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エイチ・アイ・エスがインバウンド事業についての勉強会を開催
イベントやアプリを駆使して日本各地へ送客
2016年7月26日 14:25
- 2016年7月21日 開催
H.I.S.(エイチ・アイ・エス)は7月21日、「H.I.S.観光プロモーション勉強会」を開催、そのなかで訪日外国人を呼び込むインバウンド事業について紹介した。
エイチ・アイ・エスの本社インバウンド統括次長兼 本社インバウンド事業推進室室長代理の錦辺知之氏は、インバウンドマーケットが急成長しているとの現状認識を示し、訪日観光客を誘客するための戦略を説明した。
まず紹介されたのは、ハイヤーを利用した訪日観光客向けのツアーだ。これは現状一般的な大型バスを使うのではなく、エイチ・アイ・エスのハイヤーを利用してツアーを実施するというもの。大型バスによるツアーと比較して少人数で催行可能であること、そして穴場的なスポットをツアーに組み込めることといったメリットを紹介した。さらにエイチ・アイ・エスでは、ガイドなしでツアーを催行できるように、自動観光案内システムを構築しているという。
宿泊施設の仕入れ強化にも言及した。ホテルおよび旅館の一括仕入れ体制の構築によって仕入れ力を強化すると同時に、カプセルホテルやゲストハウスなど多様な宿泊施設を採り入れることで宿不足に対処するという。
このほか、旅マエから旅ナカ、旅アトのそれぞれで旅行価値体験を最大化し、訪日旅行へのロイヤルティを向上させるためのプラットフォームについても説明した。さらに日本各地の300の支店をインフォメーションセンター化し、多言語スタッフを配備して旅ナカの提案をできる体制を整えるとしている。これらにより「期待を超える感動体験を提供し、お客さまとの絆を築いていきたい」と錦辺氏は話した。
エイチ・アイ・エスの海外事業展開について説明したのは、同社の執行役員 海外営業本部長の波多野英夫氏だ。まずエイチ・アイ・エスの海外拠点数について、65カ国/136都市に220拠点があり、5年前から倍増していると紹介した。また「これまで海外拠点は日本から来た観光客のケアを目的としていたが、現在はローカルマーケットへのアプローチを強化するなど、店舗展開の戦略を変えている」と話す。
外国人観光客を取り込むために、日本の各自治体との取り組みも進められている。その一例として紹介されたのが神奈川県で、フリーペーパーの発行や観光セミナーの開催などが行なわれているという。また富山県とANA、エイチ・アイ・エスが連携し、インドネシアで富山県の観光プロモーションを実施した事例や、タイで開催された旅行博でも各自治体と連携してPR活動を行なったと波多野氏は説明した。
エイチ・アイ・エスでは、日本の魅力を伝えるイベントにも積極的に取り組んでいる。ベトナムでは「Feel Japan 2016」を開催したほか、台湾の「Touch The Japan」にも出展している。波多野氏は「特にベトナムは弊社が主催したもので、大きなイベントを成功させることができた」と手応えを口にした。
最後に波多野氏は、自身がかかわったカナダにおける日本人観光客の誘致のための取り組み事例を紹介した。特に冬は日本から訪れる観光客は極めて少なく、どうすれば冬のカナダに来てもらえるかを現地の自治体やホテルなどを交えて検討を進めたという。
そこで目を付けたのがオーロラで、これを新しいデスティネーションとしてとして開拓、年間数千人が訪れる一大デスティネーションに変わったと説明した。そして「我々旅行会社と自治体のみなさまとの太いパイプのなかで、新しい観光のデスティネーションを作ることが私たちの仕事だと考えており、そのためには関係各所のご協力が必要になる。日本にはまだまだ知られていない素晴らしいデスティネーションがあると考えているし、四季によって見るところ、食べるところも変わってくる。そうしたデスティネーションの魅力をみなさんと協力して海外に伝えていきたい」と述べ、プレゼンテーションを締めくくった。
その後、地方自治体とエイチ・アイ・エスの担当者を交えたパネルディスカッションやエイチ・アイ・エスのグループ各社の事業内容の紹介、地方創生・観光プロモーションコンソーシアムの紹介、またスマートフォンアプリを使って集客を促進する「アプリ集客分科会」などが行なわれた。
このうち、アプリ集客分科会ではモバイルファクトリーが全国の駅を使ってスタンプラリーを行う「駅メモ!」を利用し、兵庫へ3000人、岩手には4700人を送客した実績を紹介した。また、広告代理店である国連社は、AR(Argumented Reality:拡張現実)技術を利用し、観光パンフレットやポスターなどをスマートフォンのカメラで写すと、PR動画などを再生できる仕組みを解説した。