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北陸新幹線、延伸区間(金沢~敦賀)の監査・検査報道公開。まもなく実車走行へ
2023年8月23日 14:12
- 2023年8月22日 実施
JRTT 鉄道・運輸機構(鉄道建設・運輸施設整備支援機構)は8月22日、2024年春の開業を目指して建設の進む北陸新幹線延伸区間(金沢~敦賀間)の監査・検査を報道公開した。
整備新幹線ではこれまで実車走行となる総合監査・検査は初日の駅部での出迎えの様子などが公開されることもあったが、実車走行の前段階である監査・検査の報道公開は今回が初めてのケースとなった。
開業区間の概要
現在建設が進められている区間は、金沢~敦賀間の延長約125kmだ。この区間には北陸新幹線の起点となる高崎方から小松・加賀温泉・芦原温泉・福井・越前たけふ・敦賀の6駅が設置される。
整備計画による北陸新幹線は、東京都から長野市附近・富山市附近・小浜市附近を経て大阪市に至る路線と定義されている。路線としての北陸新幹線は高崎~新大阪の延長約600kmであり、2024年春に敦賀までの区間が開通すると、計画された北陸新幹線全体の約78%が開業することになる。
鉄道・運輸機構とJR西日本の関係
新幹線の建設工事は国家的なビッグプロジェクトといえるインフラ整備だ。
整備新幹線の建設凍結解除以降に建設された(されている)新幹線路線については、建設中の中央新幹線を除き、建設主体であるJRTT 鉄道・運輸機構が建設および施設の保有を行ない、営業主体となるJR各社(今回開業する区間の場合はJR西日本)が鉄道・運輸機構に対して、決められた額の貸付料を支払うことで施設を借り受けて運行するという方式が採られている。
従って最終的に鉄道・運輸機構からJR西日本に管理が引き渡された時点で、鉄道・運輸機構とJR西日本とは「大家」と「店子」のような関係となる。
監査・検査の目的
報道公開したのは監査・検査の様子である。鉄道は施設や車両をはじめとしたハードと、運行システムや営業管理体制などのソフトがトータルシステムとして機能することで安全・確実な運行が可能となっている。
このためには施設が求められた基準に適合し、発注したとおりの機能やクオリティが満たされているかを確認する必要がある。監査・検査なくして実車の走行は不可能であり、監査・検査の実施によって実車の走行が可能であるという根拠が打ち立てられるといえる。
監査・検査の違いは、鉄道・運輸機構の本社が監督する立場として、現地組織(北陸新幹線建設局)による作業内容を「監査」する。いっぽう営業主体となるJR西日本は、前項で触れたように施設を借り受ける立場となることから、新規路線を利用した営業に問題がないかを「検査」するものであり、監査と検査は内容に大きな違いはなく、監査と検査はほぼ同時に進められる。
公開された作業内容
施工基面検査
福井駅では施工基面検査と3Dレーザー測量による建築限界測定の様子を公開した。
施工基面とは路盤の高さを示す基準面であり、F.L(フォーメーションレベル)と表現される場合もある。路盤鉄筋コンクリートより上の構造物を支える土台であり、施工基面検査では外側レール中心から防音壁、軌道中心間隔、施工基面中心から防音壁までの距離が測定された。
3Dレーザー測量による建築限界測定
鉄道では車両限界と建築限界があり、この2つの限界で確保された空間で車両と建築物の接触を防いでいる。建築限界の測定方法は西九州新幹線の監査・検査まではトンネルの上面を除いて、建築限界に接触すると転倒することで支障したことを知らせる矢羽根を装着した車両「オイラン車」が用いられてきた。今回からは3Dレーザー測量による測定方法に切り替えられている。基本的な原理はレーザーを発射して反射する時間で距離を測定するもので、断面的な解析を続けることで建築限界を測定するものだ。
従来の矢羽式では直線や曲線、停車場内など異なる建築限界に対応するように矢羽根を設定する必要があった。今回から全線で3Dレーザー測量検測装置は可搬組み立て式となっており、フレキシブルな運用が可能になった。これにより作業ダイヤ構成が必要であったオイラン車は測定人数の削減やというメリットがあるという。
今後のスケジュール
監査・検査は4月26日~7月21日に電車線部門を行ない、並行するように6月21日~9月15日に鉄道施設全般についても実施する。
電車線部門の監査・検査はすでに終了しており、鉄道施設全般の監査・検査が済むと、いよいよ実車走行試験による総合監査・検査となる。総合監査・検査は9月22日~12月9日に行なう予定であり、実車の走行ももう目前に迫っている。
なお、公開された監査・検査の模様は10月21日発売の「新幹線EX(エクスプローラ) Vol.69」で詳しく紹介する。