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JAL、熊本・阿蘇地区でグループ社員が稲刈りボランティア活動

震災後に湧き出た水で育った米「阿蘇産さんの湧き水米」の収穫をお手伝い

2016年10月15日 実施

 熊本県の阿蘇地区では平成28年熊本地震がきっかけで50年ぶりに湧き水が復活したエリアがある。その豊富な水量は、被害を受け使用不可となった用水路の代替水源となり、地元産の米の収穫ができることとなった。新たに命名された「阿蘇産(あそうぶ)さんの湧き水米」の稲刈りを、JAL(日本航空)のグループ社員がボランティアで加わり行なった。

JALグループの東京本社と福岡空港支店のスタッフがボランティアとして参加した

 今回の稲刈り体験は、平成28年熊本地震により水路に被害を受けた狩尾地区の水田で行なわれた。配水管が損傷し、水の供給が不可能となり、従来であれば5月上旬の田植えもそれどころではなかったという。

 しかし、地震発生後、エリア内にある産(うぶ)神社の境内にある池の周辺より水が湧き始めた。およそ50年ぶりとなるこの湧き水を各水田に供給するための工事が急ピッチで行なわれ、6月には1000人のボランティアが集結し、田植えを行なった。そして、収穫時期を迎え、今回の稲刈りとなったというわけだ。

 今回の企画を担当したのは、「阿蘇産さんの湧き水米」の販売を取りまとめる狩尾デザインの鎌倉吉孝氏。「阿蘇産さんの湧き水米」は、一般向けにも発売予定とのこと。詳しくは狩尾デザインのFacebookの公式ページで案内していくという。

社員らが乗ってきたバスには「JAL 稲刈体験ボランティア」の文字
約20名ほどのJALグループ社員が熊本にやってきた
冒頭に日本航空株式会社 九州・山口地区支配人 溝之上正充氏より挨拶があった
今回の企画を担当したのは、「阿蘇産(あそうぶ)さんの湧き水米」の販売を取りまとめる狩尾デザインの鎌倉吉孝氏。一般向けにも発売予定とのこと
稲刈ボランティアに参加した社員に配られたスペシャルタオル。プロ野球の広島カープのイラスト入り

稲刈りの前に産(うぶ)神社に挨拶

集合場所から産神社へ移動開始

 集結したJALグループ社員は稲刈を行なう前に、地震により約50年ぶりに湧き水が出た産神社を見学。安産・子育てにご利益のある神社として知られているが、年に数回だけは乳白色の湧き水が出るとのことで、母乳の出がよくなるなどの言い伝えもある。

 敷地内には、いくつか水が湧き出ている池があるが、地震前は中央部の大きな池に水が張った状態だったとのこと。季節によって噴出する水の量は変わるというが、水量が今後どのように変化していくかは、地元民でも分からないそうだ。

今回の稲刈りをする水田を見ながら神社へ向かう
産神社に到着
境内には川が流れている
本殿
この池は従来から水が張られている状態で、水源は別の場所から引かれているとのこと
本殿脇にある小さな池。地震以降、水面の左奥から水が湧いているそうだ
中央の池の奥にも、湧き出したポイントがある。左奥が洞窟になっており、水が湧き出している箇所がある
幹周り4mにもなる巨大な杉の木がある。以前は2本の杉の木が立っていたが2004年の台風で1本が倒壊してしまったとのこと
参加者は幹に触れてパワーを充填
狩尾3区の区長を務める五嶋一俊氏が挨拶
見学・参拝を終え収穫場所へ移動開始

いよいよ収穫開始

収穫場所に到着。向こうには阿蘇の山々が見える

 JALグループ社員は産神社から収穫場所に移動し、軍手と鍬を手にし、刈り取り作業のレクチャーを受けてから、作業スタート。時間が経過するほど慣れて刈り取りスピードも上がっていき、稲の束がどんどん積まれていく。そのあとはコンバインで脱穀し、稲刈りは無事終了した。

 品種は「ひのひかり」が使用されているが、水源が変わったことと、田植えが温かい時期にずれ込んだことにより、例年にないほどよい出来栄えとのことだった。11月には、成田と羽田の国際線ラウンジで提供されるメニューに使用されるとのことなので、海外渡航でラウンジを利用する際に味わうことができるだろう。

 終了後は、集合場所に戻り「阿蘇産さんの湧き水米」を使用したおにぎりや、地元の赤牛を用いたバーベキューでランチとなった。

今回は10a(アール)のおよそ半分ほどを刈り取り、250~300kgの米を収穫した計算になるとのこと
「阿蘇産さんの湧き水米」が採れる狩尾3区の水田の生産者の面々
軍手と鍬を持ち、説明を受ける
稲の束を持ち鍬をあてがう
スッと引く
このように簡単に……なかなかそうはいかないのが難しいところ
1列に横並びし、刈り取りスタート
ザクザクと順調に刈り取っていく。スピードも徐々に速くなっていく
2016年度に入社した株式会社JALスカイ九州 オペレーション部の一瀬翔子さん(左)と阿部恵実さん(右)。一瀬さんは、長崎県の実家が農家を営んでいるとのことで、テキパキとした動作が光っていた。「こういうスピードでやらないと終わらないって思ってしまうんですよ」と本気モード
4~5束をひとまとめにして後方にまとめておく
脱穀したあとの葉の部分は次シーズンの水田の養分や家畜の飼料となる
地震によって崩れた山肌が見える
コンバインで脱穀していく
稲の束を並んで手渡ししていく
コンバインの後方には脱穀後に残った葉が落とされていく
ある程度進んだところで、全員が脱穀作業に移る
コンバインの運転席後方に、米を溜めておくスペースがある

 今回のボランティア活動は、JALの熊本支店が復興支援に必要なリサーチを行なっていくなかで実現した。地元関係者とミーティングを重ねていき、大きな被害のなかでも湧き出たよいトピックとして、調整を進め実現した

 熊本も、東日本大震災から続く東北の復興支援も、JALグループでは継続中だ。「九州応援プロジェクト」は、今後もさまざまな形で展開していくとのことなので、その活動に注視していきたい。