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国土交通省航空局、新導入する飛行検査機セスナ525C型の引き渡し式をセントレアで実施
業務開始は年末から年明けぐらいの時期
(2015/10/16 12:37)
- 2015年10月15日 実施
国土交通省航空局(JCAB)はG10月15日、中部国際空港貨物地区内の飛行検査センターにおいて、今年度導入する飛行検査機、セスナ525C型機(サイテーションCJ4)3機の引き渡し式を実施した。
飛行検査センターは航空機の安全飛行をサポートする各種無線施設などの検査を行なう機関。東京国際空港(羽田空港)を拠点としていたが、2014年度(平成26年度)に中部国際空港(セントレア)に移転、新たな組織として発足した。同センターの業務は航空路を示す無線施設や管制官が航空機を誘導するための通信施設、滑走路の灯火類などを実際に飛行してチェックする「飛行検査」。空港への着陸や空港からの出発するための方式が安全上問題ないことを検証する「飛行検証」。新しい空港や無線施設の設置位置、新しいシステムなどの評価を行なう「飛行調査」と、大別して3つ。これらの調査は国内にある約100個所の空港で定期的に行なわれており、そのために使用されるのが飛行検査機となる。検査は通常、月曜日に中部国際空港から目的エリアに向かい、周辺の飛行場での検査を経て金曜日に戻ってくるサイクルで実施されている。
飛行検査機は1961年(昭和36年)に導入されたDC-3型機(JA5100、ちよだ号)を皮切りに、YS-11型機の量産1号機(JA8610)、同2号機(JA8700)、同3号機(JA8720)、MU-2型機(JA8770)と導入。その後、DC-3型機、YS-11型機の退役や高高度飛行検査機(ガルフストリームIV型機など)の導入を経て、近年はガルフストリームIV型機2機(JA001G/JA002G)、SAAB2000型機2機(JA003G/JA004G)、ボンバルディアBD700-1A-10型機2機(JA005G/JA006G)、同DHC-8-315型機1機(JA007G)の計7機で運用されていた。
今回の新型機導入はガルフストリームIV型機とボンバルディアBD700-1A-10型機、計4機の退役に伴うもので、機種選定は競争入札により決定された。また、SAAB2000型機2機も2017年度(平成29年度)の退役が予定されており、こちらも置き換えられる予定(機種は未定)だという。
飛行検査機諸元
項目 | セスナ525C | ガルフストリームIV | ボンバルディアBD700-1A-10 |
---|---|---|---|
全長(m) | 16.26 | 26.9 | 30.3 |
全幅(m) | 16.49 | 23.7 | 28.6 |
全高(m) | 4.67 | 7.6 | 7.6 |
最大離陸重量(t) | 7.76 | 33.6 | 43.5 |
巡航速度(km/h) | 835 | 850 | 885 |
上昇限度(ft) | 45000 | 45000 | 51000 |
航続距離(km) | 3300 | 6540 | 1834 |
必要滑走路長 | 1200m以上 | 1800m以上 | 1800m以上 |
飛行検査システム | ノルウェーNSM製 | アメリカNXT製 | ドイツAERODATA製 |
搭載エンジン | ウィリアム FJ44-4 2基 | - | - |
空の安全を担保する新型機
式典には関係者など35名が出席。まず、神明社の宮司により安全運航祈願祭が実施され、「修祓の儀」「降神の儀」「献饌」「祝詞奏上」「清祓の儀」「玉串奉奠」「撤饌」「昇神の儀」と、一連の儀式が滞りなく執り行なわれた。
続いて行なわれた引き渡し式では、最初に納入者である兼松 車両・航空部門長 常務執行役員 宮部佳也氏が挨拶。「飛行検査機は空港、航空路に設置されます航行援助施設の状態を良好に保つために検査を実施する飛行機です。いわば黒子としての支援するという役割になりますが、日本のみならず世界の航空機の飛行安全にはなくてはならない極めて重要な航空機であると認識しております。本日、お引渡し以降、3機のセスナCJ4が航空安全の一翼を担うことができることを私どもは誇りに思うとともに、今後のサポートにつきましても最大限の努力をいたす所存でございます」と述べた。
製造者代表として登壇したセスナ バイスプレジデントのキーディー氏は「航空局の皆様とご一緒させていただきました、この2年超の期間は私共にとりましても非常に有意義な日々でした。皆様はそれぞれの役割を十分にご認識され、プロ意識を持って取り組まれておりました。新型飛行検査機を導入するにあたっては数多くの順序を長時間そして過酷な作業が必要でした。航空局のプロジェクトメンバーの方々は、厳冬期の北欧のノルウェー、酷暑時期のアメリカ中西部を経験され、その間も皆様方は常にプロ意識と節度に取り組まれていらっしゃいました。私共は新型飛行検査機が、すべての航空機利用者、運航者に対する日本の空の安全に寄与することを切に願っております。セスナ社は今後、皆様の検査業務が円滑に進められるように精一杯のサポートに努めております」と、スピーチした。
スピーチの後は引き渡し式のハイライトとなる引渡書、受領書の交換が、兼松と航空局の間で行なわれた。これにより新型機3機は晴れて航空局の所有となったわけだ。
国土交通省 航空局 交通管制部長 石崎仁志氏は新型機の受領を受け、「飛行機の検査センターでは航空用の保安施設の正常な運用、飛行運航方式が間違っていないかといった点につきまして、実際に航空機を飛行させまして検査を行っているところであります。この飛行検査は実際に安全に飛べるかどうかということを担保する非常に重要な業務でございます。こうした重要な業務に新型の飛行検査機3機を導入するということで、私共、無事納入をいただきましたことに非常に感謝を申し上げますとともに、非常に嬉しく思っております」と前置き。「新型機でございますけれども、私共が実施をいたしますあらゆる飛行検査に対応する能力があると聞いております。それから従来の航空機に比べまして低コストで効率的な運航ができるという風に、私共期待をしております。この航空機を持ちまして私共、空の安全の確保に引き続き務めてまいります」と、新型機に大きな期待を寄せるとともに、航空機のさらなる安全に確保に努めたいとした。
新型機ではこの後、パイロットの機種転換や習熟が実施され、実際の業務につくのは早くても年末から年明けぐらいの時期と見込まれている。