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ハワイアン航空、日本事業説明会。2020年の羽田新発着枠取得に向けて「ドリームライナー」を増強

2019年5月30日 開催

ハワイアン航空は都内で日本事業記者説明会を開催した

 ハワイアン航空は5月30日、日本における事業の現状とこれからの戦略について説明会を開催。グローバルセールス&アライアンス上席副社長のテオ・パナジオトゥリアス氏と、日本支社長の宍戸隆哉氏が登壇した。

 まず、ハワイアン航空の近況について、宍戸支社長が紹介した。順調に成長を続けている同社は国際線市場においてもシェアを拡大しており、とくに日本市場が重要なポジションになっている。そのため、2016年に日本における営業組織を再構築し、2018年にはホノルルの本社にあった国際事業の機能を日本に移転。さらに、国際事業担当である上席副社長のテオ・パナジオトゥリアス氏が日本に常駐することになり、意思決定が迅速になった。

 また、2017年9月26日にJAL(日本航空)と包括的業務提携契約に合意し、2018年3月25日から双方の日本~ハワイ路線でのコードシェア(共同運航)、ラウンジの相互使用などを開始しているが、これら国際事業部が日本に移転したことで、今後も展開していくJALとのパートナーシップにおいてかなり意味があるという。

ハワイアン航空 日本支社長 宍戸隆哉氏

ハワイアン航空にとって大変重要な日本市場

 次に上席副社長のテオ・パナジオトゥリアス氏が、現状と今後の展開について解説した。現在、ハワイアン航空の路線網は、ハワイ諸島と米国西海岸11都市・東海岸2都市(ニューヨーク、ボストン)を結び、米国以外の国際路線は日本や韓国、オーストラリアやニュージーランドなどを結ぶ10路線がある。

 そのうち日本とハワイを結ぶのは週31便で「9年前は1日1便の週7便だったのが、現在は31便になり、日本市場とともに私たちも成長しています」とパナジオトゥリアス氏は話し、ASM(有効座席マイル)全体の23%が日本市場であって同社の成長の礎であると強調した。現在、日本からの便は、羽田空港~ホノルル(ダニエル・K・イノウエ国際空港)、羽田~コナ(エリソン・オニヅカ・コナ国際空港)、成田国際空港~ホノルル、関西国際空港~ホノルル、新千歳空港(札幌)~ホノルルがある。

ハワイアン航空 グローバルセールス&アライアンス上席副社長 テオ・パナジオトゥリアス氏
2009年当時、ハワイアン航空の日本路線はなく、東南アジアはマニラのみ。2010年11月17日に羽田~ホノルル線が就航し、現在は日本とハワイの間を週31便が飛んでいる

 ここまで業績が拡大してきた理由としては、利用客を第一にした顧客サービスの提供が重要であるとのコンセプトから、搭乗してすぐにハワイを体験できるサービスやホスピタリティ、スケジュールとネットワークの構築があると説明。ユニークなサービスとしては、ハワイ語を話せるスタッフが乗った飛行機を飛ばしていることも紹介した。

 このように利用客の要望を的確に分析することで座席のレイアウトも設定している。エアバス A330型機(278席)の座席の24%にあたるプレミアムエコノミー「エクストラ・コンフォート」は、とくに日本人の利用客からのニーズを取り入れたものであり、対前年比で見ても販売数が倍以上の数字で伸びている。

 また、キャンセルで空席になったビジネスクラスシートをオークション形式で販売する「ビッド・アッププログラム」を新たに追加しており、こちらの利用率も増加していると話した。

 このような取り組みの成果が、日本~ハワイ間の提供座席数の増加率で1位、シェアにおいてもJALに続いて2位であることをアピールした。同社の国際線部門において日本が占める割合は56%になっている。

エアバス A330型機(278席)の座席レイアウト
エクストラ・コンフォートの売れ行きは非常に伸びている
ビッド・アッププログラムの利用も増加
座席数の増加率は他社を圧倒
シェアにおいても拡大基調にある
国際線で日本が占める割合は56%と非常に高い

今後はJALと提携強化し、羽田は2020年に1便を増やす

 今後の展開としては、11月に就航予定の福岡~ホノルル線、2020年に国際線枠が増枠される羽田への増便、JALとのさらなるサービス提携強化を紹介。福岡~ホノルル線は本誌でも既報のとおり(関連記事「ハワイアン航空、福岡~ホノルル直行便の11月就航を計画」)だが、デルタ航空が撤退したことにより新たなビジネスチャンスの到来と捉え、週4便の運航を予定している。

福岡~ホノルル線を11月に週4便で就航予定

 羽田空港の新発着枠については、米国運輸省に対して同社は3枠を申請していたが、仮承認されたのは1枠であったという。しかし、申請しているスケジュール(羽田空港到着17時半以前)が承認されれば、JAL運航路線を利用することで現在の1都市から西日本26都市への乗り継ぎが可能になり、利用客にとって非常に喜ばしいことであると解説した。

 このようなJALとの業務提携は同社にとっても非常に有用なものであるとし、初期段階においても効果は顕著に表われている。2018年3月末まで提携していたANA(全日本空輸)とのコードシェア利用と比較すると、収益は25~30倍、相互利用総数は8~10倍であることも紹介した。今後もJALとはサービスの提携を進めるにあたり、日本~ハワイ路線における独占禁止法の適用除外(ATI:Antitrust Immunity)を、2018年6月15日に日本とアメリカの当局である、国土交通省と米国運輸省、その他関係省庁に行なっている。2019年の第3四半期には判断が下される予定なので、承認されれば2020年2月より新たにサービスを開始する予定だ。

JALとの包括業務提携に含まれる主な内容

・JALのネットワークにおける36の日本国内都市とハワイを含む10の国際都市(政府からの承認が条件)路線の全便においてコードシェアを行なう
・1日に約160便運航されているハワイアン航空のハワイ州内諸島間のネットワークの一部においてコードシェアを行なう
・JALパック販売商品にハワイアン航空便が加わり、日本~ハワイ間のツアー旅行において選択肢が広がる
・セントレア(中部国際空港)~ホノルル線、新千歳~ホノルル線を含むコードシェア便の利用により、HawaiianMilesもしくはJALマイレージバンクのマイル付与(諸条件あり)

2020年に羽田~ホノルル線の発着枠が1つ増えることにより、さらなる業容の拡大を見込む
JALとの提携初期段階において数字が伸長
JALとの提携強化に向けたスケジュール

続々と新型機を導入予定であり、日本を意識し787-9型機を10機発注

 ハワイアン航空は現在、63機を保有している。内訳はハワイ州内で利用する機体が、ボーイング 717-200型機が20機、ATR 42型機が4機、ATR 72型機(貨物用)が3機の27機。国際線および米国本土の路線に投入している機体が、エアバス A330-200型機が24機、A321-200neo型機が12機の36機となっている。

 今後導入を予定している機体については、2020年末までにはエアバス A321neo型機を18機、2021年末までにはボーイング 787-9型機を10機加える考えであると述べた。

 とくに787-9型機は日本路線を意識したものであり「さらに羽田の発着枠を得たいと思っていますので、そうした背景のなかで重要な役割を果たす飛行機だと考えています。まさしく、日本の皆さまのために発注した機体であります」とパナジオトゥリアス氏は話し、エコノミークラスは従来にない快適さとすぐにハワイを体感できるものにし、ビジネスクラスでは2シートを利用してツインベッドにすることを考えていると紹介した。

ボーイング 787-9型機を10機発注しており、2021年末までに導入する予定
新たに開発を進めている787-9型機のシートのプロトタイプ