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茨城空港、飛行機撮影講座「空男(そらお)空女(そらじょ)のための撮影講座 in 茨城空港」を開催

航空自衛隊出身でF-15Jの操縦経験を持つ赤塚聡氏が講師を務める

2015年7月11日実施

7月11日に航空ファンを対象とした撮影講座「空男空女撮影講座」が茨城空港で開催された。なんと受講者の半数は若年層の女性だった

 茨城空港ビル管理事務所および茨城空港利用促進等協議会は、7月11日に「茨城空港サポーターズ」の協力により、航空ファンを対象とした撮影講座「空男空女撮影講座」を開催した。

 この撮影講座は、空港の利用促進を図るために企画されたもので、高校生以上の航空機撮影に興味のある人を対象として受講者を公募。定員の30名をはるかに超える120名程度の応募があり、競争率約4倍という狭き門となった。昨年、女性限定で同様の撮影講座を開催したところ、非常に好評であり、今回対象者を男性にも広げることになったという。当日は、梅雨の合間とは思えない好天に恵まれ、存分に航空機の写真を撮ることができたので、その様子をリポートしたい。

 茨城空港は、もともと航空自衛隊が管理する飛行場であり、「百里飛行場」が正式名称だが、2010年に民間共用化され、茨城空港としての営業を開始した。日本初のLCC対応飛行場として注目を集めたのだが、就航路線はそれほど多くはなく、現在、定期運航を行なっている航空会社はスカイマークと春秋航空の2社のみである(7月25日から中国南方航空が定期運航を開始する予定)。

受講者の半数を女性が占める

 撮影講座は、茨城空港2階にある会議室で行なわれた。講座タイトルの通り、女性の受講者が多く、ほぼ半数が女性であった。男性は、若年者から年配者まで年齢層はさまざまであったが、女性は若年者が多い印象であった。講師を務めたのは、航空自衛隊第7航空団(百里基地)でF-15Jの操縦者として勤務後、カメラマンに転向したという経歴を持つ赤塚聡氏である。赤塚氏は、航空機からの空撮の経験も豊富であり、特に軍用機の撮影を得意とする。今回の講座は、まず座学の撮影講座が45分間行なわれ、その後、受講者は空港のエプロンに移動し、そこで80分間の実地撮影を行ない、昼食休憩を挟んで、懇親会というスケジュールになっていた。

 座学では、赤塚氏が豊富な経験に基づいて航空機写真撮影のポイントを解説した。赤塚氏の解説は分かりやすく実践的であり、受講者も熱心に話を聞いていた。最初に、民間機と軍用機ではどちらが好きか、受講者に問いかけていたが、軍用機が好きだと手をあげた人のほうが多かった。

茨城空港の外観。もともと航空自衛隊が管理する飛行場であり、百里飛行場が正式名称だが、2010年に民間共用化され、茨城空港としての営業を開始
撮影講座は、茨城空港2階の会議室で行なわれた
講座の定員は30名だが、120名程度の応募があり、競争率約4倍という人気っぷりであった。女性が多いことにもちょっと驚いた
講師の赤塚聡氏。航空自衛隊第7航空団(百里基地)でF-15Jの操縦者として勤務後、カメラマンに転向したという経歴を持ち、空撮の経験も豊富だ
赤塚氏のプロフィール。岐阜県各務原市出身であり、航空自衛隊岐阜基地のそばで育ったという。航空自衛隊出身ということで、軍用機の撮影を得意とする
講座のタイムスケジュール。まず座学が45分間あり、その後エプロンに移動し、撮影時間が80分間設けられている。撮影後、昼食休憩を挟んで、懇親会が行なわれた
航空機写真を撮影する際の特徴。被写体までの距離が遠く、動きが速いことが特徴。また、撮影ポイントにも制約がある
よい航空機写真の条件。露出やピントが適切に合っていることは当然だが、航空機写真特有のフレーミングとして、水平が正しく出ていることや機首が切れていないことが要求される
航空機写真特有のフレーミングのルールの図解。飛行機の機首は人間で言えば顔にあたり、切れるのは厳禁とのこと
航空機撮影の際のカメラのセッティング例。シャッター速度はかなり速めにする。フォーカスモードはコンティニュアスAFにすることがポイント
航空機写真上達のためのワンポイント。航空機やその運用について理解を深めることや上級者の写真を研究すること、むやみな連写は避けること、頻繁なズーミングはしないことなどが大切
赤塚氏が撮影した航空機写真も大判プリントされ、飾られていた
こちらも赤塚氏が撮影した航空機写真。機体はスカイマークのボーイング737-800である

エプロンで離着陸する航空機を撮影

 座学が終わると、受講者に制限区域への一時立入証が配布され、受講者はカメラを手にエプロンへ移動を開始した。もちろん、通常はエプロンへ許可なく立ち入ることはできないので(航空機への乗降の際はタラップ車までエプロンを歩いて行くことになるが)、実際に運航している航空機を間近で撮影できるという貴重な機会であり、受講者たちは、この機会をとても楽しみにしていたようだ。

会議室を出てエプロンに向かう受講者たち。余計な荷物は部屋に置いておくように指示された
スタッフに案内されてエプロンに出る。エプロンはコンクリートで舗装されており、照り返しが暑かった

 今回の撮影講座の特別サービスとして、2両のタラップ車をドッキングさせたアーチが用意されており、受講者はタラップ車の階段の上り下りを体験することができた。

今回のイベントのために特別に2両のタラップ車がドッキングされており、アーチができていた
もちろん、普段はタラップ車をこのような形で運用することはない
受講者は、タラップ車の上り下りも体験できた
タラップ車の階段を上っていく受講者たち
記者もタラップ車の階段を上ってみた
タラップ車最上部のドッキング部分。壁には隙間が見える
ドッキング部分の足下
反対側のタラップ車の階段を下りていく
タラップ車のアーチを下りてくる受講者たち
タラップ車のドッキング部分を下から見上げたところ
普段は乗客の乗り降りに使われるタラップ車

 11時15分頃、エンジン音とともに、スカイマークのSKY182便 神戸発~茨城行きが姿を現した。機材はボーイング 737-800で、受講者たちの目の前で滑走路に着陸し、滑走路の端で180度方向転換をしたのち、乗客を降ろすための場所まで移動してきた。タラップ車が横付けされ、乗客が航空機から降りてくる間の撮影は禁じられたが、乗客が全員降りた後は、再び航空機の近くでの撮影が許可された。

 次に同じ機体が、12時05分発のSKY183便 茨城発~神戸行きとして離陸していったのだが、その一部始終(もちろん乗客の搭乗中の写真撮影は禁止)も撮影することができた。

茨城空港の建物は非常にシンプルな作りだ
11時15分頃に茨城空港に着陸を行なうスカイマーク SKY182便の神戸発~茨城行きが姿を現した
SKY182便が滑走路に接地したところ
そのまま滑走路を走行していく
着陸後、地上で180度方向転換しているところ
受講者たちは熱心に航空機の撮影を行なっていた
先ほどとは逆方向に走行するSKY183便 茨城発~神戸行き
黄色のラインから外に出ないように指示された
まだ走行を続けているスカイマーク SKY183便
停止したSKY183便 。この後、タラップ車が横付けされ、乗客が降りる間の撮影は禁止された
乗客が全て降りたので、場所を移動し、赤いコーンの内側での撮影が許可された
かなり近くまで飛行機によって撮影できた
エンジン部分を後ろからアップで撮影。機体はボーイング 737-800
先ほどドッキングしていたタラップ車が分離して移動を開始した
タラップ車同士の距離がさらに離れたところ
熱心に飛行機の撮影を続ける受講者たち。ここまで飛行機によってじっくり撮影できる機会は貴重だ
SKY182便の機首部分
SKY182便の機首部分のアップ
こちらは航空燃料を運搬するタンクローリー
今度は同じ機体が、12時05分発のSKY183便になる。乗客の搭乗中の写真撮影は禁止されており、この写真は搭乗完了後に撮影したもの
離陸のために滑走路へと向かうSKY183便
離陸のための加速を開始したSKY183便
無事に離陸したSKY183便
SKY183便はどんどん小さくなっていった

 最後に、春秋航空 9C8987便 上海発~茨城行き(機材はエアバス A320)の着陸の様子を撮影して、実地撮影は終了となった。

 昼食後の懇親会では、赤塚氏が撮影したブルーインパルスなどの写真が披露されたほか、質疑応答の時間も設けられ、受講者からのマニアックな質問にも丁寧に答えていた。最後に、赤塚氏のサイン会や同氏とのツーショット写真撮影会も行なわれ、受講者はとても満足していた様子だった。今回の撮影講座は、遠く岩手県から参加された方もいたほど人気があり(沖縄からの参加希望者もいたが、天候不順で飛行機が飛ばず参加できなかったとのこと)、今後も定期的に開催していきたいとのことであった。

今度は、12時20分着の春秋航空の9C8987便 上海発~茨城行きが下りてきた
春秋航空の9C8987便の機体はエアバスA320である
9C8987便が方向転換して、乗客を降ろす場所へ向かっているところ
春秋航空の9C8987便の斜め前方からの写真
エプロンからの撮影なので35mmフィルム換算で115mm相当のレンズでもここまで寄れる
昼食は各自で食べる。茨城空港には和食の「すぎのや本陣」が入っている
かき揚げ丼とそばのセット(1080円)を注文した
こちらは一般の客が入れる送迎デッキ。ここからでも航空機の撮影はできるが、やはりエプロンほどは近寄れない
(石井英男)