ニュース

JR西日本、新型車両「227系1000番台」を公開。ICカードが使える車内収受対応ワンマン機器を装備

2018年9月8日 公開

JR西日本が公開した227系1000番台車両。モダンなグリーンを基調としたステンレスボディ

 JR西日本(西日本旅客鉄道)は9月8日、吹田総合車両所(大阪府吹田市)にて、新型車両の「227系1000番台」を公開した。

 227系1000番台は、和歌山線と桜井線、紀勢本線の一部を走る105系と117系を置き換える形で導入される。105系と117系はいずれも国鉄時代に導入された車両。今回導入される車両数は2両編成が28本で56両。2019年春から順次投入し、2020年春に全車両の置き換えを完了する予定としている。

 全車両の置き換え完了後には、搭載している「車載型IC改札機」を使用ができるようになる。なお227系は、すでに2015年3月に広島地区で導入されているが、近畿地区では初めて登場される。

進入してくる227系1000番台車両

 車体は、これまでの近畿エリア車両を継承しつつ、グリーンを基調にしたデザインとなっていて、このグリーンは走行する奈良、和歌山エリアに共通する文化、歴史、自然の奥深さを表現するもの。ベースはステンレス構体でグリーンのラインが映える。両端にある先頭車間転落防止ホロが目立ち、ここにもグリーンが配色されている。

 行先表示板は、カラーLEDの「セレクトカラー表示器」で、文字以外にアイコンを表示させることもできる。デモンストレーションでは、シカや犬、パンダのアイコンが表示されていた。前照灯、尾灯ともにLEDを採用している。

2両編成
停車したところ
近景
横から
正面から
前照灯と尾灯の両方を点灯
前照灯と尾灯ともにLEDライト
先頭車間転落防止ホロ。ホームからの人の転倒を防ぐ
連結部。下部は電気用の接点。連結すると左の棒が押されカバーが開き内部接点がつながる
1号車を横から見たところ
2号車を横から見たところ
先頭部分
連結部分。窓のない部分は多機能トイレがある
ドア部分
3つドアの中央以外には降車や乗車などの情報表示パネルがある
ドア外側の半自動押ボタン
パンタグラフ。シングルアーム型
第2パンタグラフ。霜害対策に一部車両にのみ装備
車両下の制御装置。主回路は0.5M方式。最高速度110km/h
軽量ボルスタレス台車
ドア誤扱い防止の超音波センサー。ホームと反対側のドア開扉を防止
行先表示板の各種パターン。文字以外にアイコンを表示させることもできる

 シートは、ドア間10席(3+4+3)のロングシートを採用している。車端部シートは4席。優先席は車端部ではなく、ロングシートの3席分を使っている。ロングシートの1人あたりの座席幅は470mm(車端部は440mm)と余裕のある作りで、クッション裏がSバネ構造になっていてクッション性が高い。

 客室内照明は、LEDの間接照明を採用していて、直接光にプラスして柔らかな光が回る仕組みになっている。貫通扉のレバーは、225系2次車から採用された軽い力で開閉ができる「アシストレバー」付き。ほか、多機能トイレと車いす、ベビーカースペースが1か所用意されている。

 車内収受対応ワンマン機器が装備されていて、運転台後方に現金収受のできる「車載型IC改札機」が、各ドアには乗車時にICカードをタッチする「IC車載機」を備える。運転台後方の乗車用IC車載機の横には、現金での利用者向けに整理券発行機もある。

 安全対策などとして、車両異常挙動検知装置や先頭車間転落防止ホロ、戸挟み検知装置、運転士異常時列車停止装置(EB-N装置)、掴まりやすい形状でオレンジ色の吊手と手スリの採用、客室状況確認カメラなどを備えている。客室状況確認カメラは、各車両に運転台後方と中間の2台で計4台あるが、録画は行なわず運転士が車内状況を見るためだけに使われるとのこと。

車内
乗車用のIC車載機と整理券発券機を備える
ドア付近
ドア上の情報表示装置。各ドアに付く
車内側の半自動押ボタン
吊手はオレンジ色
網棚はパイプ状
LED間接照明の客室内照明
直管型LED
掴まりやすい形状の手スリ
ロングシートは3+4+3の10人掛け
ロングシート3人掛けの部分
クッション性が高く座りやすい
優先席はロングシート側になっている
優先席シートの分かりやすいデザイン
車端部は4席
貫通扉のレバーは、軽い力で開閉ができる「アシストレバー」付き
車両製作は川崎重工業
多機能トイレと対面に車いす、ベビーカースペース
多機能トイレ内部
洗面台周り
車いす、ベビーカースペースを中心に要所にマイク付きSOSボタンがある
運転台後部の表示パネルと客室状況確認カメラ
客室状況確認カメラは録画していない
客室中間にある客室状況確認カメラ
はしごの設置はされていないかったが、避難用の伸縮はしごが設置される
車番表示
運転台後方に設置された現金収受可能な車載型IC改札機。通常この位置で使う
通路として通る場合、運転席側に向けて稼動できる
車載型IC改札機の運転席側
乗車用のIC車載機
乗車用のIC車載機と整理券発券機が並ぶのは運転席の後ろのドアのみ
運転台の後ろには降車用のIC車載機がある
運転台後方部分
運転台
EB-Nマスコンと液晶モニタの運転計器盤
右側のモニタ類。上部に客室状況確認カメラ用のモニタ
客室状況確認カメラ用のモニタ
運転台後方にはカーテンがある
運転台がオフセットしているが、このままドアで遮蔽して貫通させることもできる