ニュース

首都高、高速道路の除雪や路面凍結防止対策の安全を祈願する「安全祈願祭・出陣式」

2015年11月27日 実施

式典が行なわれた東扇島積雪凍結対策資材基地

 首都高速道路は11月27日、東扇島積雪凍結対策資材基地(神奈川県川崎市)において、2015年度積雪凍結対策「安全祈願祭・出陣式」を実施した。これは冬期に行なわれる路面凍結防止対策や除雪、排雪作業といった業務の安全を祈願して行なわれるもの。式には首都高速道路をはじめ関連会社13社、170名あまりが出席した。

 10時30分から開催された式典では、東神奈川熊野神社の宮司による安全祈願祭が行なわれ、神事が滞りなく終了すると引き続き出陣式が実施された。

首都高速道路 代表取締役社長 菅原秀夫氏

 出陣式の冒頭、挨拶を行なった首都高速道路 代表取締役社長 菅原秀夫氏は、2015年3月7日全線開通した中央環状線を例に挙げ、「交通量は5%の減少だが渋滞は5割減」「羽田から新宿までは40分が20分になった」「大井から中央道に向かう国際標準コンテナは、中央環状線の内側には入れないため環状7号線などを迂回し40~50分かかっていたのが30分になった」と、首都高速の利便性が向上していることをアピール。そのうえで「しかし、ひとたび雪が降ってもたついてしまうと元も子もない。気を引き締めて、皆さん力を合わせて(対処を)お願いしたい」と、積雪凍結対策の重要さを語った。

 また、出陣式後に行なわれた囲み会見では記者からの質問に対し以下のように答えた。

――凍結対策への心構えは?

菅原氏:ネットワークが整備されて便利になったが、いったん雪などが降って対応がスムーズにいかないと大変なことになる。臨機応変に行動できるよう心がけて欲しい。初動が一番大事。天気予報会社と契約を結び情報を入手、早め早めの対応をしていく。

――職員に向けて

菅原氏:現場が一番大変だと思う。雪はいつ降るか分からない。首都高は首都圏だけでなく日本全体の社会経済活動を支える大事な路線であることを念頭に置いてぜひ頑張ってもらいたい。

――この冬の見通しは?

菅原氏:今年は暖冬と言われている。だが、一昨年は暖冬と言われていたがドカ雪が降った。常に大雪が降る可能性があるので気を緩められない。注意したいと思う。

――一昨年のドカ雪では都内は早く開通したが神奈川線は時間がかかったが?

菅原氏:アップダウンがある(ことも理由のひとつ)。一番はNEXCOとの連携がうまくいかなかった。反省を踏まえ、今年から体制を組み直している。(連携については)すでに何度か打ち合わせを行なっている。神奈川だけでなく千葉、埼玉も含め1都3県きちんとやりたい。取り組み体制だけでなく作業車や塩水プラントを増やすなど設備面も強化している。安心してご利用していただきたい。

 次いで首都高速道路 神奈川管理局長 山本兼也氏が登壇。東京西局、東京東局、神奈川管理局、東京西局プロジェクト本部、神奈川建設局を代表して「今期の積雪凍結対策期間に置きましても経営理念が示すところ、お客様により安全により快適にご利用いただけるよう、本日お集りのグループ会社、協力会社の皆様と連携して安全に十分注意し、一丸となって全力を注ぎ積雪、凍結対策業務を完遂することを固く決意し、表明いたします」。また、受注者となる首都高メンテナンス神奈川 現場代理人 工藤美彦氏も「我々、首都高速道路の緊急要求対策業務に携わる者は、首都圏の動脈である首都高速道路の積雪凍結対策に対処すべく全力を注ぐことを決意いたします」と表明。ともに決意表明書を菅原氏に手渡した。

首都高速道路 神奈川管理局長 山本兼也氏
首都高メンテナンス神奈川 現場代理人 工藤美彦氏

 首都高速道路 保全・交通部 点検・補修推進室 補修推進課 課長 木下琢雄氏が、大雪対応時の心構えとして4つのポイントを挙げた。「常に備えよう。雪等対策期間前には交通管理者と交通解放条件等を確認するとともに、NEXCO各社と情報共有、連携して対応することを確認する。また、凍結対策期間中は天候が急変することも念頭において準備を進め、広範囲で通行止めとなった場合は優先順位を定めて除排雪を実施し、通行止めの早期解除を目指す」「初動が重要。降雪48時間前から体制準備に入り、凍結防止剤の準備、空ダンプの確保、レッカー車の増車などの準備を備え、降雪直前から凍結防止剤の散布を開始し、お客様の安全を確保して、通行止めを最小限にとどめる」「立ち往生車両への早期対応。お客様が長時間閉じ込められていることがないよう、立ち往生車両を早期に発見し、速やかに通行止めを実施し迂回措置をとるとともに、車両移動、あるいは排除して交通を確保する。特に立ち往生車両の発生が予想される個所は対流車両の排除方法、迂回開始や通行止めのタイミングなどを事前によく調整しておく」「目標を定めて除排雪。除排雪する場合は交通解放までの目標を定め、いつまでに何をすべきかを考えて対応する」。

首都高速道路 保全・交通部 点検・補修推進室 補修推進課 課長 木下琢雄氏

積雪凍結関係車両

 壇上でのプログラム終了後は積雪凍結関係車両のパレードが実施された。参加した車両は交通パトカー、塩水散布車、塩ナト(塩化ナトリウム)散布車、湿塩散布車、スイーパー、ウニモグ、標識車の計7台。首都高速道路では凍結防止剤散布車(塩水散布車、塩ナト散布車、湿塩散布車)を今年度に5台増車し、計60台体制で対応していく。また、使用する塩水を製造するプラントは式典会場となった東扇島をはじめ西新宿、加平、葛西など11カ所に用意されている。

 最後に首都高速 神奈川管理局 保全管理事務所長 青木敬幸氏が「平成年度の積雪凍結対策の無事故での完遂を目指して頑張ろう」と、参加者全員と「頑張ろう」三唱を実施。閉式となった。

積雪凍結関係車両のパレードを実施
24時間体制で巡回を行なう交通パトカー。上部には収納式の標識が備わる
凍結防止用の塩水を散布する塩水散布車。濃度は20%程度で散布量は0.12L/m2程度
こちらも塩水散布車
四隅に塩水散布用のノズルを備える
トラック&バス用のスタッドレス、ダンロップ「SP081」を装着していた
塩ナト(塩化ナトリウム)散布車。凍結防止、融雪用に固形の塩ナトを散布する。塩化カルシウムを散布する車両もある。散布量は30g/m2が標準
荷台のタンクから塩ナトが排出され下のディスクで周囲に拡散する
タイヤは通年使用に対応したトラック&バス用のスタッドレス、ヨコハマ「SY397」
湿塩散布車。固形と液体の塩化ナトリウムを別々に搭載、散布する。路面への付着に優れているためジャンクションやインターチェンジなど勾配の大きいところで使用
前部にプラウを装備
塩ナト散布車と違いサイドにもタンクがある
スイーパー。回転ブラシで雪を撹拌することにより融雪を促進し凍結を防止する
フロントに回転ブラシ付のプラウを装着するウニモグ。後部には塩ナト散布装置も備える
回転ブラシの付いたプラウ
塩ナト散布装置
タイヤはコンチネンタル「MPT80」
標識車。ドライバーに注意を促し安全を確保する
首都高速 神奈川管理局 保全管理事務所長 青木敬幸氏
参加者全員で「頑張ろう」を三唱

(安田 剛)