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JR西日本、金沢総合車両所を一般公開。521系の吊り上げとトラバーサー移動など実施
106年間の歴史がある在来線車両基地
2016年8月26日 14:45
- 2016年8月21日 一般公開
JR西日本(西日本旅客鉄道)は8月21日、北陸本線の松任駅の北側に位置する金沢総合車両所(石川県白山市)の一般公開を10時から15時まで実施した。車体クレーン移動実演やトラバーサー移動実演では521系電車を移動させるなど整備の様子を一部再現した。
公開に先立って行なわれた開会式では金沢総合車両所 所長の平出好宏氏が、1910年の金沢工場からスタートして以来106年の歴史があることや、在来線車両を扱う金沢総合車両所ではあるが、北陸新幹線開通後は移行した第三セクターの車両も引き続きメンテナンスをしていることを紹介「金沢総合車両所で、ゆっくり、我々の仕事を見ていただたい」と挨拶した。
続いて来賓の白山市長の山田憲昭氏は「文化遺産的要素も備えた、金沢総合車両所を、ゆっくりと楽しんでいただきたい」と述べ、同じ市内にある新幹線の車両基地である白山総合車両センターが一般公開を開始したことにも触れて「新旧合わせて楽しんでいただければと思う」と挨拶した。
一般公開のテープカットは、白山市長の山田憲昭氏、地元から松任地区町会副会長 車古邦夫氏、来場者を代表して親子連れ2組、JR西日本 執行役員金沢支社長の児島邦昌氏が行ない、一般公開がスタートした。
車体クレーン移動実演
一般公開のメインイベントとされるのが、車体のクレーン移動。今回は北陸本線で運行されている521系電車を使って行なわれた。車両所の建物と一体化した2機のクレーンを使い、車体を吊り上げ、仮台車へ載せ替えるという一連の作業を再現した。
大きな車体が来場者の目の前で浮かび上がり、移動するという動きに来場者から驚きの声があがった。
実演では元の台車(こちらも今回は仮台車)に戻されたが、本来の整備であれば、仮台車に載せて場内の線路を並行移動させる「トラバーサー」まで移動させて、その次の整備行程へと進められる。トラバーサーで移動後、必要な作業スペースに移動させる。
トラバーサーの実演では、平行移動のほか、線路とのスロープの上げ下げなど、細かい動作も実演、場内を移動させるための、連結器が取り付けられたフォークリフト機も展示された。
工場内公開
クレーン実演以外にも、工場内ではさまざまな展示が行なわれた。とくに安全を維持する車軸や車輪に関するものが充実、超音波で傷や亀裂を検査する様子なども詳しく展示された。
また、サスペンションのスプリング、整備中の台車、ディーゼル機関車のエンジンや変速機、電車のモーターなども展示された。
線路の保守なども展示
金沢総合車両所は車両の整備工場であるが、この日は線路や架線の保守装置や車両も展示。線路も道路も走行できる軌陸車を展示したほか、橋梁の枕木を交換するよう特殊な装備が取り付けられたショベルカーの枕木交換の実演なども実際された。
運転台見学など
特急用の681系が展示され、運転台見学や車掌体験に使われた。一般公開の入場には事前予約などは不要だが、このイベントだけは事前申し込みをして当選した人だけ参加できる。
運転台見学では、本物の運転台に座ることができたほか、車掌体験では実際に車内放送設備を使ってアナウンス。展示された3両編成の681系は、運転席に未来の運転士が座り、車内には未来の車掌のかわいいアナウンスが響いていた。
そのほかの展示
そのほか、除雪車の展示や、金沢総合車両所で整備を受け持つIRいしかわ鉄道の521系、電気機関車などを展示。除雪車も複数あり、最新のキヤ143形や従来ながらのラッセル車も間近に見ることができた。一般公開は暑い夏だが、ここは北陸の雪国であることを感じられる。