JALふるさとアンバサダー/応援隊に聞く地域愛

古きよき日本をサイクリング! JALの客室乗務員がクマイチアンバサダーに就任しました

JALふるさとアンバサダーに地域の取り組みを聞いた。回答者は西日本地区JALふるさとアンバサダーの日髙奈穂さん

 全国各地に拠点を持つJALは、地域活性化の取り組みを継続的に実施してきており(現在は「JALふるさとプロジェクト」)、2020年8月には社内公募で選ばれた客室乗務員が現地に移住して、それぞれの地域での取り組みを推進する「JALふるさとアンバサダー」を発足しているほか、同12月には乗務しながら地域活性化に携わる「JALふるさと応援隊」を任命している。故郷や縁のある地域に対して、客室乗務員として培ってきた知見を活かした商品開発や地域課題の解決などを展開する狙いがある。

 今回お話を聞いたのは、和歌山県上富田町でサイクルツーリズムに携わるJALふるさとアンバサダーの日髙奈穂さん。

――取り組みについて教えてください。

「クマイチ」とは、世界遺産の熊野古道を有する和歌山県の熊野エリアを反時計回りで一周するサイクリングコースです。「クマ」は熊野、「イチ」は一周を意味します。

 熊野の玄関口を意味する「口熊野(くちくまの)」と呼ばれる和歌山県上富田町は、サイクリングと観光を組み合わせた「サイクルツーリズム」を推進しており、クマイチは、同町を発着地としています。

 地域では関係する11市町村や企業が「クマイチ」のブランド化を目指し、2021年に「クマイチ宣言」を採択しており、モニターツアーなどを実施しています。

 上富田町や紀州くちくまの未来創造機構 上富田サイクルステーションKMICH(クミッチ)の皆さまの「クマイチ」を広く知っていただきたいという想いと、和歌山県の魅力を発信したいというJALふるさとアンバサダーの想いが一致し、上富田町長から「クマイチ」のPR大使として、2023年10月に「クマイチアンバサダー」の任命を受けました。

「クマイチサイクリング&ウォーキングツアー」で訪れた太地町(2023年8月)

――この取り組みにはどのように関わっているのでしょうか。

 2月に「学べ!熊野古道 知ってる?三垢離(さんごり)~身も心も清めて蘇りの地へ体験モニターツアー」に参加した様子をレポートします。

 このモニターツアーは、まず身体のけがれを除き清める「三垢離」から始まります。海水による「潮垢離(しおごり)」、川の水による「水垢離(みずごり)」、温泉による「湯垢離(ゆごり)」を「三垢離」と言います。水垢離場は足湯のようにゆっくりと浸かることができます。

 湯垢離の湯の峰温泉「つぼ湯」は世界遺産の名湯で、順番待ちの札をもらって入るほど日本人にも海外の方にも大人気です。温泉街ならではの香りが漂い、夕暮れ時の雰囲気も格別でした。近隣の土産物店で生卵を購入することができるため、かけ流しの温泉を使用して温泉卵を作る方もいらっしゃいました。

 上富田町では上記の水垢離体験に加えて「三王子(さんおうじ)」を巡りました。王子とは熊野詣の先達を務めた修験者が、地元民が神を祀るために立てていた社を神社として整備したものです。今回は「八上王子」「稲葉根王子」「一瀬王子」の「三王子」をe-bike(電動アシスト付きマウンテンバイク)で訪れました。

 三王子には西行や南方熊楠ゆかりの史跡が点在しており、偉人が訪れた記録に歴史の深さを感じました。そしていよいよよみがえりの聖地、熊野へ向かいました。

 聖地へと向かう静かな熊野古道を歩いていると、さまざまな草木や緑に癒され、鳥の鳴き声に耳をすませ、慌ただしい日常から離れて貴重な時間を過ごすことができました。たどり着いた大きな鳥居、熊野宮大社では九鬼宮司からのお話を伺うことができ、古くから伝わる日本人の「相手を思いやり敬う心」の尊さに感動しました。

潮垢離場(扇ヶ浜潮垢離場)
水垢離場(富田川沿い)
湯垢離場(湯の峰温泉「つぼ湯」)

八上王子
稲葉根王子
一瀬王子

――今後の展開・展望について教えてください。

 上富田サイクルステーション KMICHではe-bikeのレンタルサービスを行なっています。

 東京からは、飛行機を利用して羽田空港から南紀白浜空港(熊野白浜リゾート空港)へなんと1時間10分で到着します。

「聖地熊野にいつか訪れてみたい! でも二次交通に不安がある」という方、南紀白浜空港・JR駅(紀伊田辺・白浜)へは、e-bikeのお届けサービス(有料)も行なっています。空港・白浜駅に加えて紀伊田辺駅での乗り捨ても可能ですので、移動手段としてとても便利です。ぜひご利用ください。

 サイクリングとともに楽しむ世界遺産の宝庫、海・山・川が揃う和歌山県の魅力がつまったツアーも今後展開予定です。

上富田サイクルステーション KMICH

――旅行者に向けてメッセージをお願いします。

 2023年8月に参加したツアーでは、3日間でクマイチの前半130kmを走行して参りました。e-bikeも長距離サイクリングも初めてでしたが、上り坂でも一切負荷を感じることなくあっという間の3日間でした。体力に自信がない方にもe-bikeならサイクリングを楽しんでいただけると思います。

 自転車で、ほどよいスピードでさわやかな風を感じ、地元の方々との触れ合いも楽しむことができます。国内屈指のリゾート地である南紀白浜のほかにも、世界遺産の熊野古道に沿って走るクマイチで日本の魅力を存分に体験できます。ぜひ和歌山県の紀南地域を訪れていただき、古きよき日本に出会えるサイクリングをお楽しみください。

熊野古道を歩く
「潜水橋」は増水時には水面の下に沈む橋