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飲食できる広島の路面電車「TRAIN ROUGE(トランルージュ)」のオンラインライブに参加してみた

「自宅で、飲み電。ONLINE TRAIN ROUGE」で夜景飲みを堪能

2021年3月10日 運行開始

Vimeoのライブ配信機能を使った「自宅で、飲み電。ONLINE TRAIN ROUGE」。路面電車からの夜景がお酒のつまみ

 広島市内をくまなく走る広島電鉄の路面電車は、市民や観光客の足としてなくてはならないもの。その広島電鉄が2016年夏から貸切運行してきた飲食のできる路面電車「トランルージュ」は、広島の景色を眺めながらショートトリップできる車両として人気を博してきた。

 しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で運行が難しく、いろいろな施策を模索するなか、「自宅で、飲み電。ONLINE TRAIN ROUGE」という企画が立ち上がった。

「TRAIN ROUGE(トランルージュ)」のWebサイト

自宅で、飲み電。ONLINE TRAIN ROUGE

2021年3月の運行予定: 3月10日、12日、17日、19日、24日、26日
Webサイト: 飲食ができる路面電車「TRAIN ROUGE(トランルージュ)」

 これは、広島県観光連盟が打撃を受ける観光業を支援するために新しい生活様式に対応したプロダクトを公募し、トランルージュ事務局が応募したトランルージュのオンライン化も採択されたことが背景にある。

 企画の概要は、トランルージュに設置した7台のカメラを使ってオンラインライブを開催し、参加者の手元に届くドリンクとおつまみセットを飲食しながらリモートで市内の夜景を楽しむものだ。

 オンラインライブは動画配信プラットフォーム「Vimeo」で視聴するのでPCやスマートフォンで参加できる。時間は19時に広島駅を出発し、八丁堀、紙屋町、横川、広電西広島を経て、20時40分に広島駅に到着するまでの1時間40分となっている。

 その間、地元広島のことをよく知るMCによるライブナビゲート、広島のグルメや観光スポット、穴場スポットの紹介、MCとチャットでコミュニケーションが取れるといった内容が盛り込まれている。参加費用は3300円(送料別途)で、トランルージュ事務局のWebサイトから申し込む。

トランルージュは750形を改造したイベント用車両で、1両しかない貴重な存在

 トランルージュは飲食のできるイベント電車として元大阪市電の750形を改造した車両だ。26人乗りで、夏はビール、秋はワイン、冬はおでんと日本酒といった季節に合わせた品を提供してきた。

 名前はフランス語で「赤い電車」。車体の赤色は広島東洋カープの赤と同一だ。車内は黒を基調としたシックな内装で統一されており、テーブルやイスが設置されている。また、車内やイスなどに高さを持たせることで景色がよく見えるような工夫も施されているのが特徴だ。

アルコール飲料2本と広島名物のおつまみがギッシリと詰まったおつまみセットが事前に届く

 オンラインライブの前に届くおつまみセットは、飲料はキリンの「一番搾り」と「氷結 シチリア産レモン」、おつまみは「レモスコ イカ天」「ひろしま牡蠣の土手鍋」「わさびのたらちゃん」「広島風つけ麺」「レモ缶ひろしま小鰯」と広島名物が並ぶ。さらに、広島電鉄の路面電車路線図、オリジナルコースターが3種類ほど同梱されている。オリジナルコースターは全9種類用意されており、何が届くかは開けたときのお楽しみ。

コースターは9種類の中から3種類が同梱される
トランルージュのコースターは3種類。入っていれば運がいい!?

 今回体験したオンラインライブはテストも兼ねたプレス先行配信なので、一般運行とは少し内容が異なる部分もあるそうだが、視聴方法やおおよそ運行ルートなどは同一だ。

 広島駅を出発し、的場町から十日市町を経て横川駅まで市内の中心部を走行。その後は土橋を経て、広電西広島に向かい、終点の広島駅までの夜景をじっくり楽しむことができる。その間、MCやゲストによる話題のスポット紹介や広島電鉄のスタッフによる路面電車の豆知識の披露など、景色以外も楽しめる内容になっていた。

広島をよく知るMCが、トランルージュや市内の観光スポットを詳しく解説してくれる
シンガーソングライターの楓子さんが特別に歌を披露。今後、もしかしたら音楽要素が加わるかもしれない
車両にはGPSが搭載されており、現在地がマップ上に表示されるのも面白い

 コンテンツの一幕で、「一番搾り」の美味しい飲み方も紹介された。まずは、冷やしたグラスを用意するのだが、キリンのスタッフによるとキレイに洗って自然乾燥させるのがポイント。グラス内に汚れが付いていると泡立ちがわるくなるそうなので、「全力で洗ってください!」との教えどおりに、美味しいビールのためにぜひとも手間をかけて洗いたい。その際は油などの付着を防ぐためにグラス専用のスポンジを使用するのが望ましいそう。そして、洗浄後はなるべくフキンを使わず自然乾燥させ、繊維がグラス内に付着するのを防ぐ。

 そしてグラスを冷やしておくのだが、直前まで氷水を入れておくのがオススメであるとのことだ。注ぐ際は、まずは細かい泡をたてるためにグラスに少しずつ細く、底面に垂直に当たるよう入れていく。泡をたてたら、グラスの側面を伝うように傾けながら優しく注ぐ。こうすることで、クリーミーな泡が口当たりをよくし、美味しく飲めるそうだ。ちなみに、泡と液体の比率は好みにもよるが、2:8や3:7がベストな比率であると紹介してくれた。もし、今後参加を考えている人はぜひとも事前に準備して試してもらいたい。

冷蔵庫で冷やすのもよいが、氷水で冷やす方法もオススメとのこと
グラスは垂直にし、細く注ぐことで細かな泡をたてる
泡をたてたらグラスを傾け、残りのビールをゆっくりと注げばOK

 美味しいお酒と楽しむ夜景だが、路面電車から眺める街の景色は歩道を歩くのとはひと味違う。また、同じように道路を走るクルマよりも高い位置から見渡せるのも観光バスに乗っているようで楽しい。カメラから伝わってくるモーターの駆動音も臨場感をプラスしてくれる。

 運行ルートには、ホームのない駅(小網町)や路面電車専用の橋(広電天満橋)を渡るといったレアな見どころもあるので、いろいろな楽しみ方ができるのもオンライン トランルージュの魅力である。3月は支援事業の一環で開催されるが、それ以降もトランルージュの事業として継続開催される予定なので、興味ある方はトランルージュ事務局のWebサイトをチェックしてもらいたい。

レトロなものから最新型まで全部で26種類の車両が運行しているので、いろいろな車両に出会える
ホームの無い小網町。軌道横のアスファルトに「電車のりば」の文字が見える
広電天満橋は路面電車専用の橋であるため、レアな体験(?)だ