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JR北海道、北海道の玄関口となる新幹線駅「木古内駅」駅舎見学会

2015年12月13日 開催

 JR北海道は12月13日、北海道新幹線が青函トンネルを抜けて北海道最初の停車駅となる「木古内駅」(北海道上磯郡木古内町)を関係者向けに公開した。現在、同駅は青森と函館を結ぶ在来線特急「スーパー白鳥」「白鳥」の停車駅ともなっている。営業区分上は函館市の五稜郭駅から木古内駅までがJR北海道 江差線となっており、北海道新幹線開通の2016年3月26日をもってこの区間は第三セクターの「道南いさりび鉄道」に移管、改称され経営分離される。華々しく開業する新幹線の「木古内駅」と同時に、道南いさりび鉄道の終着駅となる「木古内駅」も同時にリニューアルされることになり、地域の新たな発展への期待に町は盛り上がりを見せていた。

北海道新幹線 木古内駅

北海道新幹線木古内駅を正面から望む

 木古内駅の新幹線駅は、在来線の北西側に新幹線線路が建設されていることから、木古内町の玄関とされてきた海側(南東側)とは反対側に専用の駅舎を新設している。造成中の新幹線駅前には現時点で数件の住宅等が見渡せるが、すぐ近くに木古内中学校があり、また住宅街も形成されていることから今後駅前広場を中心に新たな発展が期待されているところであろう。

新幹線「木古内駅」前は開業に向けて急ピッチで造成中だった
新幹線駅舎前には屋外駐車場が設けられており、特急列車利用客は無料で利用可能である

 新幹線駅舎に入ってみると、正面すぐに改札が設けられており、改札左側にはみどりの窓口と待合室が設置されている。待合室は授乳室も完備されている。改札右側にはお手洗いがあり、多目的お手洗いも用意されている。

駅舎横に入り口がある。駅舎への入り口はこの1つのみ
入り口から入るとすぐ正面が新幹線改札口である
改札口左手にみどりの窓口と待合室が設置されている
待合室は授乳室完備である
改札右手にはお手洗いがある
お手洗いは男女別のほか、その間に多目的お手洗いも完備
多目的お手洗いには、ベビーチェアやベビーシート、オストメイトなどが揃う

 改札を入るとホーム階へ上がるエレベータ、エスカレータなどが配置された広場が広がっている。改札内にはお手洗いが設置されていない。また、現時点でコインロッカーや売店等の設備は展開されていなかった。イベントを開催できる程度の広さは確保されており、ピークシーズンには、ここに地産品を販売するようなコーナーが設けられたりするのであろう。また、この広場を見上げると、杉材を使ったモチーフが飾られていることに気が付く。これは道南地区で古くから栽培されてきた杉(北限の杉として知られる)を駅のシンボルとして採用したもの。また海が目の前に広がる町であることから、波に見えるモチーフとしてデザインされている。

改札を入ったところにある広場
改札内広場の天井にデザインされているのは波をイメージして杉材で組まれたもの
広場の採光部分にも杉材を使用。杉林で杉の間から光が射し込んでいる温もりのあるイメージを狙う
改札内側から出口方面を望む

 北海道新幹線は、木古内駅前後の区間が高架線になっており、地上1階の改札口から上階のホームへ上がる形になる。ホームは奥津軽いまべつ駅と同様に対向式ホームが2面あり、線路は上り下りの2本のほかに両線路の間に上りの通過線1本の計3本が通っている。また各ホームへの接続はエレベーター1機、エスカレーター1機、階段がそれぞれホーム中央あたりに設置されている。エスカレーターは現在、両ホームとも上りで運用していたが、新函館北斗方面の乗降客は下車客が中心になるだろうと見込んでおり、乗降客数を見ながら下り用に運用を変更する場合もあるということだった。

 北海道新幹線共通の仕様として、エレベータ、エスカレータ、階段等のホーム接続部にはガラスの自動ドアが設置され、ホームの外気が駅舎内に吹き込まないよう工夫されている。ホームの安全柵ドアは青色に塗られている。これも木古内町の「海」をイメージしたカラーだという。

 このほかホーム中央には喫煙所が設けられている。ホームには数個所、簡易的な椅子が設置されていたが、乗客は基本的には改札前の待合室で新幹線を待つことを想定している。ホーム全長は263mで、全長約250mのH5系10両編成のはやぶさ号が停車する際に、ホーム前後にはほとんど余裕を持たせていない構造になっている。

ホームへ上がるエスカレータ
エスカレータ、エレベータは各ホームごとに1機が設置されている
ホームとの間にはガラス製の自動ドアが設けられている
エレベータのホーム接続部分も同様に風除室がある
ホーム中央部分には喫煙所も設けられている
ホームは対向式2面で、上り通過線を含む3本のレールが敷かれている
ホーム先端部。ホーム全長は263mで、全長約250mのはやぶさ号1編成は先端部ぎりぎりまでを使って停車することになる。×印の標識は停止目標
両ホーム中央にホーム事務室があり、車両進入時等は大型モニター(写真右上)も使って安全を確認する。ホームドアは海をイメージした青
ホーム現在位置が車両のどのあたりになるかの説明プレート
ホーム先端から新青森方面を望む
ホーム先端から新函館北斗方面を望む

在来線木古内駅は第三セクター「道南いさりび鉄道」開業に併せ大リニューアル

 JR北海道 江差線および海峡線の終着駅である木古内駅は、新幹線開業後は五稜郭~木古内間が第三セクターの「道南いさりび鉄道」に改称され経営分離される。現在、本州と北海道を結んでいる在来線特急「スーパー白鳥」「白鳥」の途中停車駅であったが、2016年3月26日以降は道南いさりび鉄道のローカル列車から新幹線へ乗り換えるための新幹線接続駅へと役割を変えることになる。とはいえ、新幹線駅と在来線駅は直結されてはおらず、在来線駅の北口階段を下りてドアを出たところに新幹線駅舎の入り口があるという構造になっている。

報道陣に対し駅概要を説明する木古内駅長兼開業準備駅長の及川孝氏

 現木古内駅長兼木古内開業準備駅長 及川孝氏は、「スーパー白鳥、白鳥の乗降客数は1列車閑散期で平均10人前後、繁忙期でも100~200人程度。そのほとんどは地元の方。これが新幹線化されることで、乗降客数を倍ぐらいまで増やしたい」とする。乗客数を増やすには、やはり観光の拠点として外部からの観光客にこの駅を利用してもらうことを考えていかなくてはならない。木古内町は道南いさりび鉄道に合わせ道南観光の玄関としての役割を強めていこうと積極的のようだ。

 在来線の木古内駅も道南の玄関口としてひけを取らない立派な駅舎に改築を進めている。駅の南北を結ぶ連絡通路を新設し、在来線駅正面には新たに大きな駅前ロータリーおよびバス停留所エリアを設置するほか、駅前には「道の駅 みそぎの郷 きこない」を建設中であった。新幹線開業に合わせて、駅のイメージを一新させるようだ。

新幹線駅舎を出てすぐ左側に、在来線駅に上がる通路・階段がある。新幹線開業後は案内表示も設置されるのだろう
木古内駅(在来線)の駅舎正面。本来はこちらが町の表口である
駅前には大規模なロータリーとバス停留所が建設中
ロータリーには「道の駅 みそぎの郷 きこない」が近くオープンする
在来線の木古内駅に入ると、エレベータ、エスカレータ(上り)が各1機と階段がある
改札口へ上がるエスカレータと階段
在来線駅舎にも1階に多目的お手洗いが設置されている
一般のお手洗いは2階に上がったところにある
階段、エスカレータ、エレベータで上がったところの踊り場から改札方面を見る。そのさらに奥にある階段を下りると新幹線駅舎前に出られる
連絡通路から在来線ホームを望む。左側が新幹線駅舎
駅の出口名はまだ決まっていないようだ。在来線改札前では暫定的に「駅正面」(在来線駅正面)と「駅北口」(新幹線駅舎側)と記していたが、新幹線開業後は名称が変わるかもしれない

 在来線と新幹線で別々に立派な駅舎を設けた木古内駅であるが、駅の南北にそれぞれ玄関ができたような形になっている。はたして、それぞれ何口と呼ぶのが正しいのだろうか。この点を在来線駅員、新幹線開業準備駅関係者に尋ねてみたが、正しい呼称はまだ決まっていないということだった。現在、在来線の改札を出ると、在来線駅舎前に出る方の出口を「駅正面」、そして新幹線駅舎に通じる方の出口を「駅北口」と名付けていたが、新幹線開業準備駅関係者は、新幹線駅舎のある方が「正面口」になると話していた。いずれにしても新幹線開業時までにはその呼称も決まるのだろう。

(木暮祐一)