【イベントレポート】ツーリズムEXPOジャパン2015
第1回ジャパン・ツーリズム・アワード大賞を香川県の瀬戸内国際芸術祭実行委員会が受賞
各部門の優秀賞、部門賞の表彰式を9月24日に実施
(2015/9/24 22:02)
- 2015年9月24日 実施
ツーリズムEXPOジャパン組織委員会は9月24日、「第1回ジャパン・ツーリズム・アワード表彰式」を開催。国内、訪日、海外、国際の各分野に4部門を設け、各部門の優れた取り組みを表彰した。
計8各部門の優れた取り組みを部門賞として表彰するとともに、もっとも優れた取り組みを部門優秀賞として表彰。さらに、8社/団体が受賞した各部門優秀賞のなかから、「第1回ジャパン・ツーリズム・アワード大賞」を決定。第1回の大賞は、香川県の瀬戸内国際芸術祭実行委員会の「瀬戸内国際芸術祭の開催による地域再生の取組」が受賞した。
このジャパン・ツーリズム・アワードは、ツーリズムEXPOジャパン2015とのシナジー効果により、国内外の団体、組織、企業の持続可能な優れた取り組みを表彰することで、ツーリズム業界の発展、拡大に寄与することを目的に設立された。観光が日本の成長戦略に位置付けられるなか、国内外の人々の交流拡大が期待されており、同アワードが経済成長にも大きな役割を果たすものとしている。
表彰式の冒頭で挨拶した、ツーリズムEXPOジャパン組織委員会 委員長で日本観光振興協会会長の山口範雄氏は、「国内、訪日、海外、国際の領域に分け、幅広い取り組みが応募できる仕組みにした。この賞を通じて、国内外の観光の力を発信するとともに、国民の皆様に観光への理解と認識を深めていただこうと思っている」と同アワードの方向性を紹介。
続けて、「事業開始からから2カ月という期間だったが、133件の応募があり、それぞれの案件が非常に充実した、ツーリズム振興に対する熱意がこもっており、観光への強い関心があるという現われだったと思っている。表彰する取り組みには一般的に広く知られているものあり、あるいは関係者が地域の魅力を発掘して地道に取り組んだ事例もある。私ども主催者としては、ツーリズムEXPOの場で広く周知することで、関心をたかめるとともに、国策である地域の創生、企業の取り組みに光を当てて行きたいと思っている」と述べた。
そして、「今回応募できなかった企業や団体の皆様、また受賞された企業や団体の皆様も、さらに磨きをかけて、2度、3度と応募ができるので、ぜひその方向で検討いただければと思う。審査委員会でもポイントとなったが、観光は持続性というのが極めて重要」と、観光振興に対する引き続きの取り組み強化に期待した。
続いて、来賓として挨拶した国土交通省 観光庁 観光地域振興部長の吉田雅彦氏は「現在の日本の観光状況は大変好調。政府においても観光振興の重要性は急速に高まっている」とする一方で、「好調なインバウンドの効果を日本全国に波及させること、減少傾向にある日本人による国内旅行の活性化が今後の課題として顕在化しつつある。地方創生の観点からも対応が求められている」との課題を指摘。地方公共団体や旅行業者だけでなく、観光に関連するすべての産業の取り組み強化が必要であるとし、観光庁としても観光立国実現に向けて取り組む意向を示した。
また、「受賞者の取り組みを評価し、その栄誉を称えるだけでなく、先進事例を全国に波及させることにより、観光マーケット拡大に繋がるもの。ツーリズムEXPOジャパンと連携して実施することで、その認知度向上に尽力するものと承知している」と同賞の意義を評価した。
このほか、国際領域の部門賞として、国連世界観光機関(UNWTO)部門賞も用意。世界観光倫理憲章を日本の政府、観光産業界、地域社会に広め、観光憲章に沿った活動を通じて責任ある観光産業の発展を目指すという趣旨の部門賞となる。評価過程では、観光憲章を遵守し、憲章の趣旨に沿って優れた取り組みを実践し、新しい価値を生み出している企業、団体を選出する。表彰式には、ツーリズムEXPOジャパンの開会式でも基調講演を行なう、世界観光倫理委員会のパスカル・ラミー議長も顔を見せ、UNWTO理事・アジア太平洋地域部長のスー・ジン氏が同賞創設の祝辞を述べた。
前述のとおり、大賞は香川県の瀬戸内国際芸術祭実行委員会が受賞。香川県知事 浜田恵造氏は部門優秀賞の挨拶で、「瀬戸内海の島々で実施しているが、ひとえに島のおじいちゃん、おばあちゃんを始めとする地域の皆様、参加していただいた国内外のアーティスト、ボランティアで参加していただいた多くの方、プロデューサー、ディレクターなど関係者の尽力の賜物と思っている。昨年来、日本全体で人口減少問題、また、地方創生を国、地方あげて行なわれているが、瀬戸内国際芸術祭、2010年の第1回の開催以来、海の復権を旗印に地域再生に取り組んできた。その取り組みによって、国内外からお見えいただいているお客様、地域住民、関係者が一体となって、一種の科学反応を起こして地域の賑わいを取り戻しつつある。これからも続けていく。来年(2016年)が第3回となるので、受賞をきっかけに準備を整え、また皆様に楽しんでいただけるよう、ツーリズムの振興にも資するよう全力を尽くしたい」と述べた。
また、大賞受賞時には、「驚きと感激で言葉もないが、大変光栄に感じるとともに、責任も感じている。芸術祭の第3回も2016年3月から。第3回はアートに加えて、“食”と“国際的な繋がり”という2つを重点に取り組んでいる。観光庁からも広域観光ルートに瀬戸内地域の海の道が認定されているが、こういったことも励みにして、今日の大賞をありがたく思う。さらに商品を増やして、ツーリズムの振興、インバウンド2000万人達成のために取り組みたい。幸いマザーポートとなる高松空港は上海、台北との定期便もある。成田とも繋がっている。そうしたアクセスを活かしながら、国の内外から多くのお客様をお迎えして、地域再生と観光振興にさらに取り組んでいくので、引き続きのご協力、ご支援をお願いしたい」と挨拶した。
第1回ジャパン・ツーリズム・アワードの受賞者
以下に、第1回ジャパン・ツーリズム・アワードの受賞者一覧を掲載する。◎は部門優秀賞、ほかは部門賞となる。
国際領域 - UNWTO部門賞
- ◎ジェイティービー
- 日本の旅行業界のリーディング企業として、観光産業の健全な発展に寄与することを使命に掲げ、自然環境の保護、文化遺産の価値向上、受け入れ国や地域社会の発展に自発的に取り組んでいる。これらは「The JTB Way」の理念のもと、適切な企業統治をもって着実に実行されており、日本のみならず世界の観光産業の範となる。
国内・訪日領域 - 地域マネジメント部門
- ◎瀬戸内国際芸術祭実行委員会
- 瀬戸内国際芸術祭の開催による地域再生の取り組み。地域固有のコンテンツを通じた広域連携への可能性と地域活性化への挑戦を高く評価された。
- ・高山市
- 国際観光都市「飛騨高山」を目指しての長年にわたる取り組み。インバウンド拡大を目指す地方都市のモデルとなっている。
- ・スタービレッジ阿智誘客促進会議
- 行政・商工会・観光協会・民間事業者・住民が一体となって地域の宝“満天の星空”を活かした継続的な地域活性化への取り組みを評価。
- ・ジャパンショッピングツーリズム協会
- 「官民連携したショッピングツーリズムを契機とした訪日旅行の推進と外国人旅行者買物消費額拡大への取り組み」 。連日マスコミをにぎわすほどの経済効果を評価。
- ・上山市温泉クアオルト
- かみのやま クアオルト(健康保養地)ツーリズム。長期滞在につながるヘルスツーリズムの実践例として評価。
国内・訪日領域 - ツーリズム事業部門
- ◎ジェイティービー旅行事業本部
- JTBオリジナルイベント「杜の賑い」。国内各地固有の文化・伝統を地域と住民が協力して35年間で累計30万人のお客様を集客。国内外の人々の交流と地域活性化を実現。
- ・エコロの森
- 富山の自然、歴史、文化を伝える質の高い着地型エコツアーを企画実施。富山の魅力を発信しファンづくりに力を入れている。
- ・阿蘇温泉観光旅館協同組合
- 阿蘇カルデラツアー、日帰り通過型観光から宿泊滞在型観光へ向けて、阿蘇が持つ自然の強みを商品化。
国内・訪日領域 - 観光関連産業部門
- ◎JR東日本(東日本旅客鉄道)
- 東北6県でのデスティネーションキャンペーン実施および「行くぜ、東北」キャンペーン実施による東北地方への継続的な送客による復興支援。
- ・プリンセスクルーズ
- 外国籍大型客船による初めての日本発着クルーズ定期運航により、日本におけるクルーズマーケットの拡大と地域活性化に貢献。
- ・ユー・エス・ジェイ
- ユニバーサル・スタジオ・ジャパンにおける積極的なアトラクションの導入で国内外からの集客拡大を実現。
国内・訪日領域 - プロモーション部門
- ◎熊本県商工観光労働部観光経済交流局くまもとブランド推進課
- 「くまモン」を活用した熊本県プロモーション。ロイヤリティフリーで飛躍的に認知度を向上。観光だけでなく県産品の販路拡大に貢献。
- ・地域活性化支援センター
- 少子化対策と地域活性化への貢献を目的とした「恋人の聖地プロジェクト」を全国210カ所で展開。
海外領域 - 地域マネジメント部門
- ◎広島県教育委員会
- 異文化間協働活動推進事業~高校生海外留学1万人プロジェクト~。県立97校すべてが海外と姉妹校提携。若者の異文化交流に貢献。
- ・シアトル・ワシントン州観光事務所
- シアトルのスポーツと食をテーマにプロモーションを展開。日本市場におけるMICEをはじめとする新規需要を創造した。
海外領域 - ツーリズム事業部門
- ◎ワールド航空サービス
- 大相撲などで日本人になじみの深いモンゴルの新しい魅力を商品化し、観光交流の拡大に貢献。
- ・エイチ・アイ・エス
- インターネットでは知ることのできない魅力を現地ガイドと体験する新しいコンセプト商品「道草旅」を展開。
- ・JTBワールドバケーション
- 「絶景」をキーワードに新しい旅のコンテンツとした商品の提案。初年度1600名の販売実績を実現。
海外領域 - 観光関連産業部門
- ◎韓国観光公社
- 日韓国交正常化50周年を契機として双方向交流700万人を目指した「韓日観光交流拡大シンポジウム」の実施で、両国の交流拡大を推進した。
- ・春秋航空
- LCCによる日中間の地方都市の航空ネットワーク拡充(日本8都市、中国11都市)で、需要喚起と地域活性化に貢献。