ニュース

ジョルダン、「乗換案内」でバスの接近情報を2020年春提供。佐藤社長「バスが鉄道網を補完する」

GoogleマップやiOSのマップにも提供可能な形式

2019年9月10日 発表

ジョルダンは「乗換案内」で2020年春からバスの接近情報を提供する。写真は自社開発のバス車載端末

 ジョルダンは9月10日、MaaS事業の展開について説明し、同社の経路検索サービス「乗換案内」で2020年春からバスの接近情報を提供すると発表した。

 MaaS(Mobility as a Service)は、二次交通やライドシェア、自動運転、チケッティングなど幅広いカテゴリーで使われることのある用語だが、今回同社が事業展開を明らかにした対象はバス。都心部ほど路線網が充実していない地方では、バスが日常の足や観光の要となっているが、ジョルダン 代表取締役社長の佐藤俊和氏は、「鉄道を一番身近にサポートするのがバスだと考えている。しかし、バスはいつ来るか分からない、バス停がどこにあるか分からないといった問題を抱えている」と話す。

ジョルダン株式会社 代表取締役社長 佐藤俊和氏
バスによる移動の問題を解決する

 そこで同社は全国に大小700以上(自治体のコミュニティバスなども含めるとさらに増える)存在するバス事業者と連携し、2002年から時刻表や停留所の位置座標、路線図などのデータ化・多言語化の取り組みを進めてきた。現在は2万8331系統、797社(自治体)のデータ化が完了しており、全国カバー率は90%になっている。

 そのうえで、2018年8月にはこうした地方に点在する公共交通データを収集して一括提供する「公共交通データHUBシステム(PTD-HS)」を発表。各事業者や一般ユーザーが自主的に作成・配布しているオープンデータをひとまとめにすることで、更新された時刻表データなどをワンストップで入手できるようにした。

 PTD-HSのデータフォーマットには、2017年4月に国土交通省が策定した「GTFS-JP(General Transit Feed Specification、標準的なバス情報フォーマット)」とリアルタイムの位置情報「GTFS-RT(Realtime)」を採用しており、前述のオープンデータをジョルダンがチェック・修正して「品質保証のあるGTFSデータ」「ジョルダン独自の内容を付加したGTFSデータ」として提供する。例えば、Googleマップの経路検索に提供されているのは、実はこうした「品質保証されたGTFSデータ」で、確実に経路検索に掲載されるためには品質保証のフェーズが欠かせないという。

PTD-HSについて説明したジョルダン株式会社 執行役員 研究開発部長 平井秀和氏
「公共交通データHUBシステム(PTD-HS)」で標準フォーマットのデータを提供する

 さらに執行役員 法人本部長の結川昌憲氏からは、バス事業者向けにすでに提供が始まっている「ジョルダンスタイル バスロケーションシステム」の説明があった。こちらも2018年から提供が始まっていたもので、自社開発した車載端末をバスに装着することで、端末のGPSによる位置情報や経路情報から運行状況を一括管理し、現在地の割り出しを行なえる。また、AIを採用することで、収集した過去データから停留所間の現在の所要時間や渋滞予測、遅延予測、そうした情報を加味した経路検索などを提供できるという。

 同社の経路検索サービス「乗換案内」では、2020年春からこのシステムに対応して、バスの接近情報の提供を始める。ただし、エンドユーザーが利用する際に有償になるのか無償提供になるのかは、まだ決まっていないとのこと。

 また、PTD-HSのデータは地図サービスなどを展開する事業者にも提供できるため、Googleマップやアップル(iOS)の地図、Yahoo!地図などでも経路検索結果にバスの接近情報を含めることが可能だという。実際、すでに各社からGTFS-RTの情報を求められているというが、2020年春の時点でこれらの地図サービスにも展開できるかは未定という。

ジョルダン株式会社 執行役員 法人本部長 結川昌憲氏
PTD-HSのデータを使うことで、2020年春からはジョルダンの乗換案内でもバスの接近情報を提供する