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ソフトバンク、富士山無線基地局の設置工事を公開(前編)
7月上旬から山頂で通信サービス開始
2017年7月18日 20:58
- 2017年7月9日~10日 実施
ソフトバンクは、富士山頂および山小屋での高速データ通信サービスの提供、登山道の品質向上対策を7月上旬から実施。これにより富士山頂、登山道において「SoftBank 4G LTE」や「SoftBank 3G」が利用できるようになる。
富士山頂においての通信サービスの開始、そのほかの施設の設置状況を報道陣に向けて公開した。
最初に訪れたのは富士山の麓にある無線基地局。富士サファリパーク近くに設置された鉄塔タイプの基地局で、近辺の通信サービスを提供するアンテナと、頂上に向けたエントランス(伝送線路)のアンテナが備え付けられている。
基地局と基地局を結ぶエントランスは膨大なデータ通信が行なわれるので、敷設できるのであれば光ファイバーケーブルが最適ではあるのだが、離島や山間部などでは設置コストが増えてしまうという問題がある。それを解決してくれるのがマイクロ波を利用したエントランスであり、ここでは80GHz(メイン)と5GHz(サブ)を使って通信が行なわれている。80GHzの方がもちろん高速ではあるのだが、雨が降ると減衰率が大きいので5GHzも用意されているとのことだ。
山では景観や場所的な問題から基地局を作るのは大変難しい。国立公園であり、世界文化遺産である富士山ではなおさらであり、そうやすやすと設置できるわけではない。そうなると、山小屋のオーナーと相談して屋内、もしくは屋外に取り付けるわけだが、山小屋も限られたスペースに建っていることから、設置スペースも限られてくる。電波を増幅して中継するだけの「リピーター」であれば設置する難易度も低いのだが、登山シーズンには利用者数が膨大になる富士山。特に人気である吉田ルート、須走ルートから山頂に向けたエリアにおいては満足できる通信品質を保つことは難しくなる。
そこで同社は2016年から八合目に無線基地局を設置。それに加えて今年からは山頂の山小屋にも無線基地局を開設することで、通話・通信品質を向上させている。山頂においても取材当日の12時過ぎに電波が開通し、下りで52.42Mbps、上りで32.24Mbpsのテスト結果が出た。ベストエフォート方式なので、接続人数や通信環境などで数値は変わるが、なかなかのパフォーマンスだ。
ソフトバンク モバイル技術統括 東海技術部 建設課の楠見嵩史氏は、「山小屋のオーナーとの交渉はもちろんですが、関係省庁との承認手続きなどは苦労します。それでも、電波がつながるとうれしいですね」と、報道陣への説明のなかで語った。
なお、麓以外の山小屋に取り付けられたアンテナや機材は、登山シーズンが終わり山小屋が閉まるとともに撤去される。これは冬季の積雪による建物への万が一の被害を防ぐためであり、毎年行なっているそうだ。7月初めの設置工事、9月に入っての撤去工事、現代における富士山の風物詩といえるものかもしれない。
SoftBank 4G LTE、SoftBank 3Gの通信サービスは山頂エリアでは山小屋がクローズする9月上旬まで提供され、それ以外のエリアでは通年で提供される。
「SoftBank 4G LTE」「SoftBank 3G」の富士山における通信サービス
山頂:2017年7月上旬~9月上旬
富士宮口(登山口、登山道):通年
須走口(登山口、登山道):通年
御殿場口(登山口、登山道):通年
吉田口(登山口、登山道):通年