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コロナ禍から新しい日常に向けた取り組みを西武鉄道に聞く。時差通勤の呼びかけは大きな効果

西武鉄道に新型コロナウイルス感染拡大防止の取り組みについて伺った

 新型コロナウイルス感染拡大防止のため不要不急の外出自粛が求められている一方、緊急事態宣言の解除を受けて、社会インフラの維持継続などさまざまな理由で移動の必要に迫られる人もいるはず。

 多くの人にとって身近な公共交通機関といえば電車だが、通勤列車などではほかの利用者と密接・密集しがちで、距離を置くのは難しい。こうした状況下で、鉄道会社はどのような対応を行なっているのか、西武鉄道に話を伺った。なお、本インタビューはビデオ会議システムによるリモートで実施している。

 説明していただいたのは、運輸部お客さまサービス課長の山本徳之氏と、広報部 課長の内田智則氏。

2月初旬に対策チーム立ち上げで「スピード感ある対応」

 西武鉄道が新型コロナウイルスへの対策を始めたのは1月下旬で、まずは社内に対して手洗い・うがいの励行といった、社員自身が感染しないための注意喚起を行なっている。

 その後、社内外に向けてスピード感を持った対応を行なうべく、2月初旬には管理部の執行役員がトップに立ち、関係部署の部長級の社員らで構成する対策チームが発足。日本では1月半ばに初の感染者が確認され、1月31日にWHO(世界保健機関)が緊急事態を宣言したことが記憶に新しいが、このころということになる。

 国内での感染者数の増加を受けて、2月中旬からは駅構内での消毒液の設置や、券売機や車内で利用者がよく触れる部分の消毒清掃などにも取り組み始めている。ほかにも、車内アナウンスでの換気の呼びかけや構内のゴミ箱封鎖なども実施している。利用者目線だとつり革や手すりなどの消毒が気になるところだが、西武鉄道ではすべての車両基地で毎日消毒作業を実施しており、1編成あたりで見るとおおむね9日に一度の頻度で消毒を含む定期検査を実施しているという。また、国土交通省からの要請を受けて、手洗い・うがいを励行するようなポスターの掲示や注意喚起の車内アナウンスなども行なっている。

 密接・密集しがちな車内においては、時差通勤や換気の呼びかけ、ホームの待合室や改札付近のオープンカウンター、特急券/定期券などの発売所では自動ドアの開放などを行なって、利用者同士の間隔の確保や空気の循環に配慮しているということだ。

西武鉄道株式会社 運輸部お客さまサービス課長 山本徳之氏

時差通勤の呼びかけで6時台と9時台にも分散の効果が

 そうした取り組みの結果、特にゴールデンウィーク前の4月中旬から下旬にかけては時差通勤要請の効果が顕著に出ており、池袋、西武新宿、高田馬場といった都心のターミナル駅において、以前は平日の朝7時~9時に改札通過のピークがあったところ、6時~6時半、9時~9時半にも利用が分散している様子が見てとれたという。また、帰宅時間帯は16時半くらいからなだらかに混雑が推移するようになっているそうだ。終電付近も混雑する印象があるが、22時くらいには極端に利用者が減少し、終電は座って帰れるといった状況が見られている。

 乗車中の変化としては、前述のとおり換気を促すアナウンスは実施していたものの、実際には利用者同士の遠慮があったり、窓に手が届かなかったり、窓の動きが硬かったりといった事情から閉まったままになっていることがしばしばあったようで、お客さまセンターに「あらかじめ窓を開けておいてほしい」という要望が寄せられたという。

 なお、当初は気温の低さや花粉の影響などもあり、窓開けについては利用者に呼びかける形を採っていたが、現在は乗務員や駅係員によりあらかじめ窓を開放して通気性を高めてあり、4月上旬をピークにこうした要望も減少しているそうだ。最近はマスク着用など咳エチケット・マナー啓発の依頼や、窓が開いていることでアナウンスが聞き取りづらくなるため、車内放送の音量を上げてほしいといった要望が届いているという。

 西武鉄道としても、新型コロナウイルスへの対策はスピード感が大切という認識を持っており、今日に至るまでさまざまな対応を行なってきている(詳細は同社が公開したPDFなどに詳しい)。直近では、5月19日からはラッシュ時の混雑状況を示すグラフを公開、継続して更新しており、混雑時間帯に乗車しなければならない人は時差通勤時の参考になるだろう。

西武鉄道株式会社 広報部 課長 内田智則氏

新しい日常に向けて新しい社内コミュニケーションの必要を感じている

 社内に向けては、4月の緊急事態宣言以後、西武鉄道本社で出社人員を削減しており、現状では7~8割を目標に削減を進めているという。同社にはこれまで在宅勤務・テレワークという仕組みはなかったそうだが、出社する人数をかなり抑えたことで、これまでとは違ったコミュニケーションの構築の必要に迫られているという。

 一方で、現場では「お客さまの安全を確保するために人員を大きく削減できない」という前提がありながらも、可能な範囲で人数を減らす対応を行なって、万一現場で罹患者が発生しても、社内や利用者へ感染しないような体制作りを行なっている。

 最後に、お二人にメッセージをいただいた。

山本氏:
特急列車の運休などでお客さまにご不便をおかけしておりますが、出口が見えないなかでしっかりアンテナを張って、安心してご利用いただけるように取り組んでいきたいと考えております。

内田氏:
鉄道会社として引き続き安全・安定輸送を提供していきたいと考えております。目下、時短営業になっておりますが、お気づきの点がありましたらお客さまセンターまでお寄せください。