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開催規模は国内最大級! 京王百貨店 新宿店の駅弁大会、看板商品を徹底レビュー
2025年1月16日 12:00
今年もやってきた「京王の駅弁大会」
毎年冬になると、全国各地の百貨店でよく開催される恒例イベントといえば……駅弁大会だ。
なかでも、京王百貨店新宿店で毎年1月に開催する「元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」は、47社の実演販売・約300種類の駅弁がフロアに集う「全国最大級の駅弁大会」として知られている。本稿では、全国最大級の駅弁大会のなかでも、チラシの表面上段に掲載されるような目玉商品に注目してみよう。
京王百貨店の場合、一番目立つ場所には「特別企画」「対決企画」など、大会のために企画された商品が並ぶ。調製(弁当の製造)を手がけるのは選りすぐりの有名業者ばかりで、看板商品を任されるだけの実力があるからこそ、この枠を任されている。いわば「駅弁業者のプライドを賭けたぶつかり合い」でもあるのだ。
なお、会期は1月4日~22日の19日間で、商品によって展開期間が異なるので詳細はWebサイトで確認していただきたい。
60回記念だから「6段ミルフィーユ」弁当!
京王百貨店の「元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」は、2025年開催で60回目を迎える。開催を記念して、ご飯を3層・食材を3層と、ケーキのミルフィーユのように交互に重ねた駅弁が登場した。どこから食べても具材に行き当たる!
〈茨城県〉常磐線 水戸駅「ひたち牛 三種味くらべミルフィーユ弁当」
調製元:しまだフーズ
かつて3社の駅弁業者が競合していた水戸駅も、すべての業者が撤退。そしてJRの要望を受け、「しまだフーズ」が駅弁業界に参入した。同社はもともと水戸市内で居酒屋を経営しており、「常陸牛牛べん」などの駅弁で知られている。そんなしまだフーズは毎年の特別企画で常陸牛の旨味を存分に活かした新商品を世に出しており、すっかり各地の駅弁大会の常連だ。
ご飯の間にしっかり肉を重ねていることもあり、いつまで肉の旨味が続く贅沢な一品。いかにミルフィーユの下部にそぼろ・すき焼き肉を詰めているか……。横から見ても容器を大きくはみ出すほどに、弁当は盛り上っていた!
5年ぶりの対決企画は「ブランド牛対決」&「海の幸対決」
全国各地の食材が集まる京王百貨店にの駅弁大会では、同じ食材を使う駅弁屋さんが「対決」を掲げ、自慢の商品と地元食材で勝負をかける。
過去の対決企画では、後にこの駅弁大会で「25年連続ベスト10入り」を果たした「牛肉どまん中」(山形県・米沢駅弁)が、広く世に知られるきっかけともなった。コロナ前の2019年から5大会ぶりの復活となる対決はズバリ、「常陸牛 vs. 神戸牛 vs. 佐賀牛 ブランド牛対決」と「ウニ vs. カニ vs. アワビ 海のごちそう頂上対決」だ。
〈兵庫県〉山陽本線 西明石駅「神戸牛のすきやきと肉めし弁当」
調製元:淡路屋
明石海峡大橋の開通を記念して開発した「ひっぱりだこ飯」、JR貨物と公式提携した「JR貨物コンテナ弁当」などで知られる淡路屋も、三重県・松阪駅弁「あら竹」と並んで、早くから牛肉の駅弁を手がけていたことでも知られている。
1965(昭和40)年発売の「肉めし」は、じっくり味が浸み込んだローストビーフと、カレー風味のバレンシアライスのハーモニーが抜群によい! かつ、「神戸ビーフすき焼き弁当」などで複数の商品でおなじみのすき焼きも柔らかく、重量感があるローストビーフとの食感の違いもおもしろい。
さすが神戸牛の本場の駅弁屋さん、肉だけでなく、ご飯や付け合わせとのバランスもちゃんと考えている。
〈佐賀県〉西九州新幹線 佐世保線 武雄温泉駅「佐賀牛サーロインステーキ&赤身ステーキ弁当」
調製元・カイロ堂
調製元の「カイロ堂」は、西九州新幹線で在来線 新幹線の乗り継ぎポイントとなる武雄温泉駅で、長らく駅弁の販売を続けている。もともとが焼肉屋さんだったこともあって、ブランド牛・佐賀牛の扱いはお手のもの! 現地では、観光列車「ふたつ星4047」の特製駅弁(要予約、「有明海コース」のみ)を手がけているので、ぜひ味わってほしいものだ。
「佐賀牛サーロインステーキ&赤身ステーキ弁当」は、佐賀牛のサーロイン・赤身を店頭で焼き上げて、豪快にご飯の上に乗せている。新宿店の屋上には机と椅子があるのですぐに食べるのもいいが、少し時間を置くと身がギュッと引き締まり、旨味や肉汁を存分に味わえる。
カイロ堂の方も、「冷めても美味しいから試してみて!」とのこと。でも焼きたて、受け取りたても美味しい……。結論として、2回購入されることをお勧めしたい。
〈北海道〉根室本線 釧路駅「道産三大蟹ちらし」
調製元:釧祥館
札幌市まで特急列車や都市間バスで4~5時間はかかる釧路駅では、長い旅路の前に弁当を買い求める人々がそれなりに多い(途中、携帯の電波がつながらなくなる!)。
そのなかで、大正時代から駅弁を作り続ける「釧祥館」は、特産の花咲ガニを使った「かにめし」などの商品を、古くから得意としてきた。今回の商品は「釧祥館といえばカニ」という特徴が十分に活かされ、食感の違う毛ガニ・花咲ガニ・タラバガニの風味を存分に味わえる一品で勝負を賭けた。
少し時間をかけて、毛ガニ・花咲ガニ・タラバガニ1本1本違いを確かめながら食べるのもよい。
〈福島県〉常磐線 いわき駅「うに貝焼きと生雲丹合盛り弁当」
調製元:小名浜美食ホテル
福島県いわき市の郷土料理「貝焼き」は、日持ちがしないウニを保存するために、ホッキ貝の上に盛り付けて蒸したもの。蒸されることでウニの旨味が凝縮して、貝の香ばしい香りも吸い込むことで……試した結果、日本酒との合い口が抜群によい!
とろけるような「生うに」と、香ばしい「うに貝焼き」を組み合わせた「うに貝焼き食べ比べ弁当」は、調製元の「小名浜美食ホテル」が京王百貨店の駅弁大会に初参加した2019年に、いきなり「販売数第3位」を記録。京王のみならず、全国の催事関係者に実力が知れ渡るというサプライズも記憶に残る。今回の新作は、定番の「うに貝焼き食べ比べ弁当」をさらにグレードアップしたものといえるだろう。
特別企画「がんばれ!ローカル線」
京王百貨店の駅弁大会では、ローカル線の駅で頑張る売店やお弁当屋さんに声をかけて、地域の特色を活かした駅弁を開発して出展してもらう「がんばれ!ローカル線」枠がある。
昨年は越美北線 九頭竜湖駅(道の駅九頭竜)の「九頭竜まいたけ弁当」だった。大会のなかでも結構な“掘り出し物駅弁”が見つかるこの枠、はたして、今年はいかに?
〈石川県〉のと鉄道・能登中島駅弁 冬の贅「能登のかきめし」
調製元:駅マルシェわんだらぁず
七尾湾は入口に能登島があり、海峡が狭く日本海の荒波が入ってこないこともあり、湾内は穏やか。カキだけでなくブリ・タコなども美味しく育つ。
煮たカキは小さくても、噛むとギュッと旨味があふれ、食べ応えは十分。かつ、カキの煮汁を入れたというだし巻き卵も、絶妙の仕上がり!