ニュース

せとうちSEAPLANES、水陸両用機を使った「せとうちディスカバリーフライト」の初便運航

水上機から眺める景色の“新たな美”を全国へ

2016年8月10日 開業

「せとうちディスカバリーフライト」初便の出発を待つ、せとうちSEAPLANESの水陸両用機「KODIAK 100型機」

 せとうちSEAPLANESは8月10日、水陸両用機を利用した瀬戸内遊覧飛行サービス「せとうちディスカバリーフライト(SETOUCHI Discovery Flight)」の運航を開始。初便の運航に際して、開業式典が行なわれた。

 8月~10月のダイヤは下記のとおり。初日の8月10日は開業特別ダイヤが組まれており、初便は11時45分発のスケジュールで、午後にもう1便を飛ばす予定という。飛行自体は約30分で、桟橋から離着水地点までの往復にそれぞれ10分程度を見込んで、およそ50分のスケジュールとなっている。

8月/9月のダイヤ

1便:10時25分発~11時15分着
3便:11時45分発~12時35分着
5便:14時45分発~15時35分着
7便:16時05分発~16時55分着

10月のダイヤ

1便:10時00分発~10時50分着
3便:11時20分発~12時10分着
5便:14時20分発~15時10分着
7便:15時40分発~16時30分着

 そのほか、サービスの概要などについては、別記事「せとうちSEAPLANES、瀬戸内海の島々を巡る遊覧飛行『せとうちディスカバリーフライト』開業」を参照してほしい。

 開業式典は初便就航に合わせて行なわれたが、その1時間半ほど前からは、オノミチフローティングポートで、水陸両用機「KODIAK 100」型機の移動が行なわれた。地上では小型のトーイングカーと、ヘリコプターのスキッドを乗せて使うような三角形のトーバーを使って移動。浮き桟橋の端からリフトを使って水上へ下ろす流れとなる。

 水上では自走。水族館の旧建屋を再利用した格納庫の奥から回り込んで、旅客桟橋へと接岸し、桟橋で待機していたスタッフが索を固定して係留した。

三角形のトーバーを利用し、トーイングカーに押されて移動
桟橋の端にあるリフトで水上へ下ろされる
水上を自走して旅客桟橋へ向かうKODIAK 100型機
旅客桟橋へ
「せとうちディスカバリーフライト」初便運航に向けて旅客桟橋へ移動するせとうちSEAPLANESの水陸両用機「KODIAK 100型機」

 開業式典の会場はオノミチフローティングポートへ向かう桟橋の前に作られた“ゲート”の前。

 式典ではまず、せとうちSEAPLANES 代表取締役社長 須田聡氏が挨拶。須田氏は「日本では半世紀ぶりといわれている水上機の運航事業に取り組み、米国Quest Aircraft社製のKODIAK 100型機を活用した運航事業に取り組み、整備・運航事業をはじめ社員一丸となって開業準備に取り組んできた」と紹介し、列席者に対して開業に至るまでの支援に対して何度もお礼を述べた。

 また、「私どもはエアラインとして、安全運航を最優先に、そしてまた、水陸両用機の魅力を今まで以上に多くの皆さまにお伝えすることを使命として、社員一同、これからも全力で対応させていただきたいと思っている」との決意を述べた。

 続いて、須田社長ほか、衆議院議員 小林史明氏、広島銀行 代表取締役 頭取 池田晃治氏、国土交通省 大阪航空局長 干山義幸氏、尾道市長 平谷祐宏氏、福山市市議会議長 小川眞和氏が、会場中央に置かれたボタンを押し、オノミチフローティングポートの旅客桟橋へ向かうゲートがオープン。初便に搭乗する乗客が桟橋へと向かった。

 旅客桟橋では、初便に搭乗する乗客へ花束を贈呈。初便の乗客は7名で、瀬戸内エリア以外から乗りに来ている人もいた。

乗客7名と運航乗務員2名を乗せたKODIAK 100型機は、11時56分に離桟。水上を移動してオノミチフローティングポートの沖へ移動後、陸上機でいうローリングテイクオフのように、滑走開始位置で停止することなく水上を滑走して、12時ちょうどに離陸。せとうちの島を巡る遊覧飛行へ旅立っていった。

桟橋前に作られた“ゲート”の前で開業式典を実施
株式会社せとうちSEAPLANES 代表取締役社長 須田聡氏
ゲートオープンボタンを押す、衆議院議員 小林史明氏、広島銀行 代表取締役 頭取 池田晃治氏、国土交通省 大阪航空局長 干山義幸氏、尾道市長 平谷祐宏氏、福山市市議会議長 小川眞和氏、株式会社せとうちSEAPLANES 代表取締役社長 須田聡氏
ボタンを押して開かれたゲートをくぐって、初便の乗客が水陸両用機へと向かう
初便の乗客代表への花束贈呈
桟橋から移動式の“橋”が架けられ、乗客が機内へ

乗客を乗せたKODIAK 100型機が移動。水上から空へ

株式会社せとうちSEAPLANES 代表取締役副社長 松本武徳氏

 運航初日は雲も少ない快晴に恵まれ、風も4~5mほどと穏やか。波高は目視で20~30cmほどとのことで、せとうちSEAPLANES 代表取締役副社長の松本武徳氏によれば「内海ならこのぐらいが普通」の条件という。

 ちなみに、離水後に行なわれた囲み取材で松本副社長は、「最初の段階の準備から2年2カ月ほどでここまでこられたので感慨が強く基本的には感動している。うれしい」とする一方、「飛び立つ瞬間に涙が出るのではないかと思ったが、まだ緊張していてそこまではいかない」と責任感をにじませる場面も。

 今後のコースの追加や保有機材の追加なども検討されているが、事業拡張については、「年度末までに8機の保有、10名ほどのパイロットを養成する。(安全運航が第一なので)拙速に拡大するのは絶対に避けたい。地に足を付けて、少しずつ大きくしていこうと思っている」とし、事業拡大については早くても2017年春以降になるとの見通しを示した。

 遊覧飛行については「私も先日、このコースの最終確認をしたが、上から見た景色は非常に素晴らしいものがある。我々は普段、船や陸上から2次元的に景色を見ているが、これを上から3次元的に見た景色は相当違って見えて、本当に感動的だった。お客さまはそういう新たな“美”を再発見していただければありがたい」とアピール。

 さらに、「できるだけ多くの方に水上機を楽しんでいただき、感動、わくわく感を味わっていただきたい。そして、それを通じて、日本全国に水上機を普及させていきたい。その意味でも、できるだけ多くの皆さまに乗っていただいて、上から見たらこんなに景色が違うんだ、美しいんだということを再発見してもらうということを、せとうちに限らず、日本全国でやっていきたい」と、将来の展望を語った。