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阪神電鉄の新型通勤電車「5700系」試乗会

細部までこだわって作られたインテリアを写真で紹介

阪神電鉄の新型普通用車両「5700系」の試乗会が7月26日に行なわれた

 阪神電鉄は7月26日、新型普通用車両「5700系」の一般向け試乗会を開催した。この試乗会は6月9日から7月12日まで同社Webサイトなどで募集を受け付けており、150名の募集枠に対して応募はなんと約1万2000名。当選倍率は約80倍と、まさにプラチナチケットとなった。

「5700系」は、2015年8月下旬頃から営業運転に導入される車両。2015年度は4両1編成が導入され、最終的には13編成が製造される。

 試乗会用の特別列車は9時27分に梅田駅1番線を発車、途中営業車両の退避などを行ないつつ甲子園駅に9時57分着。降車専用ホームを利用して子供向けのクイズ大会や制帽を被っての記念撮影、グッズ販売などのイベントを実施。10時47分に甲子園駅を発車し、11時3分に目的地となる石屋川車庫に到着。日本初の高架式車庫として知られる同車庫にはジェットカー「5001形」、阪神タイガース80周年を記念したラッピングカー9000系「イエローマジックトレイン」なども留置されており、多くの参加者が記念撮影を行なっていた。帰路は11時56分に石屋川車庫を発車し12時45分に梅田駅に到着、解散となった。

 今回の試乗会は夏休み中ということもあってファミリーでの参加者が多く、子供にとっては乗車時間が長めのスケジュールだったが、途中駅や車中でのイベントが盛りだくさんで飽きずに楽しめていた様子。同社では今回のような途中駅や車中でのイベントは初の試みといい、参加者からのアンケートを元に今後の方針を決めるとしている。

この日のために用意したというウェルカムボード
入線直前。事前に時刻が予告されていたためかホームには多くのファンが詰めかけた
1番線にゆっくりと入線してくる5700系。梅田側が車両番号「5701」
種別表示は「貸切」
神戸側の先頭車両が車両番号「5702」
車内のADスペースにはさまざまなミニ情報が表示されていた
愛称「ジェットシルバー5700」を発表
途中甲子園駅で50分間停車
タイガースシャツを着た駅員さんがお出迎え
ホームでは各種グッズを販売
5700系グッズも用意されていた
タオルやTシャツ、キャップなども人気だった
ドア開閉ボタンを利用して子供向けの3択クイズ大会を実施
クイズに正解すると飴やマップが貰えた
発射時にもお見送りが
目的地の石屋川車庫
すぐ横の本線を営業列車が通過していく
停車したのは洗車機のある電留線
参加者は車庫を歩いたり記念写真を撮ったりと楽しんでいた
「8000系」のリニューアル車
「5001形」のトップナンバー車
阪神タイガース80周年を記念したラッピングカー9000系「イエローマジックトレイン」
職員のお見送りで石屋川車庫を後に
帰路は「このランプは何色に光るでしょう」など号車対抗クイズ大会を実施。トップチームにはシート生地を利用したランチョンマットがプレゼントされた
途中、営業最高速度となる106km/hを出すサービスも。風切り音やモーター音、振動などが抑えられており快適だった
出発時と同じ1番線ホームに入線。試乗会は終了となった

5700系について

 5700系は阪神電鉄の普通車両としては20年ぶりのフルモデルチェンジとなる新型車両で、1959年から製造された「5201形」の後継車両。主制御器や主電動機といった動力系はもちろん照明や冷房装置まで最新技術を採用することで省電力化を実現。普通列車での運用となるため駅での停車時間が長くなることから車内外に扉開閉ボタンを設置するなど、快適な乗車環境を提供する。愛称は「ジェットシルバー 5700」。

 編成は4両すべて電動車となり、その中でも運転台がある先頭車両は主電動機が片側の台車に2基だけ搭載されている「0.5M方式」となり、編成全体では5550系と同じ3M1T(モーター3両分+付随車1両分)という構成。編成は梅田側から車両番号は5701、5801、5802、5702の4両固定。今後、乗務員の訓練や細かな調整などを行ない、8月下旬頃からの営業運転を予定しているという。最終的には13編成が投入される。

主要諸元
車両番号5701580158025702
車種Mc1M1M2Mc2
車重(t)34.037.037.034.0
定員(座席)(名)124(41)133(45)133(46)124(41)
主電動機 容量(kW)×台数(台)190×2190×4190×4190×2
主制御装置-1C6M制御VVVFインバータ1C6M制御VVVFインバータ-
集電装置-シングルアーム式2基シングルアーム式1基-
車両性能最高運転速度110km/h、加速度4.0km/h/s、最大減速度4.5km/h/s

5700系の細部やインテリアをじっくり見てみた

5700系の前面
前照灯はLED
1編成にシングルアーム式パンタグラフを計3基搭載
列車無線アンテナ
フルカラーLEDを採用した行先表示器
通常運用では見られないかもしれない「準急」表示
車側表示灯もLED
5700系は全車に車いすスペースが用意されており側面にはピクトグラムが貼られている
阪神電気鉄道のマーク
独特の書体が使われる車両番号表示
車内の車両番号プレート
運転席まわり。正面ガラスにIR(赤外線)カット層を加えるなど環境改善が図られている
梅田側から見た5702車内
神戸側から見た5802車内
神戸側から見た5801車内
神戸側から見た5701車内
優先座席まわりはシート表皮、つり革ともグリーン系のカラーを採用
車いすやベビーカーと同伴者も過ごせる広いスペースを確保。同伴者が体重を預けられるよう手すりにエクステンションが設けられている(窓部分)
グリーンで統一された優先席
車内は摂津灘の海をイメージしたブルーでまとめられている
座面に凹凸を設けることで立ち座りが楽な「ちょい乗りシート」。ドアまわりを広く取ったため従来の8名掛けから7名掛けになった
ドア横には「く」の字型の仕切りを配置。ドア側からはもたれることができ、シート側はアームレストとして使えるデザインとなっている
ブラインドはフリーストップタイプ。ドア間に2枚ある窓は片側が開閉可能
シート下にはヒーターを装備。効率を上げるために位置を下げているという
フロア中央部は波をイメージしたデザイン
中央部と側面でパターンを変えることで視覚的に着席時の足位置をアピール。足の投げ出しを防止する意図があるわけだ
32インチHDモニターを半分にした車内案内表示装置。表面には強化ガラスを採用しているという
車内照明は直管蛍光灯形状のLED照明
川崎重工製でほかの現行車両も順次置き換えていくそうだ
ドアまわり。ドアサイズを変えずにシート幅を狭くすることで乗降性を確保している
駅停車時に車内温度を保つため扉開閉ボタンを導入
文字が大きくなった路線図。こちらも5700系以外の車両にも順次導入される
ドア上部の注意表示は4カ国語で表示
下部の注意書きは子供向けにひらがな
つり革の高さは1550mm/1618mm/1838mmの3タイプ。ドア周辺は高く、釣り棒があるところが中間、それ以外が低いタイプになる
網棚の高さは現行車両で一番低い1781mmに設定。積み卸しがラクなよう通路側は手前に傾斜している
ドア横には非常通報機を設置
ドア部の床は滑りにくい素材を採用。ドアのレールは車いすの通過時に邪魔にならないようタイヤが来る部分に切り欠きが入っている
(安田 剛)