荒木麻美のパリ生活

パリの夏至の日は音楽の日

フランス全土が朝まで踊り明かす!

 今年で35回目となった「La fête de la musique(音楽の祭典)」。1982年に当時の文化大臣によって始められた音楽祭は、毎年6月21日に開催されます。この日は夏至の日、つまり1年で1番太陽が出ている時間が長いからです。

 去年の数字ですが、2015年にはフランスで1万7000のコンサートがあり、1千万人の参加があったそう。プロ・アマを問わず、音楽ジャンルもクラシックからポップ、ロック、エレクトロ、レゲエ、ラップなどオールジャンルで、場所も路上から劇場、カフェや公園など、街のいたるところで、ほぼすべて無料で音楽に触れることのできる一日となります。

 今年のテーマは「La musique est plus forte que tout ce qui pourrait nous diviser(私たちを分裂させるいかなるものよりも音楽は強い)」。一連のテロ事件のことなども踏まえているのでしょうか? 今回の音楽祭中、確かにいろいろなところで「Solidarité(ソリダリテ:連帯)」という言葉がありました。

 実は私、ここ数年は音楽の祭典にまったく行っていませんでした。というのも学校の講習会が夏にあり、6月はその準備に追われて音楽を楽しむ余裕がなかったからです。

 でも今年は学校が終わって余裕ができたのと、曇天ながらお天気が持ちそうだったので、「久々に行ってみようかな?」と、近所のヴィレット貯水池からサン・マルタン運河までを中心にぐるっと見てきました。もちろんVélib(ヴェリブ)に乗って!

 ヴィレット貯水池入り口、バタイユ・ド・スターリングラード広場のロトンド・ド・ラ・ヴィレット(18世紀末に建てられた入市税の関所)前でサンバ隊を発見。周りでは子供たちがくるくると踊っていました。

 ヴィレット貯水池エリアに入るとすぐ、かわいい男の子が一人で演奏。フレンチポップを演奏していました。歌もなかなか上手で拍手喝さい。

 枯れた感じのおじさまも一人で渋く演奏中。

 フランスバイク組合の人たちによるステージが。何を演奏するのかなーとあとで対岸から見てみたら、ゴリゴリのロックでした。革ジャン黒づくめのおじさんたちが「ウエーィ!」と叫んでいました。

 しっとりとアンビエント系テクノをプレイ。踊っている人はほとんどいませんでしたが、アルコール片手にのんびり聞き入る若者多数。

 カフェの中で演奏している人もいました。

 バタイユ・ド・スターリングラード広場に戻ってくると、小児がん患者支援のための、オールジャンルのミニコンサートが開かれていました。

お母さんも子供たちと一緒に踊ります
もちろん屋台も出てきます
喧騒もなんのその、いつもどおり釣り糸を垂れる人たち

 ヴィレット貯水池からサン・マルタン運河を下っていきます。

 まず遭遇したのはまたもやサンバ。でもこちらは女性のみのグループ。

 ここはテクノ専門のブースみたいでした。お目当てのDJがいるのか、若者たちが座って待っていました。

 サン・マルタン運河をどんどん下ってリパブリック広場へ。私は一昨年までこの辺に住んでいたのですが、きれいになったはずのレピュブリック広場のマリアンヌ像が落書きで大変なことに!

 像を前に「ソーリーダーリーテーーーーーーー!」と叫びながら演奏をする人たちと(その前後は何を言っているか私には聞き取れず)、それを撮影する人。背中のバックには「我々はメディアじゃない。ドキュメンタリー制作者で失業者だ」と書かれていました。

 リパブリック広場から家に戻る途中、10区のインド人街にもちらっと寄ってみました。ここでは当然のごとくインド音楽がガンガンとかかっておりました。

見ている人はほぼ100%インド系の男性

 私は21時くらいで家路に着きましたが、屋外では0時くらいまで、屋内では明け方まで音楽が鳴りやまなかったようです。

 今年はサッカー・UEFAユーロ2016と重なり、セキュリティのために一部のプログラムが中止になるということもありましたが、今年もフランスが大いに音楽に揺れた一日だったのではないでしょうか?

この日は公共交通機関も終夜動いていることを伝えるポスター

 なお、音楽の祭典はフランスのみならず、120カ国700都市以上で開催されているのだそうです。日本も含まれていますよ!

荒木麻美

東京での出版社勤務などを経て、2003年よりパリ在住。フランス人の夫と黒猫と暮らしています。2011年にNaturopathie(自然療法)の専門学校に入学、2015年に卒業。2016年からは卒業論文を執筆しながらカウンセリングも少しずつですが始めました。