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日本旅行業協会と日本観光振興協会、応援メッセージ入りのレゴブロック「熊本城」と支援金を熊本市へ贈呈

レゴブロック熊本城の展示を「桜の馬場 城彩苑」で開始

2016年11月10日 実施

熊本市長 大西一史氏(右)と握手をかわす、レゴ認定プロビルダー 三井淳平氏(右)

 JATA(日本旅行業協会)と日観振(日本観光振興協会)は、9月23日~25日に開催されていたツーリズムEXPOジャパン2016の会場で行なった募金活動で制作された「レゴブロック熊本城」と、集まった「熊本城災害復旧支援金」を熊本市に寄贈した。レゴブロックのレゴ認定プロビルダー三井淳平氏が制作を担当し、募金者によるメッセージ入りの台座パーツが組み上げられた完成状態での贈呈式が行なわれた。

 熊本城の敷地内にある「桜の馬場 城彩苑 湧々座」で行なわれた贈呈式の模様をお届けする。

寄贈されたレゴブロック「熊本城」
熊本城の敷地内に隣接する「桜の馬場 城彩苑」。多くの土産店や飲食店が立ち並び、熊本の名産品をここ1カ所で体験できる
贈呈式の会場となった「湧々座(わくわくざ)」。個人で熊本城の復興支援ができる「復興城主」の受付カウンターも設置されていた
右から、公益社団法人日本観光振興協会 会長 山口範雄氏、一般社団法人日本旅行業協会 会長 田川博己氏、公益社団法人日本観光振興協会 理事長 久保成人氏、一般社団法人日本旅行業協会 理事・事務局長 越智良典氏、一般社団法人日本旅行業協会 熊本県地区委員長 石原彰人氏
左から、熊本市長 大西一史氏、一般社団法人九州観光推進機構 会長 石原進氏、レゴ認定プロビルダー 三井淳平氏

 ツーリズムEXPOジャパン会場のレポート記事にあるとおり、会場で展示された当時は天守閣の完成が目前で、さらに募金によって応援メッセージが入れられるブロックが台座に使用されるとのことだったが、今回の贈呈式で完成版が披露された。

 贈呈式がスタートし、日観振 会長の山口範雄氏から、大西一史 熊本市長へレゴブロック熊本城の目録が手渡された。なお、このレゴブロック熊本城は、贈呈式が行なわれた城彩苑 湧々座の2階に展示される。

公益社団法人日本観光振興協会 会長 山口範雄氏
山口氏から大西市長へレゴブロック熊本城の目録が贈呈された

 山口氏は、「9月に行なわれたツーリズムEXPOジャパンには、18万5000人ものお客さまにご来場いただきまして、その一角で熊本城の復興を祈念するキャンペーンが行なわれました。後ろに完成しておりますレゴブロック熊本城ですが、実に7万5000ピースものレゴブロックが使用されております。

 昨日と今日と観光関連のメンバーで、この先どのような復興支援をしていけばよいのか議論をしました。もちろん、熊本城の惨状を見てまわりました。着実に復旧活動への準備が進んでいるということも確認しました。地震から7カ月が経過した現状を私たちが見て、それぞれの地域での支援が必要だ、という認識をさらに深く得たところであります。中長期的に考えなければならない点も重要ですので、皆さまにおかれましても、ご協力のほどをよろしくお願いいたします」と挨拶。

一般社団法人日本旅行業協会 会長 田川博己氏
田川氏から大西市長へ、熊本城災害復旧支援金の目録が贈呈された

 続いて、JATA会長の田川博己氏から、熊本城災害復旧支援金の目録が贈呈された。こちらは、レゴブロック熊本城企画の参加者からの募金、JATA会員42社ならびに観光関連団体からの支援金(個人7名含む)、旧JATA記者クラブからの支援金の合計となっている。金額は458万6468円。

 田川氏は、「夏は九州ふっこう割などがありましたが、これからが熊本の観光業にとって本番を迎えることとなります。これまでの経験によりますと、風評被害というのはなかなか払拭できるものではありません。今日おいでの皆さまにも、その辺を含めて正確な情報をお伝えいただければありがたいと思います。

 熊本城の復旧に関しましても、数年で完了できるようなものではなく、長い期間を要することを認識し、支援に関しても時間軸をしっかりと決めて応援していきたいと思います。

 このレゴブロック熊本城の台座には、さまざまな応援メッセージが書かれています。こうして見ると全国の方々が熊本を応援していると実感します。ぜひ、じっくりと読んでいただきたいと思います」とコメントがあった。

熊本市長 大西一史氏

 贈呈を受けた熊本市長の大西一史氏は、以下のように感謝の言葉を述べた。

「本日は多くの関係者さまのご臨席をたまわり、また、レゴブロック熊本城や復旧支援金のご支援をいただきまして、あらためて熊本市民を代表いたしまして感謝を申し上げます。皆さまご存知のとおり、熊本城は大きな被害を受けました。日本の自然災害により破壊された文化財としてここまでの規模のものは、これまで例にありません。

 2015年度の国内旅行者の数は、過去最高の177万人以上を記録しておりました。しかし、現在は非常に厳しい状況でございます。お城のダメージを見ながら、どこまで戻っていくのだろうか、と頭を抱えるときもありましたが、やはりみんなで力を合わせて一歩ずつ復旧していくことが、熊本全体の復旧につながると実感しております。また、被災者みんなの心の復興につながるんだ、という一心で取り組んでいるところでございます。

 そうしたなかで、今回のレゴブロック熊本城に込められた多くのメッセージに勇気付けられました。日本で唯一のレゴブロックビルダーの三井さまに制作いただいた熊本城を見て、この姿のように復活する! と確信したところです。

 地震発生以降、多くの方から温かい気持ちをいただきました。熊本城は熊本県だけでなく、九州全体の観光にも多くの影響を与えております。これからは復興ツーリズムとして、全国の皆さまに応援いただきたいと思っております。

 そして、11月1日より“復興城主”という制度をスタートさせました。すでに6000~7000件の申込みがあります。通常ベースよりも何倍もの速いペースで増えています。本日、ご来場いただいている皆さまにも、ぜひ城主になっていただきたいと思います」。

贈呈式の最後に出席者によるフォトセッション

応援メッセージ入りブロックの上にそびえる天守閣

 今回、熊本城に寄贈された「レゴブロック熊本城」は、城彩苑 湧々座の2階に展示される。

 制作を担当したレゴ認定プロビルダー 三井淳平氏は、「今回の贈呈式で、熊本入りして現在の熊本城の様子を見ました。レゴブロックは小さなパーツを積み上げて作品を作っていきますが、同様に熊本城の復興も、時間をかけて少しずつ元に戻っていくと思います。この制作作業と、石垣を積み上げていく復旧作業のイメージが重なるところがあるのではないでしょうか。

 多くの人の応援によってレゴブロック熊本城が完成したように、熊本城も同じように復興していくことを願っています。ここに見に来られる方には、将来、復興した姿と重ね合わせて想像していただけるとうれしいですね。

 応援メッセージの入った台座ブロックと、崩れてしまった石垣を積み上げていく。私一人が制作するのではなく、応援する人たちと一緒に完成させて熊本を応援するといったところが重要なのだと思います」と語った。

 今回、制作にあたり「城らしく」工夫した箇所は、ブロックの裏面を使った城壁と、蝶つがいパーツやロボットの関節パーツを使用して瓦屋根を表現したところ。また、応援メッセージが入った台座部分も見どころで、意外な有名人のメッセージを見つけられるはずだ。

再現された天守閣と小天守
台座に使用されたブロックには募金協力者からの応援メッセージが書かれている
天守閣の上部は簡単に取り外すことが可能。手にしているのは、このレゴブロック熊本城を制作したレゴ認定プロビルダー 三井淳平氏
城壁を表現するために、ブロックの裏側を柄と見立てて使用した
鯱の部分は、蝶つがいパーツを使用している
石垣は、1つあたりに小型パーツを10個ほど組み合わせたもの

展示場所となる湧々座は10月に営業を再開

 8月に掲載した旅レポ記事「地震で被害を受けた熊本城の『今』を紹介」の取材当時は復旧作業中だった湧々座。復旧が進み、10月1日から営業を再開している。歴史ファンならずとも、湧々座に足を運び、レゴブロック熊本城と本物の熊本城の様子を、その目で確認してみてはいかがだろうか。

湧々座は入場料が必要となっている。大人300円、小・中学生100円
1階は熊本城の歴史を学べる資料室となっている
湧々座の2階に展示されるレゴブロック熊本城