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日本旅行、2020~2025年度の中期経営計画策定。新IIT運賃には企画・専門性の高い商品展開で対応

2019年12月24日 実施

日本旅行は2020~2025年度の中期経営計画「TRANSFORM 2025」を策定した

 日本旅行は12月24日、中期経営計画の見直しを図り、2020年度から2025年度までの新たな6か年計画「TRANSFORM 2025」を策定した。

 同社は2017年を初年度とした中期経営計画「VALUE UP 2020」を策定していたが、2020年度の営業損益計画を前倒しで2019年度内に達成できる見込みが立ち、また予想以上にIT化が進行、FIT(海外個人旅行)が伸びていることから、最終年度を待たずに次の段階へ進むという。

 計画では2020年度から2022年度をフェーズ1、2023年度から2025年度をフェーズ2として、前半では投資による基盤整備を中心に、後半で刈り取りを行なう。具体的な数字は決算後としつつも、2025年度の目標を「営業利益20億円規模」「構造改革による収益基盤の確立」「社員のモチベーション向上」と設定した。なお、2025年は同社の創業120周年に当たる。

 法人営業での事業戦略としては、中核分野の「インバウンド」「MICE」「教育旅行」「BTM(ビジネストラベルマネジメント)」「地方創生事業」を最重点分野として強化を図り、積極的な新卒採用などで法人営業部門の人員を拡大していく。具体的には2019年度に90人規模だった新卒採用を、2020年度には140人規模まで押し上げる。この方針は最終年度まで継続予定という。また、東京や京阪神でコーポレートセールスを強化。グローバル営業やBTM営業とも連携していく。

 一方、個人旅行についてはダイナミックプライシングに対応してシステム投資を実施、ネット販売を強化していく。特に、JAL(日本航空)とANA(全日本空輸)が旅行会社向けの航空券も残席数に応じて変動させる「変動型の個人包括旅行運賃」(いわゆる新IIT運賃)を2020年4月から導入することで、募集型の旅行商品などはいわば時価になり、パンフレットに価格を明記しづらくなる。こうした状況に同社はOTA(オンライントラベルエージェント)ではなく実店舗を持つ旅行代理店(リアルエージェント)の強みを活かして、専門性のある商品やプロデュース型商品、あるいは添乗員付きの旅行やオーダーメイド型の旅行といった企画性の高い商品の展開で勝負していくという。

 これに合わせて、ショッピングセンターなどを中心に出店している日本旅行サービスと日本旅行オーエムシートラベルを、2020年4月をメドに統合してリテールの新会社を設立、同社の直営店も新会社に移管していく。店舗運営を一元化することでサービスレベルの向上を図る狙いがあるほか、一つの地域に複数の店舗が出店している効率のわるいところを整理していく。

 代表取締役社長の堀坂明弘氏はこの点について、「TiS(親会社のJR西日本の旅行業部門)の移管から20年近く経ち、ショッピングセンターの店舗がグループ会社なのに他社のように感じられることがある。一体化することで最適化を図りたい」と説明する。

 新たな事業展開としては、JR西日本グループの強みを活かしたMaaS事業への参入や、中国・東南アジアにおける法人営業の強化、2025年の大阪関西万博(2025年日本国際博覧会)やIRへの取り組みを検討・推進するとしている。