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南九州西回り自動車道 阿久根北IC~阿久根IC間の4.2kmが開通

今後は毎年1区間ずつ開通。早期の全通を目指す

2015年3月29日16時 開通

開通式において、走り初めを先導する鹿児島県警のパトロールカー

 3月29日16時、南九州西回り自動車道 阿久根北IC(インターチェンジ)~阿久根IC間 4.2kmが開通した。通行料金は無料。

 南九州西回り自動車道は、九州縦貫自動車道 八代JCT(ジャンクション、熊本県八代市)と鹿児島ICを結ぶ高速道路で、完成すれば全長140km、九州道の西側にバイパス線を設けるような路線設定がされている。鉄道に詳しい方であれば、九州縦貫道が肥薩線近辺、南九州西回り自動車道が旧鹿児島本線(九州新幹線開通に伴い、肥薩おれんじ鉄道)近辺を通る道路と説明すれば、その歴史的な立地は分かりやすいものがあるだろう。

 今回開通した南九州西回り自動車道 阿久根北IC~阿久根IC間は、阿久根市初の高速道路となり距離は短いものの、地元の期待は高いものがあった。

開通区間は地図の上部の区間になる
交通事故減少への期待もある

 16時の開通に先立ち、阿久根市内のホールで開通式を実施。その後、阿久根北ICにおいてテープカット、阿久根北IC~阿久根ICへ向けて走り初めが行われた。

 開通式では、国土交通省 九州地方整備局長 金尾健司氏、鹿児島県知事 伊藤祐一郎氏、衆議院議員 小里泰弘氏、参議院議員 尾辻秀久氏、参議院議員 野村哲郎氏、阿久根市長 西平良将氏が開通の祝辞を述べた。異口同音に語られていたのは、この道路が南九州西回り自動車道の一部となる出水阿久根道路初の開通区間であることと、今後への期待。3月7日には南九州西回り自動車道の薩摩川内高江IC~薩摩川内都IC間6.7kmが開通しており、2015年度の野田IC~阿久根北IC開通、2016年度の高尾野IC~野田IC開通、2017年度の出水IC~高尾野IC開通と、さらなる延伸が確定している。これらの早期開通への期待が語られていた。

阿久根市内で行なわれた開通式
冒頭の挨拶を行なう国土交通省 九州地方整備局長 金尾健司氏
鹿児島県知事 伊藤祐一郎氏
衆議院議員 小里泰弘氏
参議院議員 尾辻秀久氏
参議院議員 野村哲郎氏
阿久根北ICの空撮
阿久根ICの空撮
阿久根市長 西平良将氏

 一風変わった挨拶を行ったのが、尾辻参議院議員。尾辻氏は、自分は口がわるいと前置きした上で、今回の開通を細切れ開通と表現。その細切れ開通となった遠因として、自民党から民主党への政権交代による道路予算の凍結を挙げた。ただ、この道路予算の凍結は、当時の国民が民主党を選択した結果にほかならない。尾辻氏も「あまりいうと、天につばすることになる」と、その点にも触れ、再び自民党政権となったことで道路建設が進捗していると述べた。

青空の下で行なわれたテープカット

青空の下で行なわれたテープカット

 当初は雨の心配もあった道路本線上でのテープカットは、急速に天候が回復したことで青空の下で行われた。テープカット前には、地元保育園による竹太鼓のアトラクションを実施。その後、鹿児島県知事 伊藤祐一郎氏や地元選出の国会議員など来賓によるテープカットが行われた。

阿久根北IC。無料道路のため、料金所などはない
道路本線上から見た阿久根北IC
阿久根ICから阿久根北IC出口を見る。開通式の準備が進む
阿久根北ICから、阿久根IC方面を見る
制限速度は70km/hを予定しているようだ
高速道路の舗装。高機能タイプの舗装が行われていた
開通式の行われた阿久根北IC近辺のKP(キロポスト)表示。八代JCTからの距離を示す
KP標識側面
KP標識背面
無塗装タイプのガードレールが増えてきているが、このガードレールは塗装タイプ
ポールは最近よく見かける緑の反射板入りタイプ
テープカット前に、地元保育園による竹太鼓のアトラクションが行なわれた
アトラクションを見守る来賓
園児も加わってテープカットを実施

 テープカット後は、地権者や来賓による走り初めとなることが多いが、南九州西回り自動車道 阿久根北IC~阿久根IC間の開通では、まずは地元のトラック、消防車、救急車、国交省の特殊車両による走り初めを実施。これは、流通改善による地元経済の発展や・消防車・救急車到着時間の短縮に意味がある道路であるとの意思が込められているのだろう。来賓や園児による見送り後、鹿児島県警のパトカーの先導によって、地権者や来賓の走り初めが実施された。

走り初めの1号車は地元のトラック
園児と来賓がお見送り
開通を祝う横断幕が
園児と来賓の前を次々と通過していく
和牛の絵が描かれたトラック
大漁仕様
こちらも水産仕様
救急車。園児は興奮
さらに歓声の上がった消防車
珍しいせいか、今ひとつ人気のなかった国交省の情報収集車
カメラや投光器が装備されており、さまざまな情報を集めるのだろうか
こちらも国交省の特殊車両
ここから通常の通り初め。先導車の後に、地権者や来賓のクルマが続いた
これは国交省の道路パトロールカー。ベース車両は、三菱自動車のアウトランダー
一通り通り初め車両が過ぎたところで園児も通り初め
阿久根北IC~阿久根ICへと走行。一部2車線区間もあるが、基本は片道1車線の高規格道路となっている

 九州の各県を人口の多い順に並べると、福岡県、熊本県、鹿児島県の順となる。そのため、福岡~熊本~鹿児島を結ぶ道路や鉄道は最も流量が多く、かつては国道3号や鹿児島本線が主な役割を担っていた。しかし、肥薩線のルートに沿うように九州道が開通、鹿児島本線も九州新幹線の開通によって第三セクターの肥薩おれんじ鉄道へ、さらに阿久根市には九州新幹線の駅も設置されなかった。そういった意味で短いながらも南九州西回り自動車道の一部となる阿久根北IC~阿久根IC間の開通は、阿久根市にとって待望の幹線道路の開通となる。走り初めで真っ先に地元のトラックが走ったのも、経済面の期待がとくに大きいことを示しているのだろう。

阿久根市には鶴の渡来地など、観光資源もある
南九州西回り自動車道が完成すると幹線道路としての役目を終える国道3号。その国道3号沿いにあるのが道の駅 阿久根
海沿いの国道3号区間にあり、美しい東シナ海の景色や海の幸が楽しめる
阿久根ICへのアクセス道路で見かけた桜。南九州は春だった

編集部:谷川 潔