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ポルシェ「パナメーラ4Eハイブリッドスポーツツーリスモ」で「本州の最南端」串本町を旅する

ポルシェのフラグシップサルーン「パナメーラ4Eハイブリッドスポーツツーリスモ」で本州の最南端となるのが潮岬へ

 旅行の目的地として各地域の突端を目指したことはないだろうか? 例えば、日本の最北端といえば北海道稚内市の宗谷岬、本州の最北端は青森県の下北半島にある大間崎、九州の最南端なら鹿児島県の大隅半島にある佐多岬など、諸島から成り立つ日本では各地域で東西南北の突端がある。そして、本州の最南端となるのが潮岬で、今回の旅の目的地となる和歌山県東牟婁郡串本町に位置している。

 串本町は紀伊半島の南端で東西に広がる町で、海岸線は太平洋に面している。潮岬は、串本町の中心部から南側に突き出た半島部分にあり、東側には紀伊大島が浮かんでいる。紀伊大島と潮岬の半島部分は「くしもと大橋」でつながっていて、間にある苗我島でループしている美しい形状の橋は、観光客にも人気のドライブルートとなっている。

 串本町は和歌山県東側の吉野山から南方に伸びる吉野熊野国立公園に属していて、リアス式の海岸線やラムサール条約で保護されているサンゴが生息する海、世界遺産の熊野古道など多くの観光資源を誇っている町だ。

 この旅を供にしたポルシェのフラグシップサルーン「パナメーラ4Eハイブリッドスポーツツーリスモ」で、東京からの往復約1300kmを走ることになった。

「パナメーラ4Eハイブリッドスポーツツーリスモ」は、第2世代のパナメーラとして3つ目のボディデザインとなる大型のテールゲートを保持。ボディサイズは、5049×1937×1428mm(全長×全幅×全高)でホイールベースは2950mm。エンジンはV型6気筒2.9ℓターボに電動モーターを組み合わせている。システムの最高出力は462psで、最大トルクは700Nm。電動モーターだけでの走行も可能で、満充電の場合の航続可能距離は51kmとなっている
386mのループ橋と290mの大橋からなる「くしもと大橋」。紀伊大島側にはパーキングが用意されていて、大橋部分を眺めることができる

 撮影当時はあいにくの曇り空だったが、気温は20℃に迫るほどで11月下旬の気候とは思えないほど温暖だった。それもそのはずで、串本町の緯度は東京都の八丈島とほぼ同じだという。年間平均気温も16.8℃と、東京よりも1.5℃ほどだが高いそうだ。

 まずは、串本町の観光地として外してはならない「橋杭岩」で撮影。大小40ほどの岩が並んでそそり立つ雄大な様子は、写真映えするポイントとしても有名で、平日ながらも多くの観光客が訪れていた。名称の由来は大小40の岩が規則性のあるように並んでいて、その様子が橋の杭のようだということで「橋杭岩」と名付けられたそうだ。国の名勝や天然記念物にも指定されている。

伊勢から紀伊半島の東岸を走る国道42号沿いにある「橋杭岩」。南紀の観光の名所となっていて、多くの観光客が訪れていた。大小40ほどの岩柱が整然と並んでいて、上空から見るとその見事な景観がより分かる。岩柱は岩盤の硬いところが浸食によって残ったもので、橋の杭に見立てられたことからこの名前が付けられているそうだ

 続いて訪れたのが、紀伊大島の東側にある樫野崎。串本町には多くのところでトルコとの友好関係を示す看板などが見受けられる。起源となるのは、1890年に起きたエルトゥールル号の遭難事故で、この樫野崎の東側の岩礁に乗り上げて転覆した。この事故によって約580名の命が失われたが、地元住民の救助によって69名の命が救われたという。この遭難事故を映画化した「海難1890」は125年が経過した2015年に公開され、撮影の一部も串本町で行なわれたそうだ。

 樫野崎には「トルコ記念館」や「トルコ軍艦遭難慰霊碑」があり、記念館の中にはエルトゥールル号の模型や遺品などが展示されている。また、先端にある灯台は日本最初の様式石造りの灯台で、1870年から熊野灘を照らしている。樫野埼灯台の内部には入ることができないが、外側のらせん階段で上部へ登ることができ、180度以上に開けた水平線を眺めることができる。

紀伊大島の東端にあるのが樫野崎になる。ここは1890年にエルトゥールル号が難破したところで、「トルコ記念館」や「トルコ軍艦遭難慰霊碑」が設けられている。樫野埼灯台の近くにある像は、トルコ国の建国の父とされるムスタファ・ケマル・アタテュルクで太平洋を望むように建てられている。灯台は日本で最初の様式石造りとなっていて、1870年に建設された

 紀伊大島から移動するころにはお昼を回っていたために街中にある、今年オープンしたばかりの「M'S CAFÉ&DINING」に立ち寄った。洋館のようなホテルの建物を利用したダイニングで、ランチとディナーの営業を行なっている。オーナーは磯釣りが趣味ということで、時間があるときには釣りに出かけ、釣りたての鮮魚がディナーの一皿になることもあるそうだ。ランチではジビエの鹿肉を使ったボロネーゼや牡蠣のペペロンチーノ、アサリのボンゴレなどオリジナリティあふれるメニューが用意されていた。

串本町のサンゴ台にある「M'S CAFÉ&DINING」。洋館のようなホテルの建物をそのまま使っていて、クラシックな雰囲気を味わえる。ただ、ランチやディナーはリーズナブルで地元の食材も多く提供される

 腹ごなしを終えたところで向かったのは、本州最南端の潮岬。串本町の中心街から半島のように伸びた先端に潮岬があり、潮岬灯台や潮岬観光タワー、南紀熊野ジオパークセンターなどの観光スポットがある。観光タワーの頂上へエレベーターで上がると、そこは太平洋を一望できる。海抜も100mと高いところにあり、まわりには遮る物がないため、水平線が見渡せる。樫野埼灯台よりも高い位置から全景を眺められるので、水平線の丸みまで見られた。

 潮岬観光タワーの隣には南紀熊野ジオパークセンターがあり、今年の7月にオープンしたばかり。そもそもジオパークとは大地「Geo」と公園「Park」から成る言葉で、その地域の大地を学ぶことができる場所。南紀熊野ジオパークセンターは、南紀の大地の成り立ちを知ることができる発信基地のようなところで、センター内には紀伊半島の大型立体模型や、どのように紀伊半島ができあがったのかが分かる資料などが用意される。ガイドが丁寧に紀伊半島の成り立ちを説明してくれるので、どのような岩盤の上にできているのか、なぜ橋杭岩や紀伊大島の海岸線にみられる断崖絶壁ができたのかなど、観光資源になっている名勝の成り立ちも分かるので、ぜひ立ち寄ってみてほしい。

本州最南端にある潮岬観光タワー。屋上まで登ることができ、太平洋を望む展望台は圧巻の眺め。高い位置から見渡せるので、丸い水平線を見ることができた。潮岬観光タワーの1階にはエルトゥールル号の模型や、映画「海難1890」のシーンも公開されていた
今回訪れたなかでも興味深かったのが「南紀熊野ジオパークセンター」。紀伊半島が形成された状況や、なぜ南紀には独特な景観が多いのかなどをガイドが丁寧に教えてくれる。温暖湿潤な気候がもたらす動植物や熊野信仰などの文化的な側面も知ることができる

 そして最後に訪れたのが、串本町の西側にある「串本海中公園」。ここは日本で最初に海中公園に指定されたところで、2005年にはラムサール条約の登録地にもなっている。南紀は温暖な黒潮が流れることによって気候的にもだが、水温も年間をとおして暖かい。そのため串本の海には、世界最北のサンゴ群落が広がっている。住みつく生物も熱帯魚などが多く見受けられ、ウミガメなどもタイミングによっては発見することができるそうだ。そんな豊かな海中を再現した水族館や、実際に海中が見られる展望塔、ダイビングパークなどが併設されている。水族館にはウミガメを飼育しているプールや、サメ、エイ、マグロなどの回遊魚を水中トンネルから眺められる大水槽などがある。海中展望塔は串本の海に建てられていて、まわりに住み着くさまざまな魚種を確認することができた。

日本で初めて海中公園として指定された「串本海中公園」。水族館は、串本に生息する生物を集めているゾーンやトンネル大水槽、ウミガメプールなど多くの見どころがあり、絶滅した史上最大のウミガメ「アーケロン」の彫刻も展示されている。水族館から外に出ると沖合140mのところに海中展望塔が設けられていて、実際に串本の海を見渡せる。展望台からは餌やりもでき、驚くほど多くのグレ(メジナ)が集まってきた

 南紀というと以前は交通の便が悪く大阪からも時間がかかっていたが、今では串本町の近くまで紀勢自動車道(E42)が伸び、大阪や東海地域からのアクセスも改善したそうだ。関西と東海圏からならば日帰りでのドライブも可能だが、見どころが多いのでゆっくりと宿泊して観光地を回るのがよさそうだ。

 ちなみに、東京から自走していった「パナメーラ4Eハイブリッドスポーツツーリスモ」だが、その走りはまさに快適かつ快速。快適さのゆえんは、3チャンバーエアサスペンションが生み出す全域での乗り心地のよさにある。車高やサスペンションの減衰力を任意で調整することも可能なエアサスペンションだが、走行モードに合わせて車両側で制御を行なっている。舗装が荒れた一般道でも路面の凹凸を確実に減衰し、キャビンに不快な振動が伝わってこない。高速道路などの走行スピードでは、安定感としなやかさが両立していて、ありきたりだが常に路面とタイヤが接地している様子が感じられる。また、ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)の制御も絶妙で、加速と減速のタイミングやコントロールはドライバーが運転している状態そのもの。ACC任せでも違和感がなく、長距離移動には重宝する。そしてオーディオ性能も秀逸で、BOSEサウンドシステムはドライバーを包み込むようなセッティングとなっていて、上質なオーディオルームにいるかのようだった。

 モーターやバッテリーを搭載していることで車重は2トンを超えるが、462psと700Nmを誇るシステム出力によって軽々と加速していく。国内の使用環境であれば何の不満もない。ボディサイズは全長が5mを超えるのだが、最小回転半径を抑えているために、今回走ったような一般道でも大柄なボディを意識せずに走ることができるのも特徴といえる。

 東京からの往復で約1300km、現地で500kmほど走行したが、まったく疲れることなく、帰路もほとんど休憩をせずに帰ることができたことも付け加えたい。

道路使用許可:白浜警察署 白交 第899号
撮影協力:串本町