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JALが本日から搭乗方法を変更。窓側席を先に案内して機内の通路混雑解消へ

2024年9月11日 導入

JALが国内線ワイドボディ機の搭乗方法を変更した

 JALと東京工業大学は9月11日、機内への搭乗順の見直しと機内混雑緩和のための共同研究結果について発表した。あわせて、本日から国内線ワイドボディ機で新しい搭乗方法の導入を開始している。

 これまでは、妊婦や子供連れ、車椅子利用者などの優先搭乗に始まり、グループ1・2(優先搭乗)でファーストクラス利用者と上級会員資格保有者、グループ3で後方座席、グループ4で機内中央部分、グループ5ですべての利用者、という分け方を行なっていた。

 新しい搭乗方法では、グループ3で後方座席と窓側座席(A列、K列)の案内を行ない、グループ4ですべての利用者を案内する(グループ5は廃止)。窓側座席を優先して案内するというのは他社でもすでに見られる方式だが、JALと東工大の共同研究では双通路のワイドボディ機を対象にしており、L1ドア(前方の扉)とL2ドア(クラスJ付近の扉)および搭乗橋の使い分けも大きく変化している。

 JAL国内線の主力ワイドボディ機エアバス A350-900でいうと、これまではL1ドアはファーストクラスとクラスJ利用者向け、L2ドアは普通席利用者向けとしてきたが、新しい搭乗方法では、クラスJより後ろの機内右側(F~K列)についても、L1ドアからの搭乗に変更している。

搭乗グループの変更

事前改札: 妊婦や2歳以下の子供連れ、車椅子利用者など
グループ1・2: ファーストクラス利用者、対象ステータス保有者
グループ3: 40番以降+非常口座席
グループ4: 20番以降
グループ5: すべて

グループ3: 40番以降+窓側席(A・K列)+非常口座席
グループ4: すべて
グループ5: 廃止

利用する扉と搭乗橋の変更

L1ドア: ファーストクラス、クラスJ
L2ドア: 普通席

L1ドア: ファーストクラス、クラスJ、普通席F・G・H・J・K列
L2ドア: 普通席A・B・C・D・E列

JAL国内線ワイドボディ機の新しい搭乗方法

 この共同研究は2022年度から始まっており、2023年には実際の機内に360度カメラを複数設置して搭乗中の機内の様子を撮影、どこで立ち止まるか、どこが混雑しやすいかなどのメカニズムを調査して、搭乗シミュレーションモデルを構築したという。

 共同研究について説明した東京工業大学 環境・社会理工学院 建築学系 教育施設環境センター長・教授・博士(工学)の大佛俊泰氏によると、搭乗ゲートを何時何分何秒に通過したか、利用者が団体なのか単独なのか、手荷物が座席下に収まるのか棚に上げる必要があるのか、棚に収納するまでどのくらいかかるかといった搭乗行動を子細に観測し、得られたデータから独自のシミュレーションモデルを構築、12種類の搭乗方法と2種類の搭乗橋の使い分けを組み合わせて、搭乗シナリオを試行したという。

 その約1000回におよぶ試行から今回の搭乗方法を決定しており、搭乗完了まで約50秒の短縮が期待できるとしている。例えば昼の12時に出発する便の場合、11時40分ごろに優先搭乗を開始して、45分にグループ1・2の案内を開始、これまで平均して約20分で搭乗が完了していたところ、約19分強に短縮する。

 20分という全体の所要時間からすると50秒の短縮は体感しづらいかもしれないが、搭乗中の混雑の大きな要因になっている「荷物の収納で通路を塞ぐ」と「先に通路側の利用者が着席していて、あとから窓側席の利用者が来る」という状況のうち、特に後者は改善が見込まれるはずで、現場ではできるだけ早く搭乗橋を外すことで作業員のオペレーションの効率化と迅速な出発準備につながっていくという。

東京工業大学 環境・社会理工学院 建築学系 教育施設環境センター長・教授・博士(工学)大佛俊泰氏
試行した搭乗方法12種と搭乗橋の使い分け2種
12時00分発のJL915便(羽田~那覇線)。A350-900型機の391席のところ、この日の利用者は333名(+幼児15名)
搭乗順の案内表示もグループ1~4までに変更
搭乗橋の途中でL1ドアとL2ドアに分岐する箇所には新しい搭乗方法に対応した案内が
優先搭乗~グループ1・2までは変更なし
グループ3は40番以降+窓側席(A・K列)+非常口座席を案内
グループ4ですべての利用者を案内