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新「宝塚ホテル」、宝塚大劇場の隣にオープン。コンセプトは「夢の続きを、ここで。」

内覧会レポート

2020年6月21日 開業

宝塚ホテル1階ロビー

 阪急阪神ホテルズは6月21日、「宝塚ホテル」を移転開業した。

 宝塚ホテルは創業1926年(大正15年/昭和元年)の宝塚大劇場オフィシャルホテル。旧宝塚ホテルは3月31日に営業を終了し、新・宝塚ホテルは5月の開業を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の影響で6月の開業となった。

 旧ホテルは武庫川の南側、阪急今津線 宝塚南口駅前にあったが、新・宝塚ホテルは宝塚駅から徒歩4分の武庫川北側に移転。宝塚大劇場と阪急・JR宝塚駅から徒歩4分、宝塚大劇場の西隣に位置しており、宝塚歌劇との一体感は旧ホテルより高まっている。

「夢のつづきを、ここで。」をホテルのブランドコンセプトに据え、支配人に元・宝塚歌劇団の憧花ゆりの(とうかゆりの)氏を迎え、歌劇と密接にコラボしたホテル運営が期待される。

外観/エントランス/ロビー

ホテル外観とメインエントランスのゲート。宝塚大劇場と一体感のある造形だ

 ホテルのデザインコンセプトは「CLASSIC ELEGANT」。1926年の開業から90年以上にわたって培ってきた様式やしつらえを新ホテルでも随所に継承し、一部の装飾品はそのまま(あるいは現代の技術でリニューアルして)移設している。

 外観は旧ホテルや宝塚大劇場と一体感のある造りで、ひと目で関連施設だと分かる。メインエントランスにつながるゲートは、宝塚大劇場正面のゲートに合わせたアーチ形状と肌色の外壁、オレンジの瓦屋根で、瀟洒な雰囲気にまとめ上げた。幹線道路と隔たれていることもあり、宝塚の街が持つ「静けさ」のなかにありながら、宝塚歌劇の「華やかさ」が見事に演出されている。

ホテルは宝塚大劇場に隣接している。宿泊のみならず、観劇の前後の食事や休憩の場としても便利
ゲートからメインエントランスまでは屋根のある回廊となっている。タクシーなどクルマで来館する場合は、建物の反対側(南側)のサブエントランスより入館するが、ここもぜひ写真に撮っておきたいポイントだ

 メインエントランスから大理石が敷き詰められた広大なロビーに入ると、階段が現われる。歌劇場にも改札内に「T階段」と呼ばれる階段があるが、そちらと同様に中段の踊り場から左右に分かれて2階に続く。階段入口の左右にある手すりは旧ホテルの本館階段から継承したもので、絨毯の赤も旧ホテルからイメージを引き継いだ。「T階段」と同様、こちらもフォトスポットとして人気が集まりそうだ。

 なお、ロビーや宴会場、レストランのカーペットやフロアの大理石の模様はすみれや薔薇、椿などの花をモチーフとしており、クラシックホテルの血脈を受け継ぐとともに華やかさを表現した。気品を保ちつつも優雅だ。

広く、天井も高いロビー。大理石を使用しシックな雰囲気でまとめあげており、正統派のクラシックホテルらしい雰囲気だ
床の模様、天井のシャンデリア、階段の手すりなど、細部にこだわりが見える。さまざまなアングルから撮影したくなる
ロビーには宝塚歌劇の衣装を展示。2か月限定とのことで、ファンなら早めに見ておきたい
ロビーを2階から見下ろす。フロントは階段の裏手(1階)にあり、白い制服をまとったスタッフが出迎える

 ロビーの階段を2階に上がると、宝塚歌劇の衣装や小物、写真などを飾るギャラリーがある。オフィシャルホテルならではのもので、常設展示だ。衣装は季節ごとに入れ換え、また写真は現在公演中のものを展示するという。

 宝塚歌劇の衣装に近寄ってつぶさに観察できる機会はそう多くはないため、宝塚ホテルを訪れる際にはファンならずとも必見。また、ロビーの上に掲げられたどん帳もここから見ておきたい。昭和期に活躍した洋画家、小磯良平氏の手による「騎士の門出」という作品で、1976年(昭和51年)から1981年(昭和56年)まで宝塚大劇場で使用されたあと、旧ホテル館内に飾られていたものだという。

ギャラリーはロビーから階段を上がってすぐのところ。ホテル滞在中に必ず立ち寄りたいスポットの一つだ
写真、小物は現在公演中のものを展示
メインの展示は、やはり宝塚歌劇の衣装。取材時は2017年雪組公演の「SUPER VOYAGER!」で使用された衣装が展示されていた。新宝塚ホテルの船出を記念して選ばれたという
衣装は細部まで非常に凝ったつくりになっている。これほど近くで見られる機会はめったにない

レストラン

Buffet & Café’Restaurant Lénsemble

 宝塚ホテルの料理は90余年の歴史のなかで多くの文化人や地域の人々に愛されてきた。その伝統の技を受け継いだ料理を、新ホテルではビュッフェ、日本料理、鉄板焼きの3つのレストランと、ラウンジ、ホテルショップで味わうことができる。

Buffet & Café’Restaurant Lénsemble(アンサンブル)

「調和のとれた演奏」「バランスよい組み合わせ」という意味の「アンサンブル」と名付けられたブッフェ&カフェレストラン。できたてのオムレツやフレンチトーストなどの朝食、和洋中の彩り豊かな料理が並ぶランチやディナー、そして旧ホテルから人気だったビーフシチューやクリームコロッケ、シーフードドリアなどが楽しめるカフェ/アラカルトなど、時間帯によってさまざまな料理を提供する。

 シェフが一皿ずつその場で調理するライブキッチンでは、フランスの砂で焼いたレンガ造りの石窯も使用する。輻射熱も利用して肉や野菜を一気に焼くため、素材の中に旨味や肉汁を閉じ込め、表面はカリッと仕上がる。ビュッフェ営業は当面の間中止するそう(2020年6月時点)。

「アンサンブル」営業時間

ビュッフェ/朝食:7時~10時(ラストオーダー9時30分)
ビュッフェ/ランチ:11時~15時(90分制)
ビュッフェ/ディナー:17時~21時(105分制)
カフェ/アラカルト:11時~22時(ラストオーダー21時30分)

シェフが一皿ずつ調理するライブキッチン
アンサンブル、ルネサンス(ラウンジ)、アルモニー(ホテルショップ)統括シェフ 國木健太氏による石窯での調理の実演
ビュッフェスタイルの料理ディスプレイ。※COVID-19対策のためビュッフェ営業は当面中止(2020年6月時点)
光がほどよく挿し込む開放的な店内。武庫川の流れを見下ろしながら食事ができる
個室もあり、さまざまなシチュエーションで利用できる

日本料理 彩羽(いろは)

日本料理 彩羽の店内。このほか個室も3室用意

 いろは歌最初の3文字である「いろは」は「ものごとのはじめ」、「基本」を表す。「彩羽」は美味しいものを美味しく届けるという料理の基本を大切にして、素材が引き立つ繊細なあじわいの料理を提供する。彩り鮮やかな四季折々の料理を目と舌で楽しみたい。

「いろは」営業時間

昼食:11時~15時30分(ラストオーダー14時30分)
夕食:17時~21時(ラストオーダー20時)

和の空間でゆったりと食事ができる。窓からは武庫川を渡る阪急電車の姿も見える
店内の壁に何気なく設えられたオブジェ。実は音階を表しており、「宝塚歌劇団を象徴する『すみれの花咲く頃』の楽譜を抽象化したもの」だという
テーブル席の個室は「藤一」「藤二」の2室。仕切りを取り外すことで一つの個室としても利用可
個室「さくら」はお祝い事や法事など特別な日におすすめとのこと。窓の外には宝塚大劇場が見える

鉄板焼 風雅(ふうが)

厳選された牛肉や新鮮な魚介、野菜が手際よく調理される様は、ずっと見ていても飽きない

 店名は音楽のフーガから名付けられた。フーガ(遁走曲)は主旋律が奏でられ、それを追いかけるように同様の旋律が続く形式の楽曲で、ダイナミックで優雅に調和するのが特徴だ。厳選の牛肉や新鮮な魚介、旬の野菜が、華麗な手さばきでリズムよく豪快に焼き上げられていく。その様を目と耳で楽しみ、鼻と舌で味わいたい。開業記念ランチコース(一般料金5000円)など、期間限定のメニューはお得感もあるので要チェック。

「鉄板焼 風雅」営業時間

昼食:11時~15時30分(ラストオーダー14時30分)
夕食:17時~21時(ラストオーダー20時)

風雅の店内。カウンターは2つに仕切られており、個室感もある。正面の窓からはに宝塚大劇場が見える
個室も2室ある。定員4名の「あやめ」(左)と定員6名の「くちなし」(右)
風雅 シェフの和久利裕氏が肉を豪快にフランベし、鮮やかにカット。ショーを見ているかのようだ(※撮影のためマスクを外している)
3つのレストラン入口の間にある入店待ちスペース。密を避けるためにもこういったスペースは必須だ

 宝塚ホテルのレストランについて、阪急阪神ホテルズ 近畿圏総料理長の北山良平氏は、伝統をしっかりと引き継ぎながら、その時代のトレンドを加えた料理も提供していきたいと話す。北山氏の料理人としてのキャリアは37年前に旧宝塚ホテルではじまったという。外部での修行も経てきたが、その間も宝塚ホテルに対する想いは非常に強かったそうだ。今後は最新の設備や徹底した衛生管理の手法も取り入れつつ、お客様に長く愛していただける料理、そしてホテルをつくっていきたいと述べた。

 宝塚ホテル料理長の有働昭雄氏によると、旧ホテルで90余年間人々に愛され、評価されてきたクラシックかつベーシックな料理を今後も提供していくという。たとえば、「アンサンブル」でアラカルトとして用意するビーフシチューやクリームコロッケ、シーフードドリアなどは、旧ホテルと変わらない味だそう。宝塚の歌劇とともに、多くの文化人が親しんで絶賛してきた味を、現代のお客様にもぜひ楽しんでほしいと話した。

左から、株式会社阪急阪神ホテルズ 執行役員 料飲事業本部 近畿圏総料理長 北山良平氏、宝塚ホテル 料理長 有働昭雄氏(※撮影のためマスクを外している)

ホテルショップ「アルモニー」/ラウンジ

ホテルショップ「C’HARMONIE(アルモニー)」

 ホテル1階ロビーの一角、ホテルショップ「C’HARMONIE(アルモニー)」では、季節のケーキや焼きたてのパン、宝塚歌劇グッズなどを手に入れられる。フォトスポットにもなるエントランスの奥は、宝石のような色とりどりのスイーツが並ぶショーケースだ。新ホテルの開業にあわせてほぼすべてのスイーツをリニューアルしたとのことで、パティシエのセンスと技が楽しめる。なお、旧ホテルで人気だったアップルパイは変わらぬ味を提供するという。また、新しくパン焼き用の窯を入れたことにより、ブーランジェが毎日焼き上げるブレッドも楽しめる。近年人気の角食パンも用意してあり、日々の朝食やディナー、また贈答用としてもオススメだ。

 アルモニーのもう一つの楽しみは、宝塚歌劇グッズ。元宝塚歌劇団で、現在はシュガークラフトアーティストとして活躍する みずき愛(75期生、花組、娘役)氏の手がプロデュースする「シュガーレース」など、宝塚ファンなら垂涎の品々を美しくディスプレイしている。店員にオススメのお土産を聞いたところ、旧宝塚ホテルのバウムクーヘンをリニューアルした「夢バウム」を紹介していただいた。みずき愛氏と、ドイツ製菓のマイスターなどがコラボしたもので、マーガリンやショートニングなどは使用せずバターと卵の風味を最大限に引き出して一層ずつ丁寧に焼き上げたものだという。「夢のつづき」が味わえる贅沢な逸品だ。

 なお、アルモニーはホテルのメインエントランスを通らなくても、ホテル前の道路から直接入店も可能。気軽に立ち寄って、お土産や自宅で食べるパンなどを買うことができる。

「C’HARMONIE(アルモニー)」営業時間

9時~21時

ジュエリーショップのようなアルモニーのエントランス。フォトスポットとしても人気が高まりそう
店内入ってすぐのエリアはスイーツが色鮮やかなスイーツが並ぶ。部屋に持ち帰ってお茶とともに楽しみたい
旧ホテル時代から人気のアップルパイは変わらない味。ショートケーキは3種のクリームを使った飽きのこないもので、ショップ店員のオススメだそうだ
ブレッドも焼きたての物が並ぶ。お土産はもちろん、自宅での食事にもピッタリ
宝塚歌劇のエレガントな雰囲気をそのまま持ってきたかのような美しいしつらえの店内
宝塚ホテルオリジナルの「夢バウム」は、「夢の続き」をお菓子でも楽しめるように仕上げられた逸品
みずき愛氏のフローティングシュガーや美しく輝くチャームといった宝塚グッズもGETできる

 1階ラウンジ「Renaissance」(ルネサンス)は、旧ホテルのラウンジから名称を引き継いだ。ルネサンスは「過去のものが再び見直される」「再び生まれる」という意味で、新ホテルではその名称の重みも増したと言えるだろう。ゆったりとした開放的な空間でありながら、クラシカルな店内のデザインと色調にまとめ上げている。四季の素材を使用したアフタヌーンティーセットを、豊富な種類のお茶でいただける。くつろぎと癒しのティータイムが楽しめそうだ。

「Renaissance」営業時間

10時~22時30分(ラストオーダー22時)

ラウンジ「Renaissance」(ルネサンス)
対面のチェアのほか、バーカウンターも設置
クラシカルなデザインと色のチェアが、非日常の優雅な空間を醸している

ゲストルーム

宝塚歌劇レビュールーム。デラックスツインをベースに、公演中の組にまつわる小物や写真を展示

 客室(3階~5階)は早計200室。内訳はシングル98室、ツイン102室で、ツインのうち3名利用可能な部屋は36室を用意している。部屋タイプは後述の11タイプで、さらにデラックスツインをアレンジしたファン垂涎のレビュールームもある。客室の備品や無料Wi-Fiなどは一般的なホテルと同様に必要十分なものが備わっていると感じたが、アメニティのチョイス、ツインルームでは洗面台が2つあること、各部屋にライト付きドレッサーデスクがある点などは女性の宿泊者を意識したものになっている。宝塚歌劇オフィシャルホテルらしく、全客室で「TAKARAZUKA SKY STAGE」「TAKARAZUKA ON DEMAND」が無料で視聴できる。

 部屋のカラースキームは「Elegance(エレガンス)」「Grace(グレース)」「Monotone(モノトーン)」で旧ホテルのエレガントな雰囲気を受け継ぎながらも、「夢の続きを、ここで。」というメインコンセプトに浸ることができる。

「Monotone」の客室。写真はスタンダードシングル
「Elegance」の客室。写真はスーペリアツイン
「Grace」の客室。カーテンやスツールも同色にまとめている。写真はモデレートツイン
スイートや宝塚歌劇レビュールームは上記のカラースキームとは異なるアレンジを加えた。写真はスイートルーム
部屋の調度品は白で統一。引手やノブなどは金色で、使い勝手の良さをスポイルすることなく機能性を確保
宝塚大劇場と武庫川が見渡せる部屋も。ファンの人気を集めそうだ(スタンダードシングル)
バスルームとトイレは基本的に全室セパレート(スタンダードシングル)
バスルームとトイレは基本的に全室セパレート(デラックスツイン)
女性同士での宿泊を意識して、洗面台が2つある部屋も用意(スーペリアツイン)
蛇口にもこだわり。ソープ類は英国ブランド LAURA ASHLEYを採用
全室にドレッサーデスクがあるのも女性にはうれしい(デラックスツイン)
デスクサイドにはAC100V、USB TYPE-Aソケットも完備。ライト類のスイッチもシンプルで美しくまとめた
テレビはデジタルサイネージ兼用。「TAKARAZUKA SKY STAGE」「TAKARAZUKA ON DEMAND」が無料で視聴できる。またWi-FiやHDMIケーブルによるミラーリング・キャストにも対応
見学したスーペリアツインにはテラスもあった。写真には写っていないが上部は解放されていて、外気にあたりながら武庫川が見下ろせる
宝塚大劇場に面したスイートルーム。ゆったりと特別なひとときが味わえる
スイートルームのバスルームは、広い空間の中央にバスタブを設けた。奥のガラス扉はトイレ(左)とシャワールーム(右)
スイートルームにはソファでくつろぎながら談笑や映像の鑑賞ができるスペースも
2室のみのレビュールーム。シャンデリアや写真など、ひと目でほかの部屋と違った雰囲気だ
クッションに注目。公演中の組をイメージした色のベッドスローとクッションを用意している
展示ケース。展示は公演中の組にまつわるもの
トップスター紹介パネル、シャンシャン、舞台小道具、台本、宝塚歌劇に関する書籍が並ぶ
高い天井から吊るされたシャンデリア
レビュールームのドレッサーは女優ミラーで、楽屋にいるかのような雰囲気が楽しめる
洗面、バスルーム。バスの洗い場は広く使い勝手もよさそう
レビュールームからの眺望。正面に宝塚大劇場が見える

 客室フロア(3階~5階)の廊下絨毯には「花組」「月組」「雪組」「星組」「宙組」そして「専科」のモチーフが散りばめられているので、こちらもチェックしておきたい。また、廊下やエレベーターホール、エレベーター内の壁には旧ホテルの写真やかつてのパンフレットなどがさりげなく飾られており、部屋の外でもさまざまな発見があるだろう。

客室フロアの廊下。シャンデリアからの光が木漏れ日のように降り注ぐ
絨毯には「宙組」「雪組」「花組」「専科」「星組」「月組」をモチーフにした模様が随所に。ファンならおさえておきたい
エレベーターホールの壁に掲げられた旧ホテルの写真
エレベーター内にも旧ホテルにちなんだ展示がある。右は1926(昭和2)年10月のディナーメニューのようだ

バンケットルーム

 新宝塚ホテルは2階と3階に4つのバンケットルームと1つのテラスバンケットを備えている。いずれも旧ホテルからクラシックなデザインを継承しながらも、現代風にエレガントにしつらえた。バンケットルームは全てシャンデリアを配し、その一部は旧ホテルから移設したものである。

宝寿 -Houju-

 宝塚歌劇のディナーショーや華やかな祝賀パーティなど最大1,200名を収容可能な大宴会場。面積は903m 2 (仕切りを使用することで178m 2 、348m 2 、540m 2 にもアレンジ可)と広大な空間だが天井高は6.5mあり開放的。その天井のシャンデリアは旧ホテルのバンケット「宝寿」に使用されたもので、その移設に際しては全パーツを磨いたほか、当初電球だった照明はLEDに交換されているとのこと。シャンデリアの周囲に広く配された間接照明はフルカラーLEDで、瞬時に色を変えることができる。音楽に合わせた演出も可能だ。絨毯の模様は、宝塚市の花であるスミレをモチーフとしている。

宝塚ホテルで最も広いバンケット「宝寿」
天井のシャンデリアは旧ホテルからの移設で、移設にあたり清掃などメンテを行った
音楽にあわせてLED照明がリニアに変化する。バンケット全体が踊っているような演出だった

琥珀 -Kohaku-

 542m 2 (仕切りを使用することで271m 2 にもアレンジ可)、高さ6.2mで最大700名が収容可能なバンケット。天井の優美な曲線と薔薇をモチーフにした絨毯が高貴な雰囲気を醸している。シャンデリアは旧ホテルのバンケット「すみれ」からの移設で、またこちらも間接照明にフルカラーLEDを使用しており、謝恩会や展示会など、利用目的にあわせた空間演出が可能となっている。

バンケット「琥珀」
フルカラーLEDにより照明色を変化させることができる。照明を縁取る曲線美も目を惹くもの
旧ホテルの「すみれ」から移設したシャンデリア。丁寧にメンテナンスされ、全く古さを感じない
「琥珀」の前の空間はホワイエと名付けた。宴会場への高揚感を高めてくれる気品ある空間だ。受付はもちろん、商品の展示などの用途にも使える

舞花 -Maihana-

 宝塚歌劇で初期に設立された花組から名をとった「舞花」は、面積114m 2 で最大110名が収容可能。一辺に窓を配したレトロ・モダンの雰囲気で、窓から差し込む柔らかな光がアクセントになって華やかな雰囲気づくりに役立っている。旧ホテルの「ロゼ」から移設したというシャンデリアは、見たところLED化されていた。絨毯のモチーフは椿で、部屋全体に格調高い優雅な印象を与えている。

バンケット「舞花」
このシャンデリアも旧ホテルからの移設で、電球はLED化されている。このように宝塚ホテルのシャンデリアはバンケットごとに異なり、それぞれの雰囲気づくりに大きくかかわっている

詩月 -Utatsuki-

 こちらも宝塚歌劇の初期に設立された月組から名をとったバンケット。面積は172m 2 (仕切りを使用し86m 2 としても使用可)で、最大収容人数は140名。絨毯はハナミズキで、全体の造形や色使いがレトロでシックな雰囲気を醸している。なお、ここまでに紹介した以外にも、34~37m 2 (それぞれ最大収容人数25名)のバンケットが計4室ある。

バンケット「詩月」

エクラス -Ecrrasse-

「エクラス」は、フランス語で輝きを意味する「エクラ」と「テラス」を組み合わせた造語。室内の宴会場と解放感あふれるテラスを組み合わせ、晴れた日には屋外での立食パーティなどのほか、アクティブなイベントなどに自由にアレンジして利用できる。照明も備えており日没後の利用も可能。

テラスバンケット「エクラス」により、新ホテルでは屋外でのイベントも可能
屋内を控室として、テラスで立食パーティや結婚式の二次会などもできそうだ
「エクラス」受付

 新・宝塚ホテルは、1926年から1世紀近くにわたり受け継がれてきた上質なおもてなしはそのままに、宝塚の街の新しいシンボルとして誕生した。今後も地域に溶け込みつつ、全国から観劇に訪れきらびやかな世界を鑑賞した人々に、その「夢のつづき」を楽しんでもらえる空間として特別なひとときを提供し、宝塚歌劇とともにこれから先100年愛されるホテルを目指していく。

新「宝塚ホテル」概要

開業日: 2020年6月21日
チェックイン/チェックアウト: 14時/11時
所在地: 兵庫県宝塚市栄町1-1-33
アクセス: 阪急電鉄 宝塚駅から徒歩4分、中国自動車道 宝塚インターチェンジからクルマで約10分
面積: 敷地面積約1万2300m 2 、延床面積約2万3000m 2
建物: 鉄筋コンクリート造(一部鉄骨造)地上5階、地下1階
フロア構成:
[3~5階]客室
[2階]レストラン(3店舗)中宴会場
[1階]メインロビー、フロント、大宴会場、小宴会場(2室)、ラウンジ、売店
[地階]駐車場
客室数: 200室
[シングル](17.1~20.1m 2 、定員1名)98室
[ツイン](21.1~37.4m 2 、定員2名)48室
[ツイン ※3名利用可](28.6~43.9m 2 、定員3名)36室
[ダブル](211.2~21.4m 2 、定員2名)16室
[スイート](55m 2 、定員2名)2室
宿泊料金:
[シングル]2万6620円~2万9040円
[ツイン]3万3880円~6万500円
[ツイン ※3名利用可]4万7190円~7万2600円 ※3名利用時は別途エキストラベッド代7260円
[ダブル]3万3880円
[スイート]12万1000円
(1室1泊利用時。サービス料込み)
TEL: 0797-85-2602
Webサイト: 宝塚ホテル