【イベントレポート】

空旅の体験向上を目指す展示会「APEX EXPO 2016」、シンガポールのマリーナ・ベイ・サンズで開幕

会期初日にGoogleが講演

2016年10月24日~27日(現地時間)開催

アジア初開催となる「APEX EXPO 2016」

 航空機内での乗客の体験向上を目指して航空機器製造企業などが結成している業界団体「APEX(Airline Passenger Experience Association)」による展示会「APEX EXPO 2016」がシンガポールのマリーナ・ベイ・サンズ・エキスポ&コンベンションセンターで開催されている。会期は10月24日~27日(現地時間)。

 飛行機の旅における体験向上につながる機器やサービスの展示会で、これまでは米国内で開かれるのが通例だったが、2016年は初めてアジアでの開催となった。

 併せて、航空機内設備の展示会「AIX Asia 2016(Aircraft Interiors Expo Asia 2016)」、航空会社や空港のための最新機器、サービスを展示する「FTE Asia 2016(Future Travel Experience Asia EXPO 2016)」も開催。AIX Asia 2016の会期は10月25日~27日、FTE Asia 2016の会期は10月25日~26日。

 イベントの方向性こそやや異なるものの、いずれも空の旅を快適にする最新機器や将来のコンセプトが示されるイベントだ。この3つのイベントでの展示の模様などは追って紹介する。

AIX Asia 2016、FTE Asia 2016も併催
会場となるマリーナ・ベイ・サンズ・エキスポ&コンベンションセンター。1階のホールA~CをAPEX EXPO、地下2階のホールD~FでAIX Asia、FTE Asiaが行なわれている
シンガポール観光の話題では欠かせないと言っても過言ではない存在となっているマリーナ・ベイ・サンズ。同ホテルのショップ/レストラン棟に隣接してエキスポ&コンベンションセンターが立地する

“モバイルオンリー”時代をGoogleが語る

Google Partner Development ManagerのMax Coppin氏

 APEX EXPO会期初日の24日は多数のカンファレンスが用意され、最新の航空旅行体験が紹介された。そのなかで、米GoogleはPartner Development ManagerのMax Coppin氏が、現在の旅行者の姿を語った。

 Coppin氏はまず、Googleがフライトの前、フライト中、フライト後のすべてに適応できるサービスを提供していると前置きしたうえで、旅行の今と昔の姿を表現したビデオを上映。このなかで、「世界は変わっている」のではなく「変わった」と強調。

 その一例として、現在の旅行者は常にオンラインの状態で、そこから新たな発見をし、旅行につながると指摘。実際に旅行先の参考として利用される情報ソースのアンケートでは、SNSの動画や写真を参考にするとした人が80%でトップになり、さらにその内訳でもYouTubeを参考にする人が42%と飛躍的に伸びているとした。

Googleが上映した旅の今と昔を比較したビデオ
現在の旅行者はインターネット、つまりオンラインの情報を元に旅行先を決めており、なかでもSNS、YouTubeの情報を重視する結果が出ているという

 加えて、「1500」という数字を提示し、これは人々が1週間にスマートデバイスを見る回数であると紹介。旅行に関する売り上げもモバイルデバイスからによるものが大幅に増えてきており、「モバイルファースト(Webサービスなどでモバイル向けを先、もしくはPC向けと同時に提供を開始すること)から、モバイルオンリーの時代が急速に来ている」と語った。

 こうした状況に対して、Googleでは、従来から旅のツールとして使われている「Google Maps」のみならず、「Google Flights」「Google Trips」といったサービスを提供していることを紹介。“より安く飛行機に乗ることができる情報”“旅先での行き先”などを探し出せるサービスとして進化させている。

 さらに、2015年にインターネットへ接続されたデバイスが世界中で49億台に上ったことに触れた。これはIoTや時計型デバイスなどの普及もあるとし、今後は空港、機内などでさらに用途が広がり、スマートフォンだけでなく、さまざまなデバイスを使ってイノベーションを起こしていくことが業界に求められていると呼びかけた。

航空券の最安のタイミングを予測する機能を備えたGoogle Flights
旅行地での行き先提案などもしてくれるGoogle Trips
IoTデバイスなどの登場で2015年にインターネットに接続されたデバイスは49億台に達した
空港、機内などでインターネットに接続して旅行体験を変えるサービス。今後さらに用途が拡大していく