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NEXCO東日本、首都圏高速道路の新料金体系を2016年4月1日より導入

8月度定例会見より

2015年9月30日実施

 NEXCO東日本(東日本高速道路)は9月30日、2015年度5回目となる定例記者会見を開催。創立10周年の節目を迎えての総括と今後の取り組みについて、2015年8月の営業概要、SA(サービスエリア)/PA(パーキングエリア)メニューコンテスト全国大会、第14弾地域産品応援フェア、訪日外国人向けの免税対応、Highway Walkerのリニューアルについて説明が行なわれた。

 冒頭、NEXCO東日本 代表取締役社長 廣瀨博氏より、創立10周年目の節目を迎えての総括と今後の取り組みについて、合計6件の報告がなされた。その中で、2016年4月より導入を予定している首都圏の高速道路の新料金体系に関しても解説が行なわれた。同社では2016年4月1日よりの施行を目指しているとのこと。さらに、10月31日に開通する圏央道 桶川北本IC(インターチェンジ)~白岡菖蒲IC間に関しても言及し、物流や観光面での振興に期待ができると語った。

東日本高速道路株式会社 代表取締役社長 廣瀨博氏

 1件目は、台風18号に伴う豪雨関連の報告で「台風18号に伴う関東から東北にかけての豪雨につきまして、亡くなられた方へのお悔やみと被災された方へのお見舞いを申し上げます。今回の豪雨で、当社管内の高速道路では、記録的な豪雨により複数の箇所で小規模な法面の崩落等の災害が発生いたしましたが、速やかに応急復旧を行ない、交通を開放させていただきました。また、浸水した市町村に対しまして、路面清掃等の支援の要請や水の供給のご要請がありましたので、それに対する支援をさせていただき、並行する一般道の被災に伴いまして、東北道の大衡IC~古川IC間で無料通行措置を実施しました」と述べた。

NEXCO東日本の10周年記念ロゴ

 2件目は、NEXCO東日本が2015年10月1日に創立10周年を迎えることについての報告で「民営化の目的は、1つ目が全体で40兆円になる有利子負債、債務を確実に返済すること、2つ目は、必要な道路を早期にできるだけ少ない国民負担のもとで建設すること。3つ目は、民間のノウハウを発揮し、弾力的な料金設定や多様なサービスを提供すること。10年の成果を申し上げますと、まず1点目につきましては、当社は平成17年10月の民営化から平成27年3月までの9年半で賃借料約4.4兆円のお支払いをし、機構側の返済原資として使っていただきました。2点目については、当社は現在3800kmの高速道路を管理しております。そのうち、民営化から現在まで約500kmの高速道路を新たに開通させました。その際、工期の短縮を図り、建設コストも約2割削減しました。3点目については、是非立ち寄りたいと思っていただけるような魅力的なSA/PAなどの施設作りに取り組んでまいりました。今後の継続的な課題につきましては、7月に国交省がとりまとめた業務点検結果で、老朽化対策、頻発化する大規模災害や事故への対応強化が挙げられております。当社の高速道路でも開通後30年以上経過した道路がすでに4割を占めており、構造物の経年劣化や凍結防止剤による劣化がかなり出てきてますので、よく点検をしながら、大規模更新、大規模修繕をスピーディーに進めてまいりたいと考えております。なお、創立10周年を記念いたしまして、Webサイトに10周年記念ページを掲載しております。それ以外にも、ショッピングセンターや管内の休憩施設等でお客様、感謝イベントを実施しております。また、10周年記念ロゴも作成しました」と述べた。

 3件目は、首都圏の新たな高速道路料金について「首都圏の新たな高速道路料金につきましては、国の社会資本整備審議会、道路分科会、国土幹線道路部会で議論をされまして、7月に中間答申が出ました。その答申では3つの方針が示されております。1点目は、料金水準や車種区分の整理統一。2点目は、起終点を基本とした継ぎ目のないシームレスな料金の位置付け、3点目が、政策的な料金の導入、ETC 2.0の普及促進、ボトルネック対策の実施です。その方針に基づいて、9月11日に国土交通省から具体方針が出され、それを受けて、当社では首都圏の新たな高速道路料金案を策定しました。1つは圏央道、横浜新道、第三京浜、横浜横須賀道路、京葉道路の料金を高速自動車国道の料金水準を目安に新たに設定する。2点目は、東京外環道の料金を対距離制に移行し、上限・下限の料金を設定。迂回利用時の割り引きを導入。3点目は、京葉道路、千葉東金道路の車種区分を5車種区分化に。4点目は、都心部の渋滞などを考慮し、圏央道や外環道経由の利用が、都心部経由より割高にならないような料金体系の導入です。この新たな料金案に対するお客様のご意見を踏まえて、関係機関と協議を重ねながら、新たな料金を決定し、来年の4月1日からの導入が円滑になるように取り組んでいます」と述べた。

 4件目は、10月31日に開通する圏央道の新規部分について「現在までの開通延長は、約230kmですが、今回10.8kmが加わりますので、圏央道全体の整備率は約8割になります。今回の開通によって、日本の大動脈である、東名、中央、関越、東北、この4つの高速道路が直結しまして新たなネットワークが形成され、混雑する都心を通過せずに、関西・中部地方から東北地方への輸送が可能になり、輸送時間の短縮や定時性の確保が期待されます。また、観光地へのアクセスが向上し、東北、北関東あたりから鎌倉、湘南方面、あるいはその逆、東北方面の観光地を周遊されるということも期待されております。さらに、通過自治体におきましては、企業誘致に継続的に取り組んでおりまして、民需拡大、地域経済の好循環に繋がっております。今後も首都圏のミッシングリンクである圏央道の東側残りの区間、東京外環道の千葉県内と東京都内区間、その他の路線につきましてもさらなる進展を図ってまいります」と述べた。

 5件目は、高速道路の整備効果について「NEXCO東日本が民営化10年という節目を迎えるにあたって、高速道路がもたらしたさまざまな整備効果、ストック効果をまとめた事例集を作成しました。皆様には、この事例集を地域社会における高速道路の役割と、整備効果についてご理解を深めていただくための一助としてご利用いただきたいと思っております」と述べた。

 6件目は、NEXCO東日本お客様センターが格付け調査で三つ星を4年連続で獲得したという話題で「当社のお客様センターは、企業の問い合わせ窓口格付け機関であります、HDI-Japan(ヘルプデスク協会)が行なう問い合わせ窓口格付け調査で、最高評価の三つ星の認定を4年連続で獲得しました。大手企業1400社で三つ星認定を獲得したのは1割ほどで、さらに三つ星認定を4年連続で獲得したのは、過去に10社のみであります。そういう意味で、非常に価値のある認定をいただいたと喜んでいるところでございますが、これからもスタッフ一人一人がお客様のニーズに的確にお答えし、スムーズで丁寧な応対を続けていくことの必要性を認識しているところであります」と述べた。

 続いて、8月の営業概要について、取締役兼常務執行役員 管理事業本部長 山内泰次氏と取締役兼常務執行役員 事業開発本部長 萩原隆一氏より以下のように解説があった。

東日本高速道路株式会社 取締役兼常務執行役員 管理事業本部長 山内泰次氏

 8月の通行台数、料金収入の速報値は、通行台数が1日平均約302万台(対前年比1.4%増)で、料金収入が814億3000万円(同0.4%増)となった。通行台数の要因として、山内泰氏は「圏央道の神崎IC~大栄JCT間の新規開通や常磐道の全線開通の影響等によって増加したものと考えております。料金収入については、前年と比べてトリップ長が若干短かかったことによって、通行台数の伸びに比べて小幅の増加となっております」と解説した。

東日本高速道路株式会社 取締役兼常務執行役員 事業開発本部長 萩原隆一氏

 SA/PAの売上高は約182億6500万円(対前年比4.9%減)。分野別では、飲食・商品販売が約138億5000万円で対前年比1.2%の減少、ガソリンスタンド部門は約44億1000万円で同14.7%の減少となっている。この要因として、萩原隆一氏は「飲食・商品販売部門では、お盆時期の売上げが残念ながら伸び悩んだことと、8月後半天候が不順であったことが影響して昨年の売上高を下まったものと考えております。ガソリンスタンド部門については、前年に比べまして、給油数量そのものは増加しておりますが、各油種ともリットル当たり28円ほど単価が低下しているため、前年売上高を下まったものと考えております」と解説した。

 続いて萩原氏から「SA・PAメニューコンテスト全国大会」と「地域産品応援フェア!」についての説明が行なわれた。「当社ではSA/PAが参加する新メニューコンテストを毎年開催をいたしておりましたが、本年は10周年を記念いたしまして、NEXCO中日本、NEXCO西日本とともに、高速道路のメニューの頂点を決める『SA・PAメニューコンテスト全国大会』を12月に開催します。テーマは、『地元の食材を使用し、地域の食文化や魅力があふれるメニュー』です。当社につきましては10月1日から、コンテストのために開発した新メニューをお召し上がりいただけます。お客様によるWeb投票を経て4店舗が12月の全国大会に出場します。地域産品応援フェアは、東日本にあふれる郷土料理や地元の特産品、名産品などをお客様にご紹介し、地域を応援していこうというのが主旨です。今回は、10周年を記念して、賞品の当選者数を前回に比べて250名増やして800名にスケールアップしました。さらに、各SA/PAでお勧めするお土産品を詰め合わせた、NEXCO東日本10周年記念福袋を初めて販売をいたします。また、こちらも初めての試みとなりますが、当社の高速道路情報サイト『ドラぷら』を使って、Web投票でSA/PAで販売しているお土産品167品の中から人気ナンバーワンを決める『おみやげ総選挙』を開催いたします。結果は12月に発表させていただきたいと思っております」

 さらに萩原氏は、法実外国人向けの免税対応の導入について説明した。「訪日外国人向けの免税対応を一部のエリアで導入いたしました。店舗内に免税手続きカウンターを設置して、訪日外国人のお客様が免税でSA/PAの商品を購入できます。9月9日に、東関東道の大栄PAの上下線、9月29日に関越自動車道の三芳PAの下り線で免税対応を開始いたしました。10月1日には、道央自動車道の輪厚PAの上り線と東関東自動車道の酒々井PAの下り線においても免税対応を開始する予定です。オリンピック開催などに向けまして、外国からのお客様もSA/PAで快適に過ごしていただくよう、免税対応エリアを拡大したり、各種サインの多言語化等、インバウンド対応を進めてまいります」

 最後に、同社広報から2点案内があった。1点目は「全国道路・街路交通情勢調査」についてである。10月に国土交通省が、全国における自動車の利用実態や道路交通状況を調べる「全国道路・街路交通情勢調査」を実施するが、その調査の一環として、NEXCO東日本は、NEXCO中日本、NEXCO西日本と連携して、高速道路の利用者を対象としたインターネットによるドライブアンケート調査を実施する。この調査結果は、将来の道路計画を策定する上での重要な資料となるので、アンケート調査に是非協力して欲しいとのこと。2点目は、フリーマガジン「Highway Walker」のリニューアルについて。具体的には、デザインやレイアウトをシンプルにし、視認性を向上させたこと。また、SA/PAのグルメ、商品紹介記事を充実させ、地図・路線図の文字数を削減し、施設アイコンにすることで、使いやすさ、視認性を向上させたことが紹介された。

(石井英男)