万2000m2)の跡地でその友好の歴史を学べる場所となっている。
アユタヤ歴史研究センター別館では、まずは映像によって海賊たちが入って来られない安全な場所にあったことを例に、なぜアユタヤが交易の中心地として栄えたのかを解説。輸入、輸出した商品を挙げ、戦いではなく、交易を重視したことで豊かな大都市を形成したとのことだ。さらに、ポルトガル的な要素を持つ菓子“トーン・イップ”や沖縄の泡盛と共通点を持つ“ラオ・カーオ”なども紹介。また、宗教の自由も認められており、当時行なわれていた弾圧を逃れてアユタヤを訪れた日本人も多かったという解説も。
センターにはアユタヤ時代の輸出入製品の見本を展示。日タイ関係600年の歴史年表やオランダ人により描かれたアユタヤの寺院などが描かれた地図「ユデア」などを拡大展示している。
なお、敷地内には日本庭園もあり、ゆったりと座りながらチャオプラヤー川を眺めることもできる。いにしえの時代にアユタヤで生きた日本人と同じ目線で時間旅行をしたような気分に。
日本人村
所在地:Kamang, Phra Nakhon Si Ayutthaya
入場料:50バーツ(約185円)
営業時間:8時~17時
プリップリを超えた弾力感と美味しさでもう一度食べたくなるアユタヤ名物川海老を頬張る
寺院遺跡を巡ったあとは、アユタヤ名物の川海老・手長海老に舌鼓。アユタヤ周辺の川にて揚がった天然の手長海老はサイズも大きく、かなりの弾力で食べ応えも抜群。アユタヤ駅にもほど近いパーサック川沿いのホテル「クルンスリーリバーホテル」のレストランでは、引き締まった身がたっぷりのビックサイズの手長海老が味わえる。今回味わったのは「Grilled charcoal long arms river prawn」。焦げ目が付く程度にほどよく焼かれた手長海老には、海老味噌がたっぷり。旨味がギュッと詰まった大ぶりの身を付けて食べると、素材の持つ美味しさが口一杯に広がって至福のときが。ボリューム大なので、1匹だけでも大満足。
なお、パラパラ加減が絶妙で食が進む「Fried rice with Chinese sausage and ham」に海老味噌をプラスして味わうのも◎。じんわりと鶏の出汁が身体にしみる味わいな「Chinese clear soup」も柔らかな口あたりのため炎天下行動した場合でも飲みやすい1杯。そしてデザートは「Ginkgo nuts with fresh milk」。甘く煮込んだ銀杏とともにひんやり甘いミルクがなみなみと入っている。午後に向けてパワーチャージできる美味しさだ。
クルンスリーリバーホテル
所在地:27/2 Moo 11 Rojchana Rd., Kamang, Phra Nakhon Si Ayutthaya
Webサイト:クルンスリーリバーホテル
日本とタイの観光ビジネスをつなぐ「Thailand & Japan Business Talk」を開催
ツアー開催中には、日本とタイ、双方の観光ビジネスを推進するために「Thailand & Japan Business Talk」がタイ国政府観光庁とタイ国際航空の共催で実施された。会場には約50社以上の現地企業ブースがならび、日本の旅行会社との交流が行なわれた。
ホテルやアクティビティ、そしてマッサージ&スパなどジャンルも幅広く、特に対マッサージなどの女性向けのプランを提示する企業が多く見られた。注目したのは、ムエタイマッサージを受けられる「arom:D」。スクンビット店では、ムエタイの衣装に着替えてほかとは一味違う雰囲気でリラックスすることが可能。もちろんショップ自体は「LUXURY TRAVEL GUIDE AWARD INNOVATIVE SPA OF THE YEAR 2017」を受賞しており、その技術はお墨付きだ。
arom:D
所在地:Naii Pa Art Complex, 46/2 Bldg. B fl.2 Sukhumvit 46 Phra Khanong
Webサイト:arom:D
また、ラグジュアリースパとして女性を魅了してやまない「divana NURTURE SPA」も出展。実際の施術を約5~10分ほど受けられる特設ブースも用意し、男女ともに大人気。肩をほぐしてもらってリラックスしながら、技術を確認する旅行関係者の姿が多く見られた。
自宅でもスパ体験ができるプロダクツも人気。「PITTA GINGER OLIVE moisture empire SHAMPOO」と「PITTA GINGER OLIVE moisture empire CONDITIONER」を使ってみたが、生姜の天然エキスとエクストラバージンオイルの成分がたっぷりのオーリーブオイルカラーのシャンプは洗い上がりもさらりとしており、しっとりさらさらの髪に仕上がる。同シリーズのコンディショナーを一緒に使うことでより柔らかで艶やかになり、まとめやすくなった。
さらにボディ用の「PITTA GINGER OLIVE moisture empire SHOWER GEL」は、暑い夏にはぴったりのさっぱりとした使い心地でしっかり香りながらも上品さを内包している部分が◎。
「PITTA GINGER OLIVE moisture empire BODY BUTTER」のクリームは伸びがよいため少量でもしっかり身体全体に塗ることができ、しばらくすると肌に浸透しさらりとする部分も好印象。さすがのラグジュアリースパクオリティでリピート買いしたくなる使い心地だった。
divana NURTURE SPA
所在地:71 Sukhumvit 11, Wattana, Bangkok
Webサイト:divana NURTURE SPA
「OASIS SPA」もチェンマイ支店のみで提供中の「Lanna Exotic , Tok-Sen」の一部が体験できるブースを用意。4名のスタッフが“ランナー”と呼ばれるタイ北部に伝わる伝統療法で、雷に打たれた樹で作った木槌を使い杭で肩や背中を中心にタップする技術を披露。実際に体験したが、まさに木槌で肩をトントンと打たれる新感覚。打つ音も懐かしく終始リラックスできた。終了後は身体がポカポカし、肩凝りも軽くなり癒し効果は抜群だった。
OASIS SPA
所在地:Samlan Road, Prasing, Muang, Chiang Mai 50200
Webサイト:OASIS SPA
なお、「Thailand & Japan Business Talk」と同時にレセプションも開催。同イベントでは、タイ国政府観光庁総裁のユタサック・スパーソン氏とタイ国際航空日本地区総支配人ノン・カリンタ氏が挨拶をした。
タイ国政府観光庁総裁のユタサック・スパーソン氏は参加者のアユタヤ訪問を踏まえたうえで「ご存じのとおり、タイと日本の両国は古くはアユタヤ王朝の時代から今日にいたるまで、歴史上長い年月に渡り親密な友好関係を築いてきました。近年の両国間の交流も活発で、昨年は日本からタイに約140万人以上ものお客さまを迎えることができました。今年はさらに多くの、150万人を超える皆さまをお迎えできると考えております」と冒頭で日本でのタイ旅行へのニーズの増加を強調。
さらに、乃木坂46がタイ観光のプレゼンターに就任したことで、まだタイを訪れたことのない層をはじめ若年層にもアピールの第一歩となると述べ、最新のプロモーションビデオを紹介した。
続いて、タイ国際航空日本地区総支配人ノン・カリンタ氏がステージへ。今年でタイ国際航空が日本に就航して57年目であることを冒頭で紹介。そして「近年では、日本からタイへの渡航者だけではなく、タイから日本へと向かう渡航者も増加傾向にあります。2012年のタイ人の渡航は25万人でしたが、2016年は90万人を超え、4年前と比べると300%増となっています。日本からタイへの日本人渡航者も130万人をベースに増加傾向にあり前年比4~5%を推移しています」と両国間の渡航者の増加について触れた。
また、「現在、タイ国際航空は週75便日本とタイを結んでいます。札幌は毎日1便、成田は3便、羽田は2便。関西は2便で大型機A380を導入。さらに福岡は1便、名古屋は週12便」とタイ国際航空が就航する各空港からの便を紹介。「双方の交流により、両国の経済発展に寄与できること、そして今後もこのよい関係が継続することを期待するとともに、タイを訪れた方々が滞在を充実した時間にしていただけることを願っています」と締めた。
タイと日本の600年以上にも渡る交流の歴史が垣間見れるアユタヤエリア。遺跡群とともに名物グルメなど、必ず訪れたい&味わいたいが揃っている。昼間だけではなく、ライトアップされ幻想的な遺跡の数々を巡るもよし、エレファントライドなどのアクティビティも楽しむことができるため、バンコク滞在プラスアルファでぜひ訪れてみてほしい。
次回は、「王宮」「ワット・プラ・ケオ(王宮寺院)」から「ワット・ポー」とともに、週末の大型マーケットなど首都バンコクで必ず訪れるべきエリアを巡るプランを紹介する。