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セントレア、開港15周年を目前に今後の取り組みを発表

中国路線は新型コロナウイルスによって約6割の大幅減便

2020年2月13日 開催

中部国際空港株式会社 代表取締役副社長 各務正人氏

 中部国際空港(セントレア)は、2月17日の開港15周年を前に都内で記者会見を開催した。

 会見には同社の代表取締役副社長である各務正人氏が出席し、直近の新型コロナウイルス感染拡大による影響や同空港を取り巻く状況、今後に向けた取り組みを説明した。

コロナウイルスによる影響は拡大中で中国路線は6割の減便

 開港15周年を迎えるにあたっての説明会ではあるが、新型コロナウイルスによる感染拡大が各所に影響を及ぼしていることから、冒頭では対応策を説明した。

 セントレアでは1月21日に危機管理本部を立ち上げ、厚生労働省の中部空港検疫所、各航空会社などと密接に連携を取り、対策を講じている。具体的には、Webや空港内の掲示による利用客への注意喚起、空港スタッフの手洗い、マスク着用、消毒の励行、商用店舗においての試飲や試食の見合わせ、空港事業者への感染予防協力の要請などを行なっている。

 中国路線については、2月13日の段階で約6割の減少となっている。計画では211便が運航しているはずだったが、現状では130便減の81便となっており、今後の見通しについても現状ではまたまだ不透明であるとのことだ。経営に対する影響についても「現状ではまだまだ収束までの期間を見通すことが困難なため、引き続き状況を冷静に見極めたい」と述べるにとどまった。

LCC需要の伸びもあり2019年は過去最高の利用客数を記録

 次に開港15周年の所感について語った。

 セントレアは2000年に着工し、2005年に開催された愛・地球博にあわせて運用が開始され、その年には1235万人の利用客を数えた。その後は2008年のリーマンショック、2009年のJALの経営破綻の影響を強く受け、一時は航空旅客数が年間900万人を下回るまでの落ち込みを経験した。

 最近の5年間は国と地域のインバウンド増加に向けた取り組みとともに航空需要の拡大に向けて路線の誘致などを行なった結果、訪日外国人旅客(インバウンド)を中心に順調に伸長し、2019年は1236万人と過去最高を記録した。

 国際線・国内線ともにLCCの利用は順調に伸びており、セントレアにおいてもLCCのビジネスモデルに沿った第2ターミナルを2019年9月にオープン。愛知県の国際展示場「Aichi Sky Expo」も南エリアに建てられ、空港の魅力が一段と高まったとのことだ。

今後は4つの「S」を掲げて成長を目指す

 今後については、「これからの10年はセントレアを取り巻く環境は大きく変化していくと考えられます」と話し、技術革新や諸外国の人口増加による経済の発展とグローバル化によって訪日外国人旅客は今後ますます増えるとの認識を示した。

 政府は2030年の訪日外国人旅客の目標を6000万人に設定しており、東京と名古屋はJR東海のリニアモーターカーによって約40分で結ばれる計画も進行している。その中で「セントレアは拠点空港として、2030年の利用客数2000万人を目標に取り組んで行きたい」と述べ、第1ターミナルのリノベーションを進めるとともに、地域と連携して第2滑走路建設に向けた取り組みを進めて行くとしている。

 これらを実現するために、セントレアでは4つの「S」を掲げて事業を進めて行くことも説明された。

 まずは安全対策がしっかりと施された災害に強い空港として「セーフティファースト セントレア」。そして2つ目は、これまで築き上げてきたコンパクトながら利便性の高さをブラッシュアップし、持続的な成長への思いを込めた「サスティナブルグロース セントレア」。3つ目は、成長を実現するための手段として最新テクノロジーの積極的な導入を掲げた「スーパースマート セントレア」とし、4つ目は空港スタッフがやりがいと誇りを持って、夢と笑顔にあふれた空港を目指すということで「スマイル セントレア」と説明した。

 なお、2月17日の12時からは第1ターミナルビル4階において、開港15周年のセレモニーも実施される。その中では、空港スタッフがチームセントレアの絆を深めるべく勤務中に着用するネックストラップのデザインの表彰式も行なわれ、当日の来港者に先着で150名にプレゼントする企画も用意されている。