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首都高、日本橋地下化や新京橋連結路の進捗説明。タイヤと燃費にいい「エコセーフ舗装」も拡大する方針
2024年10月3日 16:06
- 2024年10月3日 実施
首都高速道路は10月2日、霞ヶ関の本社で定例会見を実施し、首都高における新設・更新事業の進捗状況、エコセーフ舗装の採用、DX推進、サステナビリティ経営に向けた取り組みなど8つの項目を説明した。登壇者は代表取締役の寺山徹氏。
日本橋区間地下化や新京橋連結路の進捗
東品川桟橋・鮫洲埋立部では、更新上り線と東京モノレールに挟まれた空間で「更新下り線工事」を進めており、東品川桟橋部は橋脚の設置が完了。床版工、高欄工などの橋面工を実施中で、鮫洲埋立部は橋面工が完了して排水工に着手している。
日本橋区間の地下化事業は、トンネル工事などの現場着手に向けて6月に説明会を実施。現在は河川内の工事のため川幅を広げる工事に取りかかっている。
また、日本橋区間の地下化に伴い一部が廃止になる江戸橋JCTの代替として都心環状(C1)と八重洲線(Y)を地下で結ぶ「新京橋連結路」の事業は、8月に用地補償説明会などを開催したのち、現在は用地測量・建物調査を実施中。また、本体工事に先駆けてボーリング調査と地下埋没物などの試掘調査工事に着手している。
首都高5号線、高速埼玉新都心線(S2)以北につながる与野IC~上尾南IC(仮)の新設事業「新大宮上尾道路」は目下用地取得中で、与野JCTでは与野出入口で地盤改良や桁の地組、出口では橋台工などを先行して実施している。
タイヤや燃費に優しいエコセーフ舗装を拡大していく予定
また環境改善や安全性のため、同社が独自に開発した「小粒径ポーラスアスファルト混合物」を表層に採用したキメが細かい舗装「エコセーフ舗装」を積極的に採用していく方針も明らかにした。
エコセーフ舗装の特長としては、タイヤのゴムの変形量が小さく、走行燃費がよいこと、30年の打ち換えが1回で済むこと、騒音が小さく済むこと、ポットホールが発生しにくいこと、排水性がよく水撥ねやスリップを抑制できることなどが挙げられる。
首都高の全舗装面積635万m2のうち、現在33%の208万m2でエコセーフ舗装を採用しているが、2034年には73%にあたる465m2まで拡大する予定。これにより、通行車両の燃費が改善され、年間約5.7万tの二酸化炭素排出量削減が見込まれるという。
DXを進めるために「DXアクションプログラム」を策定
2023年に同社が掲げた「首都高DXビジョン」の5つの柱を実現するため「DXアクションプログラム」を策定し、柱を実現するための施策群、実行メニュー、ロードマップを作成。特に進めなければいけない項目に「フラッグシップメニュー」を挙げており、このDXアクションプログラムと人材育成など促進基盤を固めながらDXを推進していくという。
たとえば、安全・安心を追求するための施策として、点検・補修などのメンテナンスを判断するデータプラットフォームをよりよいものに構築していくこと。現在使用している「i-DREAs」というデータプラットフォームでは、表やドキュメントなどのデータ入力を技術者が整理して入力しており、入力されたデータは人が分析して最終判断も人が行なっている。
しかし、現在人が行なっているデータ入力などは機械判読可能なデータにできるようにデータクレンジングを進めていき、IoTやAIなどを駆使して2030年代にはデータ入力からデータの分析、暗黙知を形式知化し、人による作業は最終判断のみの「次世代 i-DREAs」にすることを目指しているという。
大橋JCT換気所屋上にある自然再生緑地にオオタカ飛来。日本遺産オフィシャルパートナーシップも
同社が掲げている「サスティナビリティの推進」の一環として大橋JCT換気所屋上に整備した自然再生緑地「おおはし里の杜」が、8月に環境省からOECM(Other Effective area-based Conservation Measures)として認定され、国際データベースに登録された。
OECMは、国立公園など保護区域ではない地域でも生物多様性の保全に資している地域で、同社は目黒川周辺の原風景に基づいた植栽景観を再生し、生き物の生育・生息・繁殖のための空間としている。過去にはオオタカが飛来した実績もあるという。
また、地域の歴史的魅力や特色を通じて日本の文化・伝統を語るストーリーを文化庁が認定する「日本遺産」のパートナーシップも9月27日に締結。同社の広報媒体などを活用し、魅力発信に協力していくという。
同社は、9月20日に新たにXアカウント(@ShutokoOfficial)を開設。今後は道路交通以外の情報として、会社としての取り組みやイベント、ドライブ情報などを発信していく予定。