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Pepperが観光案内役を務める「Tourism × Tech 地方創生プロジェクト」。瀬戸内の豊島で開始
2017年2月6日 21:03
- 2016年2月6日 発表
PSソリューションズは、香川県小豆郡土庄町と協力し、豊島(てしま)の観光案内にPepperを使う「Tourism × Tech 地方創生プロジェクト」を開始した。PSソリューションズはソフトバンクグループの企業で、2016年3月からは豊島においてレンタル電動スクーターの商用サービス「瀬戸内カレン」も開始している。
豊島は瀬戸内海にある島で、香川県の高松港と小豆島、岡山県の宇野港に囲まれた場所にある。本州、四国ともに橋はつながっておらず、島の面積は14km2、周囲は20km、人口も900人程度の小さな島で、農業や漁業が盛んで「食の島」としても評価されているが、3年に一度開催される瀬戸内国際芸術祭の会場ともなっていて、「アートの島」としても知られている。
2016年の瀬戸内国際芸術祭の開催期間中には、合計15万人の観光客が豊島に訪れていて、その半数以上が海外からの観光客だという。しかし豊島は少子高齢化の影響で外国語で観光案内できる人手の確保が難しいことから、今回の「Tourism × Tech 地方創生プロジェクト」ではPepperを観光案内係とし、多言語で対応できるシステムを導入する。
Pepperは豊島の玄関港でもある家浦港に1機が配置され、島に出入りする観光客を応対する。すでにPepperは配置しており、システムの運用も開始されている。
Pepperは標準搭載されているタブレットと音声の両方を使って応対する。ホームメニュー画面で言語選択が可能で、現在のところ日本語と英語、中国語に対応する。
タブレットをタップして観光情報を調べるほかにも、自由文で観光情報を検索することも可能で、例えばPepperに音声で「トイレはありますか?」と聞けば、関連性の高い回答がピックアップされ、そこから必要な情報を呼び出せる。
バックグラウンド側では、オラクルとトランスコスモスのクラウドシステムを使っていて、観光情報や質問、回答などのデータベースはすべてクラウド上で保存・管理される。Pepperは利用者の操作や質問に応じ、その都度、必要なデータをダウンロードする仕組み。
音声はPepperがローカルで搭載している発声エンジンを使うので、テキストデータをやり取りするだけだが、タブレットに表示する画像データなどはクラウドからダウンロードしている。
データをクラウド上に置くことで、更新管理を容易にするほか、将来的に受け答えの機能を強化したり、Pepperの配備台数を増やしたりといったことも可能にしていく。
なお、オラクルのクラウドシステムをPepperと連携させ、観光案内に使うのは、今回が初の試みとなるが、オラクルのクラウドシステム自体は、ほかのPepperを使わない観光案内などで利用されている実績があるという。
観光案内をするだけでなく、Pepperが利用者を撮影してTwitterに投稿するなど、SNS連動の機能も搭載されている。アンケート機能も搭載していて、観光客から得られる生の声を収集することもできる。
PSソリューションズでは今回のシステムについて、ほかの地域の観光協会へも広げていき、オラクル、トランスコスモス以外の企業にも参加してもらい、プラットフォームとして幅広く展開していくことを狙っているという。