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日本の駅弁の魅力を海外に発信する「日本の食文化『EKIBEN(駅弁)』とご飯の魅力」
100種類の駅弁を海外メディアに紹介
(2016/1/15 17:24)
- 2016年1月14日 開催
米穀安定供給確保支援機構は1月14日、海外メディア向けの記者説明会「日本の食文化『EKIBEN(駅弁)』とご飯の魅力」を開催。会場には国内外のメディアが集まり、日本独自の文化である“EKIBEN”の歴史や魅力についての講演と、100種類に及ぶ駅弁の展示と試食、そして日本最古の駅弁である“おにぎり弁当”作り体験などが行われた。
説明会は、訪日外国人観光客が拡大するなかで、駅弁を通して和食などの伝統的な食文化とご飯の魅力を海外への発信することが目的。旅行先で手軽に郷土料理が味わえ、冷めてもおいしく食べられる工夫や、さまざまなご飯の食べ方など、こだわりの駅弁100種が会場に集合。参加した記者らは、好みに合わせて1つずつ駅弁が提供され、駅弁を味わいながら講演を聞くスタイルで記者会見は進められた。用意された駅弁は東京駅の駅弁屋「祭」で購入が可能もの。白米はもちろん、おこわやチャーハンなどお米の調理による食べ方の違いが楽しめる製品をラインアップ。容器の造詣が凝ったカニ型の「山陰鳥取かにめし」や、新幹線の形をした「E5系はやぶさ弁当」などが外国人旅行客には人気とのことで、実際にパッケージの見た目が華やかな製品を手に取る記者が多かった。
記者会見の冒頭で、主催者の米穀安定供給確保支援機構の理事長 木村良氏が登壇。松尾芭蕉の「奥の細道」の序文を例に「日本人は古来から旅をし、地方の名産や雰囲気、交流を楽しむ文化があった。そのなかで交通機関の発達とともに列車内で味わえる各地の産物を活かした駅弁が生まれ、進化した」と説明。「3000年の栽培の歴史があり、2013年に日本人の伝統的な食文化としてユネスコ無形文化遺産に登録された“和食”の根幹である米、ご飯の魅力を駅弁を通して海外へ発信してほしい」と挨拶。
続いて、「おにぎりは日本人のソウルフード~駅弁は地方の顔~」と題して、伝承料理研究家の奥村彪生氏が公演を行った。まずは、携帯食としての“にぎりめし”と花見などの弁当にまつわる習慣を説明。「駅弁誕生は1885年と言われており、旅に持参した竹の皮で包んだ“にぎりめし”が進化したもの。日本人にとって今も昔も旅の楽しさは風景、人情だけではなく、その土地の弁当を味わうこと。旅の移動時間は減っても昔からの楽しみはそのまま受け継ぎ駅弁となっている」と話した。
また、米のルーツにも言及し、「現在日本人が食べている品種・温帯ジャポニカ米は冷めてもおいしく、握れるのが特徴、合わせるおかずも油脂が少なく冷めても味わい深いため弁当が発達した」と述べた。公演の途中には「とにかく食べましょう!お腹空きましたね!」と呼びかけ、記者たちに食事を促すユニークな一幕も。
なお、駅弁は「海に囲まれた島国であったこと、海流やアジアモンスーン、地形が変化に富んでいるなどの影響で、各地で収穫される産物が異なるため発達した」と語り、「皆さん方もどうぞ北海道から沖縄から旅をしながら日本の文化と味を楽しみ発信してほしい」と締めた。
次に駅弁を販売する事業者としてNRE大増の商品開発部長・白木克彦氏が登壇。日本で駅弁の各種開発などを手掛けてきた同社の海外への取り組みを「海外における駅弁販売とチャレンジ」として講演した。シンガポール、台湾での販売を例に、日本での販売との違いを説明。シンガポールでは“伊達巻”を“卵焼き”にしたり、冷たいご飯が好まれないことを考慮し寿司飯にするなどの変更を行ったという。また台湾では冷たいご飯に抵抗があるため、おにぎりにし手軽に日本の米を食べてもらえるようにしたという。
同社の海外での駅弁販売の目的は“日本独自の食文化・旅文化である駅弁に込めたこだわりや楽しさを伝えたい”としており、古来からの旅のお供として進化した駅弁をもっと多くの人に知ってほしいとの意義から行っている。
また、今回の講演では現在の駅弁についても言及。“幕の内弁当”“海鮮弁当”“肉弁当”の3つが主流で、1つの容器に日本の四季の食材詰め込まれたもの、地元特産の魚介類をふんだんに使用したもの、地域特産の肉を土地独特の味付けをし提供するものがあり、それぞれの魅力を含んでいるとも語った。
記者会見の最後には、「日本最初の駅弁“おにぎり弁当”作りの体験・試食」として“おにぎり”の調理実習も行われた。冒頭で公演を行なった奥村氏が実演を交えて記者たちに手ほどき。おいしく作るコツは両手の握るタイミングを合わせることとして、ふんわり握る技を伝授。伝統的な竹の皮に出来上がったおにぎり2個を包み、英語新聞風の包装紙でラッピングを施し手持ちができる方法を紹介。実習では、東京スタイルのおにぎりを製作、東北は円盤、京都は卵型など地方によって握る形が異なることも伝えた。