ニュース

現地ツアーのオンライン予約サイト「Viator」、日本への本格展開開始

トリップアドバイザーとも連携、アジア担当マネージャーに取り組みを聞く

2016年3月17日 発表

 現地ツアーなどのオンライン予約代理店「Viator(ビアター)」が、日本の一般消費者向けの本格的なサービス展開を開始した。Viatorはオーストラリア発祥のOTA(Online Travel Agent、オンライン旅行代理店)で、グローバルに現地ツアー、体験ツアー、バスツアーといったホテルや国際線の航空券を含まない短期ツアーの手配をオンラインで行なっている。2014年には、旅行クチコミサイトとして知られるトリップアドバイザーの傘下となり、トリップアドバイザーと連携しながら独自ブランドとして運営されている。

 今回Viatorは、日本を含むアジアパシフィック地域ジェネラルマネージャにアニタ・アイ氏を任命。日本、中国、東南アジアなどのアジアパシフィック地域でのビジネス開発に取り組んでいくことを明らかにした。それに合わせて来日したアイ氏に話を聞いた。

Viator アジアパシフィック地域ジェネラルマネージャ アニタ・アイ氏

トリップアドバイザー傘下の現地ツアーOTAとなるViator

 日本では“現地ツアー”や“オプショナルツアー”と表現されることが多い観光地でのガイド付き短期ツアーは、欧米の観光客にとっては観光地の定番と言える商品だ。例えば、ラスベガスからのグランドキャニオンツアー、エルサレムからの死海ツアー、フィレンツェやローマからのピサの斜塔ツアー、イスタンブールからのカッパドキアツアーなどなど例を挙げればキリがないが、観光客が集まるような主要な観光地からバスなどを利用してガイドが観光客を連れて行くという現地ツアーは一般的なものだ。

 これは、欧米では日本や中国などで一般的な手配ツアーは少なく、観光客自身が航空券やホテルを手配する旅行が一般的なことも大きく影響している。欧米の観光客は現地に行って、現地のガイドを雇う感覚で、こうした現地ツアー/オプショナルツアーを申し込むことが多いのだ。

 以前は、現地に行って、現地の旅行代理店などで申し込んだり、現地の旅行代理店がWebサイトで紹介している情報をもとに電話で申し込んだりという手配方法が一般的だった。例えば、ニューヨークに住んでいる観光客がローマの1日ガイドツアーを申し込みたいと考えていたとする。これまでであれば、ローマに行ってから現地の旅行代理店で1日ツアーを申し込むという形になっていた。それだと旅行代理店に営業時間内に行かないといけないという時間の制約もあるし、代理店によっては現金のみ対応など支払いのオプションも十分ではなかったりと不便があった。

 それをグローバルにオンラインですべて済むようにしたのが、Viatorのような現地ツアーOTAの最大の特徴となる。Viator アジアパシフィック地域ジェネラルマネージャ アニタ・アイ氏は「我々のサービスはそうした現地旅行代理店のオンライン化でもあるし、ホテルのコンシェルジェサービスのオンライン化でもある。我々の商品は、PCやスマートフォンを使って簡単に目的のツアーを探して申し込みし、決済までをすべてオンラインで行なえる。また、旅行代理店のように昼間に出かけていく必要もないので、ネットでほかの同行者と相談しながら決めることができる」とする。

 実際、OTAがこうした現地ツアーを扱う前までは、現地に行ってから複数の代理店をまわって相場を確認し、それから一番よさそうなところに申し込むという手順を経る必要があった。しかし、Viatorのようなサービスを使えば、それがネットで事前に済ませることができるので、現地での時間をより有効に活用することができるわけだ。さらに、アイ氏によれば「我々は参加した顧客が感想を書き込める機能を用意しており、顧客同士でツアーに関する情報を交換できるようにしている」とのことで、ツアーに関するクチコミ情報を交換できるのも同社サービスの売りとなっている。

 こうした点が受けて、Viatorは欧米で急成長を続けており、創業地であるオーストラリアから現在はサンフランシスコへ本社を移し、トリップアドバイザーの傘下のグループ企業として活動している。「現在ではトリップアドバイザーの現地ツアーのページに用意されている“もっと見る”のボタンを押すと弊社サイトへ飛ぶようになっている」とのことで、トリップアドバイザーから来るユーザーも増えているとのことだった。

サイトには日本語ガイドの有無が明示されているほか、ツアー代金は日本のクレジットカードで日本円で決済できる
トリップアドバイザーとも連携していて「もっと見る」ボタンを押すと、トリップアドバイザーからViatorに飛ぶようになっている
Viatorのトップページ
ラスベガスのツアーを紹介するページ、このように都市ごとにツアーが紹介されている
ツアーの説明はすべて日本語になっており、ガイドの言語や音声ガイドの有無などが表示されている
ツアーには日本語ガイドが付くものも用意されている
Viatorの特徴の1つと言える口コミ機能。現在は英語のユーザーの評価が多いが、参考になる
ユーザーが写真を投稿する機能もある
旅行代金の決済はVISA、MasterCard、JCBのクレジットカードで決済できる

VIPツアー、ツアーバス、博物館・美術館、シティパスなど幅広い商品をラインアップ

 アイ氏によれば、Viatorが用意しているのは、そうした現地ツアーだけではないという。「現地ツアーの手配以外にも、VIPツアー、ダイビングなどのアウトドアツアー、ツアーバス、博物館・美術館のチケット、ニューヨークのミュージカルやラスベガスのショーなどの舞台チケット、シティパス(都市交通機関と博物館などのチケットがセットになっているパス)などもメニューとして用意している。現状では165カ国、4000以上の目的地をカバーしている」(アイ氏)とのことで、グローバルの規模に幅広い手配を行なっているという。

 VIPツアーというのは、通常のツアーとは異なり特別なツアーで、例えばバチカン博物館で通常は公開されていない部屋に入れてもらえたりというツアーなどが用意されているという。また、待たずに入場できる、博物館や美術館などで優先して入れるレーンのチケットの電子版もメニューに用意されている。日本でそうしたシステムはあまり見かけないが、欧米の場合は追加コストを払ってでもなるべく並ばないで見たいという顧客向けに、別料金でそうした公式な“エクスプレスレーン”を用意している場合がある。そのチケットも現地に行ってから買うのではなく、あらかじめ買っておき、現地ではバーコードを見せるだけで通れる、そうしたサービスメニューも用意されている。もちろん、こうした仕組みは博物館や美術館などで独自に用意している場合もあるが、Viatorのアカウントがあればそれらを毎回新しいアカウントを登録する必要がなく入手できるという点で便利だろう。

 いずれにしても、これらのチケットも以前は現地に行かなければ購入することができなかった。しかし、Viatorのような予約サイトを使えば、これらのチケットを日本にいながらにして、あるいは現地に行ってからでもインターネットで予約できる。これが最大のメリットと言える。

商品ラインアップは幅広く設定されている
バチカンやベルサイユといった著名観光地のVIPツアーや待たずに入場できる電子バウチャーなども用意されている
かつてのワールドトレードセンターの跡地に作られたワンワールド展望台の電子バウチャーも昨年商品に追加された

英語が苦手な日本人も安心して利用できる日本語対応の電話サポートも用意

 今回アイ氏がアジアパシフィック地域ジェネラルマネージャに就任し、日本を含むアジア太平洋地域のビジネス開発に取り組むことになった背景には、日本でも伝統的な旅行代理店のパッケージツアーには飽き足らない顧客が増えているからだという。

 実際、日本でも、ホテルや航空券を個人客相手にインターネット経由で手配するOTAは成長を続けており、それは個人手配で旅行する旅行客が日本でも増えていることの裏返しだ。こうした個人旅行客が、現地ツアーを探すというのは当然の成り行きだ。

 特に日本の観光客の場合には言葉の問題がある。現地の旅行代理店で現地ツアーに申し込む場合には、現地語か、少なくとも英語でコミュニケーションを取る必要がある。ある程度英語に自信がある人ならそれでもいいかもしれないが、それはちょっと……という人も少なくないだろう。

 アイ氏は「弊社のサイトはすでに日本語化されており、ツアーの検索など日本語でできるし、説明も日本語で書かれている」と、ツアーの購入までを日本語でできることを強みとして挙げた。また、サポートに関しても「すでに日本語の電話サポートも1日10時間まで受けられる体制になっている。もちろんメールでのサポートは24時間サポートになっている」(アイ氏)とのとおりで、なにかあれば日本語でサポートが受けられるというのは安心して利用できる要素の1つだ。

 また、同社のツアーの説明には、ガイドがどの言語を話すのかが書いてあるので、日本語ガイドが付くツアーを選んで申し込むこともできるし、日本語のオーディオガイド(ヘッドフォンなどで日本語の説明がを聞くことができる機器)が用意されているツアーもある。

 ただし、課題も残されている。現状でViatorがラインアップしている現地ツアーなどは、主に欧米の旅行者の趣向に合わせたものが多いことだ。この点について「確かに現状弊社は欧米のお客さまが多く、そうしたお客さまをターゲットにした現地ツアーが多いのは事実。例えばアジアのお客さまはショッピングモールを訪れるショッピングツアーなどを好んでおり、徐々にそうしたツアーを増やしている段階だ」(アイ氏)とのことで、今後、アジア太平洋地域の顧客が増えてくれば、趣向に合ったツアーを追加していきたい意向とのことだ。

 日本の個人旅行者にはまだまだなじみが薄い現地ツアーだが、欧米の旅行者には一般的な旅行の楽しみ方で、旅行の予約方法がOTAへの移行が進みつつある日本の個人旅行者にとっても、徐々に身近な存在になっていく可能性が高い。そうした時に、日本にいながら、あるいは現地にいても日本語で予約ができるViatorのようなサービスの需要が高まっていく可能性がある。次に個人手配の海外旅行をするのであれば、ちょっと現地ツアーを探してみると、これまでとは違った旅が楽しめるのではないだろうか。

(笠原一輝)