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日本誘客に取り組む韓国観光公社 日本チーム長にインタビュー

日本旅行業協会による「韓国復活研修旅行」を受けて

2016年12月13日~15日 実施

 JATA(日本旅行業協会)は12月13日~15日の日程で「韓国復活研修旅行」として、FAM(視察)ツアーを実施。韓国の地方部に焦点を当てた3コースに分かれて、加盟旅行会社の代表が視察を行なった。12月13日には慶州市の歓迎晩餐会が実施された。この期間中、KTO(韓国観光公社) 日本チーム チーム長の李鶴柱(イ・ハクチュ)氏にインタビューする機会を得たので、その内容をお伝えしたい。なお、インタビューには複数のメディアが同席しており、質疑応答の内容は当媒体からの質問以外の内容も含まれていることをあらかじめお断わりしておく。

 KTOこと韓国観光公社は、日本で言えばJNTO(日本政府観光局)に位置付けられる組織で、主に韓国へ外国人を誘致すべく観光情報の発信などを行なっている公社となる。その日本チーム長は、すなわち日本からの観光客をより多く韓国に誘致することをミッションとしていることになる。

韓国観光公社 日本チーム チーム長の李鶴柱(イ・ハクチュ)氏

――:日本人に韓国へ来てもらううえでの課題は?

イ氏:2016年、韓国から日本へは500万人ほどが予想されている。日本からは230万人が韓国へ来ているので、交流人口は730万人ぐらい。日本からは2012年と同じぐらい、つまり352万人ぐらいに、これから2年で回復できればと考えている。

 これは実現可能だと思っている。なぜなら、ここ3年半ほどの日本人観光客旅行減少は、雰囲気的な部分だからだ。韓国市場の落ち込み、為替レート変動などの要因もあると思うし、韓国の内部的な問題、政治的な部分もあったが、今年になってプラスに転じた。数字もこれから伸びると思っている。

 KTOでは、お互いに国を訪問できる雰囲気作りが大切だと思っている。それができれば相互交流1000万人は実現できる。

――:2年間で352万人というのは、公式な目標として掲げているものか?

イ氏:あくまで希望。目標としては2017年度は260~270万人ぐらいと考えている。2017年度中に300万人近くに来てもらえれば、2018年には平昌オリンピック・パラリンピックもあるので、350万人という数字が達成できるのではないかと思う。

――:ブームやなんらかの大きな流れがないと難しいのでは?

イ氏:2012年の数字は韓流ドラマブームのピークの数字。いまもある程度の影響力はある。関係が改善されて、日本の地方でも韓国ドラマを放送することを検討したり、少し雰囲気は変わった。韓流ドラマの俳優人気なども、人を集める可能性がある。

 韓国各地方の受け入れ体制も進めており、旅行会社と組んだ形での展開以外に、直接個人旅行客向けに有益な旅行案内や情報提供を行なったり、ソウルから直接行くシャトルパスなどを設定して、3400人ぐらいは地方に行っている。まだ人数は多くはないが、そういう形で、足を伸ばして地方へ行ってもらえる工夫をしながら対応していきたい。

 地方は、アクセスは不便だが、1回行ったら満足度は高い。そうしたらリピーターになってもらえる。日本で詳しく情報を調べて、韓国人も行かないようなところへ行っている。ここは、日本の優れている点をベンチマークしながら、時間はかかるが、地方の魅力を高めて宣伝しないと、市場が大きくは増えないと思っている。

――:安いアクセスという点で、LCCの便数は増えているが、東海岸へのアクセスが弱い。この点を航空会社と協議したりしているか?

イ氏:需要を確保することが先だ。需要がないと路線は作ってもらえない。

――:地方の日本人向け情報の整備状況はどうか?

イ氏:昔は公社が資料、ガイドブックや地図などを整えていたが、今は自治体がそれぞれ作っているので、自治体によって積極性が異なっている。予算の問題などもあるので、積極的なところは充実しているが、少ないところもある。

 また、各地域のRTO(Regional Tourism Organization)の連携も必要だろう。共同プロモーションをやってみながら、もっとよい協力方法を探したい。RTOは以前からあるものの、組織を作り替えていたりする。RTOが、その地方の観光素材を発掘したり、受け入れ体制を自治体と一緒にやる。そして、海外プロモーションは公社に担うなどの役割分担が必要だと思う。地方ごとに広域で分け、共同で年間スケジュールを組むなど計画的に進められれば効率的になる。

――:先ほど話があった観光政策における日本の優れている点とは、具体的にどんな点が挙げられるか?

イ氏:行政府自ら関心を持って観光立国閣僚会議とかの舵取りをして、具体的な案を決めている。地方では各局が中心になって進めていて、最近はそのスピードが速いし、効率もよい。ネットワークを十分に活かして、受け入れ体制の整備もスピード感がある。昔は(そのような実行力は)韓国が速いイメージだったが、今は、特に観光の部門では日本の方が速い。中央と地方の関係は、KTOと地方の関係を作る参考にしたい。

――:(朴槿恵大統領の職務停止や、外交問題が続いている点など)政治的な面での影響はどう思っているか?

イ氏:それはコントロールできないことなので……。ただ、これ以上わるくなることはないと思うし、お互いに(オリンピック・パラリンピックのような)大きなイベントもあり、よいムードが続くと思っている。

――:実際に観光するにあたってモデルコースなどは設定しているか?

イ氏:文体部(文化体育観光部)が魅力的なコースを作ろうと工夫している。日本のいろいろな地域のルートもマーケティングしたりしている最中。各地域のモデルコースの企画を自治体から公募して、そこから選ぶようにして、公社が集中的に宣伝する取り組みとして、2016年に10のコースを紹介しはじめた。最初なので、それほど盛り上がったわけではないが、もっと工夫をして、いろいろなコースを組んでみたい。

――:日本の旅行会社には商品造成に期待していると思うが、それ以外に期待しているところは?

イ氏:3年ほど数字がよくなかったので、多くの人数を連れてきてくれる旅行社とタイアップして商品造成をしてきたが、(今後は)質の高い、高級な感じで、地方観光の魅力を連携させた形で取り組みたい。価格が高くなると多くの人数を集めるのは難しいが、バス1台でも充実したコースを組める。参加した方が満足しないとリピーターを期待できない。1万9800円や2万9800円の商品だけでは飛躍できない。参加した方が満足される商品を、旅行者と一緒にやっていきたい。

 例えば、時間的、経済的に余裕のある年齢層をターゲットにして、韓国旅行者は1泊2日や2泊3日が多いが、1週間ほどゆっくりと時間をとって、移動距離を最小限にして、その分ゆっくり地域を楽しんでほしい。それには観光素材に対して詳しく勉強しないといけない。視察ツアーの機会を作るなどして、素材の勉強をする時間を設けることが大切だと思っている。

――:そのほかに注目している客層は?

イ氏:日本では若い男性が海外旅行に行かなくなっているが、彼らに行ってもらえる素材を発掘したい。例えば、スポーツ関連イベントなど、若い男性層が興味ある素材への取り組みを2017年から少しずつ試してみたい。

――:今後のイベント予定などは?

イ氏:具体的に紹介できるものはないが、友好ムードを作るためのイベントを企画してみたい。気持ちよく楽しく旅行できる友好ムードを作るためのイベントだ。2018年の平昌オリンピック・パラリンピックから東京オリンピック・パラリンピックの4年間を「友情の年」とするといったことを考えて関連事業や、自治体間の交流を行なうなどの仕掛けを民間共同でやってみたらどうかと思っている。