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JR東日本、10月1日より駅弁ナンバーワン総選挙「駅弁味の陣 2016」を開催
新作駅弁29種類を加えた全61種類の駅弁を対象にナンバーワンを決定
2016年10月3日 12:27
- 2016年9月30日 発表
- 2016年10月1日~11月30日 開催
JR東日本(東日本旅客鉄道)は9月30日に記者会見を行ない、10月1日~11月30日の期間で、東日本の駅弁ナンバーワンを選ぶ「駅弁味の陣 2016」を開催すると発表した。
駅弁味の陣 2016は、東日本エリアの名物駅弁や新作駅弁を対象として、一般投票で駅弁ナンバーワンを決定するイベントで、今年2016年で5回目の開催となる。今年は、イベントにエントリーした駅弁の数が全61種類と過去最多となっているだけでなく、そのうち約半数の29種類が新作駅弁で、バラエティ豊か、かつフレッシュな顔ぶれとなっている。
記者会見の冒頭、JR東日本 執行役員 事業創造本部 副本部長の表輝幸氏が登壇し、「『駅弁味の陣 2016』は、10月1日から2カ月間、JR東日本全エリアを代表する駅弁から、東日本エリア全体の“駅弁大将軍”を選ぶというイベントです。駅弁味の陣は、2012年から開催しておりまして、今年で記念すべき5回目の開催となります」と、イベントの概要を説明。駅弁味の陣は、列車の旅を楽しく、充実したものにしていこうという意図で開催しているという。
駅弁味の陣のようなイベントを開催することで、各地の駅弁の魅力を知って、理解を深めてもらい、列車の旅をさらに楽しんでもらいたいと考えるとともに、駅弁ファンの裾野も広げていきたいとしている。
駅弁味の陣では、一般の方の投票によってナンバーワンとなる“駅弁大将軍”が決められるが、開催を経るごとに一般の参戦(駅弁味の陣では、投票のことを“参戦”と呼んでいる)者が増えているそうで、2015年は9674票と2014年の約2倍の投票があったという。それを踏まえて表氏は、「今年は1万票を軽く突破してくれるだろうと思っています。そして、エントリー数は61種類、そのうち半数近くの29種類が新作駅弁ですので、みなさんの意気込みがご理解いただけるのではないかと思っています」と述べた。
駅弁は、1885年(明治18年)7月16日に宇都宮駅で売られたのが初めてと言われており、それから今年で131年となる。表氏は、「それだけの長い歴史のある素晴らしい文化を、次世代に伝えていきたい、その一助として駅弁味の陣を開催して、切磋琢磨して競い合うことで、魅力を高めていきたいと思います。駅弁各社は、必死に努力をして磨きをかけていますので、ぜひとも応援していただければと思います」と、駅弁味の陣に対する意気込みを強く語った。
そして、駅弁を「各地域の食文化を楽しめる、地域の魅力を知るための、重要なツール」と指摘しつつ、「駅弁を通して各地の魅力を伝え、旅行需要を喚起したい」と、秋の行楽シーズンに向けて、積極的な需要喚起に努めていきたいという意欲も示した。
次に、日本鉄道構内営業中央会 事務局長の沼本忠次氏が登壇し、「JR東日本の駅弁味の陣は、今年で5回目の開催となります。年々参加者も多くなっておりまして、我々も楽しみに思っております。今回の大会には、JR東日本管内の会員34社が参加しておりますが、駅弁会社はこの晴れの舞台に備えて新作を作ってまいりましたし、日本鉄道構内営業中央会も全面的に協力させていただいております」と挨拶。
日本鉄道構内営業中央会は、今年で創立70周年を迎えたという。また、駅弁は登場して130年。それに合わせて、これまでさまざまなイベントを開催してきた。ただ、近年の駅弁を取り巻く環境は厳しいと沼本氏は指摘する。昭和40年代に400社以上あった駅弁業者は、現在では97社と最盛期の1/4以下に減っているという。そういったなか、駅弁業者は生き残りをかけて、1988年より会員のみが利用できる「駅弁マーク」を制定したり、4月10日を「駅弁の日」としてPRしたりしてきたという。また、これまで“駅ナカ”でのみの事業が中心だったものを、“駅ソト”へと広げ、事業を拡大すべく取り組んでいるという。加えて、訪日外国人観光客への対応も進めていきたいとする。
そして、「日本独自の駅弁で、世界に誇れる食文化を継承していくことが、我々の任務と考えています。駅弁には、その土地の風土や文化がギュッと詰まっています。また、地場産業としても大事な一役を担っています。駅弁と、ほかの弁当との差を明確に出すことや、駅弁にしかできない商品をしっかり作り上げることに重点を置いています」と沼本氏は指摘しつつ、「駅弁味の陣を起爆剤として、さらなる発展につなげたい」と意欲を語った。
続いて、昨年開催された、「駅弁味の陣 2015」で第4代駅弁大将軍に輝いた「鶏めし」を製造販売している花善 代表取締役社長の八木橋秀一氏が、駅弁会社にとっての駅弁味の陣について語った。
花善は、秋田県大館駅が開業した同日、1899年(明治32年)11月15日に開業したという。同社の名物は、1947年(昭和22年)より販売している「鶏めし」弁当で、それ以来、鶏めし一本で続けており、鶏めしと関係のない商品を扱うことなく、プライドを持って事業を行なっているという。
ところで、花善は2014年にも駅弁味の陣に参加しており、そのときに出品した「鶏樽めし」が駅弁副将軍に選ばれている。この、駅弁副将軍に選ばれたという一報を聞いたときに八木橋氏は、とてもびっくりしたという。2014年の大会には、JR東日本に頼まれたので、じゃあ出そうか、という軽い気持ちだったそうで、最初はなんのことだか分からなかったという。それを受けて2015年に「鶏めし」を出品したが、八木橋氏は「そのときはものすごいプレッシャーでした」と振り返る。鶏樽めしは、1976年頃まで販売されていた駅弁の復刻駅弁だったそうで、賞に選ばれたことはうれしかったが、それは八木橋氏自身ではなく、先祖が作り上げたもの。自分の代の駅弁を出品するのがとても恐かったそうだ。そういったなか、高い評価を得て駅弁大将軍に選ばれたことがとてもうれしかったと八木橋氏は語った。
八木橋氏によると、駅弁業者には大きな弱点があるという。それは、駅弁業者は駅弁を売るだけで買った人が食べているところを見られない、という部分。そのため、味などの評価がまったく聞こえてこないという。そういったなか、駅弁味の陣のようなイベントが開催され、アンケートで購入者の声が聞こえてくるのは、業者にとって宝だと指摘。そして、「駅弁味の陣を盛り上げて、我々駅弁業者に勉強させてほしいと思います」と、力強く語った。
その後、日本レストランエンタプライズのBento営業部 副部長の倉持幸司氏より、駅弁味の陣 2016の販売についての説明が行なわれた。駅弁味の陣 2016の中心的な店舗となるのが、東京駅改札内中央通路にある「駅弁屋 祭」で、通常170種類以上の駅弁を扱っているところ、駅弁味の陣 2016開催期間中は220種類以上の駅弁を販売するという。
日本レストランエンタプライズでは、東京駅の「駅弁屋 祭」に加えて、東京駅の「駅弁屋 踊」、新宿駅の「駅弁屋 頂」、上野駅の「駅弁屋 匠」、仙台駅の「駅弁屋 祭」などで販売を行なう。このほか、JR東日本グループ会社などを合わせて、100カ所ほどの売店で駅弁味の陣 2016を開催するとのこと。なお、駅弁味の陣 2016にエントリーしている61種類の駅弁すべてを一度に販売する店舗はなく、最も多くの駅弁を扱う東京駅の駅弁屋 祭では、エントリーのなかから50種類を販売するという。
倉持氏は、「今回エントリーしている61種類のうち29種類は、我々も初めて販売する商品です。このなかから駅弁の文化を継承していくニューヒーローとなる駅弁大将軍が生まれ、後々に語り継がれるような商品が生まれることを期待しています」と語り、記者会見を締めくくった。