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KDDI、「瀬戸内国際芸術祭 2016」会場で多言語音声翻訳システムを活用
訪日外国人観光客向けに約30言語の観光案内に対応
(2016/3/22 19:50)
- 2016年3月20日 発表
au(KDDI)は、香川県高松市で記者会見を開催し、訪日外国人観光客に対する取り組みの一環として、3月20日から開催されている「瀬戸内国際芸術祭 2016」(瀬戸芸)の会場において、多言語音声翻訳システム利用した翻訳サービスを活用し、訪日外国人観光客への多言語による観光案内を実施すると発表した。
利用される多言語音声翻訳システムは、国立研究開発法人情報通信研究機構が開発した翻訳アプリ「VoiceTra」を搭載したスマートフォンで、英語、中国語、韓国語など約30言語の翻訳に対応。そして、このスマートフォンを瀬戸芸の案内スタッフが利用することで、従来より課題となっていた案内員と訪日外国人観光客の言語の壁を取り払い、相互理解を図り、瀬戸芸の魅力や瀬戸内地域の観光スポット、文化、食などの魅力を伝えることで、瀬戸芸や瀬戸内地域の活性化を目指すとしている。
発表会では、冒頭にKDDI四国総支社 管理部 部長の辻美紀氏から、香川県 文化芸術局 次長の窪保彦氏に、多言語音声翻訳システムを搭載するスマートフォンが贈呈された。
その後、窪氏は「本日(3月20日)開幕した瀬戸内国際芸術祭は、多方面から注目していただいておりまして、海外からのお客さまもたくさん来ていただけるのではないかと思っております。そういったなか、外国人の方々にきちんと情報をお伝えするのは責務なのですが、(多言語音声翻訳システムを)ありがたく活用させていただけると思っております。瀬戸内国際芸術祭は、特にアジアを中心として関心を呼んでおりまして、今回も沢山の国の方がお見えになると思います。そういった方々にとりましても、ストレスなくアートを楽しみ、香川を楽しんでいただける大きなきっかけになると思っています」と挨拶した。
続いて、KDDIの辻氏より、今回の取り組みに関しての説明が行なわれた。訪日外国人数はここ数年大きな伸びを示しているが、特に地方を訪れる訪日外国人観光客数の増加が顕著になってきているという。実際に、2015年の外国人宿泊者数は、国内三大都市圏では前年と比べて41%の伸びだったのに対し、地方は59.9%と、大きく上回っている。四国エリアも同様で、ここ4年間は毎年外国人観光客数が最高値を更新し、2015年は2013年に対して2倍強に増えている。
ただ、日本全国を訪れる外国人観光客数と比べると、四国エリアは全体の1%未満とまだまだ少ないのが現状だ。辻氏は「四国には外国人から人気が高い観光コンテンツがありますし、海外からの就航便の増加や四国に向けた高速バスの拡充などもあって、海外からのアクセスの利便性も高まっていますので、今後さらなる伸びが期待されます」と指摘しつつ、3月20日から開催となった瀬戸芸が、四国エリアの外国人観光客数増加のカギになると考え、瀬戸芸および四国全体の外国人観光客の増加にKDDIが寄与すべく、多言語音声翻訳システムを提供することになったと説明した。
今回KDDIから提供された、多言語音声翻訳システムを搭載するスマートフォンは10台で、瀬戸芸の展示エリアのうち、高松港、宇野港、直島、豊島、小豆島・土庄港の5カ所の案内所で利用されるという。それぞれの案内所に2台ずつ割り当てられ、案内員が携帯し、外国人観光客との意思疎通に活用される。
この多言語音声翻訳システムは、会話時の音声データをサーバーに転送し、サーバー側で音声認識と翻訳、音声合成がなされ、結果をスマートフォンに転送、翻訳された文章の表示と音声合成された翻訳音声の再生が行なわれる。軽快な翻訳には高速なデータ通信が不可欠となるが、瀬戸芸の展示エリアはほとんどがLTE通信網のエリアに含まれるため、快適に利用できると辻氏は説明する。
その後、高松港の展示エリア周辺で実際に多言語音声翻訳システム搭載スマートフォンを利用した翻訳のデモが行なわれた。案内員と外国人観光客双方がスマートフォンに向かって話をすると、話した内容が翻訳される。しゃべってから翻訳された音声が再生されるまで数秒間は待たされるが、翻訳の精度はかなり高く、意思疎通も問題なくできていた。
最後に辻氏は、「今回の多言語音声翻訳システムを活用し、訪日外国人観光客との言葉の壁を取り払い、瀬戸芸を盛り上げていきたい」と、KDDIとして協力を惜しまない姿勢を示し、会見を締めくくった。