ニュース
JALやJR西日本など、ロサンゼルスと京都を“1本”で結ぶチケットサービス「JAL&はるか」を4月下旬開始
気軽に京都にアクセス可能にする新システムを導入。他地域への拡大も検討
(2016/3/29 20:43)
- 2016年3月29日 発表
JAL(日本航空)とJR西日本(西日本旅客鉄道)は共同で、新関西国際空港および京都市の協力を得て、米ロサンゼルス~京都間の往復に必要な航空券とJR特急券を手軽に予約購入できる新チケットサービス「JAL&はるか」の提供を2016年4月下旬に開始する。
主に米国在住者を対象に、ロサンゼルス発~関空(関西国際空港)着のJAL往復便と、JR西日本の関空特急はるかを利用した関空~京都間の往復自由席券をセットで販売するもので、JALのeチケット1枚に乗り継ぎ便のような形で特急列車の発着などが記載される、システム面において初めての取り組みとなる。
チケットは北米に設置されているJALの予約センターに電話して購入手続きをするか、米国内の提携旅行代理店を通じて購入する。航空券の利用方法は従来どおりだが、特急券は利用者があらかじめ専用サイトでQRコード付きの乗車券としてプリントアウトし、駅の有人改札に設けられた専用QRコードリーダーにかざして通過する。「JAL&はるか」では通常2850円の特急料金が1600円(購入時にその時点の為替レートでドルに換算される)に割り引きされる特典が含まれる。
将来的にはシステムの応用と適用路線の拡大も
「JAL&はるか」の開始に当たり、JR西日本 取締役兼常務執行役員の堀坂氏は記者会見で、「関空での入国者数の増加率は、全国の平均より大きく上まわって伸びている。JR西日本の『中期経営計画2017』の折り返し地点、2016年は元々の想定の5倍となる利用者数100万人を目標とした。関空では外国人向けの窓口を一度増やしたが、さらに販売体制を強化して窓口も拡大して、空港で待たせることのないようにしたい」と述べ、今回のJAL&はるかによる改札への誘導と合わせることで、急激な訪日外国人増加で滞留しがちだった窓口の混雑解消を図る意向を示した。
JR西日本では今回のJAL&はるかのために、有人改札において専用QRコードリーダーを新規に導入する。利用者が印刷した特急券・乗車券をリーダーにかざすだけで改札を通過できる仕組みで、「これに限らずいろいろな使い方ができるのではないか」(堀坂氏)と見て、将来的なJAL&はるか以外のチケットサービスへの応用についても検討を進める。
JAL 執行役員 西日本地区支配人の中野氏は、「(関空におけるロサンゼルス便が)2015年3月に復便したばかりなので、その販促に活用できれば、という狙いもある。この1年は(もともとかなり高く設定していた)目標にはわずかに届かなかったが、米国からのインバウンドは想定以上。欧米のお客さまは休暇が長く、食事もよくするので、どんどん西日本に訪れてもらえる機会を増やしたい」と話し、説明会や体験ツアー、案内用のブローシャを配布するなどして宣伝にも力を入れていくとした。
JALでは、今後JAL&はるかの効果を見ながら、航空と鉄道の連携を、台湾や上海などほかの地域からの観光客を対象に拡大していくことも検討している。また、関空だけでなく、成田空港や羽田空港から利用する鉄道との組み合わせにおいても同様のシステムの導入を積極的に考えたいとのこと。今回のJAL&はるかが、成功のモデルケースになるかがその分かれ目となる。具体的な目標設定はしていないものの、中野氏は「ストレスフリーな移動を可能にして、各地にある世界遺産や美しい自然へ外国の方が1人でも多く訪れていただきたいと思っている」と語った。
京都市観光政策監の糟谷範子氏は、3月1日から開始した訪日外国人向けタクシーサービスの実証実験「フォーリンフレンドリータクシー」に言及。ロサンゼルスからJAL便と特急はるかを乗り継いでまっすぐ京都まで来た観光客が、英語などが通じ大きな荷物も積載可能な認定タクシーを快適に利用できるようにしていると紹介した。また、新関西国際空港の小関貴裕氏は、「欧米からのお客さまの(需要)回復の状況は大きな課題」であるとし、同空港にとって目玉路線となるロサンゼルス便の新商品の販売に期待感を示した。